カレーの試作 | たっくのブログ

カレーの試作

私はピンチョスをオープンさせてからカレーの試作を続けた。
ラジャスタンカレーとは一体どういうものなのか?
食べたことも見たこともない味を追求するには時間がかかった。

当の水谷さんに尋ねると、当時使っていたスパイスとその他材料の配合が書かれた紙をくれた。
「パソコンにデータが残っていたから、これを参考にしなさい。」

そこには約10種類のスパイスと、バナナ、コーンスープ、などが書かれていた。

さて、材料はわかったのだが、作り方がわからない。
私はまず手探り状態で一度作ってみた。
黒とも言えないグレーともいない、なんとも不思議な色合いのカレーが出来上がり、それを口に含むと不思議な味がした。

「これでいいのかな?」

ラジャスタンカレーを過去に食べたことがある人に聞くと、それは普通のスパイスをはるかに超えた刺激的な味だったというのだ。万人受けしないが一度癖になると、病みつきになり、忘れられなくなるという。
さらには辛さが半端じゃなく、多少激辛をかじった人だとしても、ひどく汗を掻くほどの刺激だと聞いた。

私は作り上げた試作を水谷さんに食べてもらうことにした。

「なんじゃこりゃ?」

その一言で私が作り上げたのはラジャスタンカレーではないことが理解できた。


その後、インターネットわずかに残っていた写真を見たり、インド人が作るカレーを研究したり、札幌市にある「モハンディシュ」のモハンさんに聞いたりしたが、誰も知る由もなかった。

モハンさんに至っては、ラジャスタンカレーなんてものは存在しないとまで言っていた。
それを聞いた私は、ラジャスタンカレーというものは水谷さんのオリジナルカレーなのだと理解したのだった。


その後、スリランカ狂和国の時代、ほぼすべてのカレーは水谷さんではなく奥さんの妹さんが作っていたことが判明する。私は早速、妹さんに厨房まで来てもらってレシピと作り方を聞いた。

すると妹さんは「こんな食材入れてないよ。」といった。

「え?」

「私さラジャスタンカレーが苦手だったから。配合を変えちゃったのよ。」

「え?これじゃないんですか?」

「何入れてたかな~?トマト入ってたかな~?」

「まぁまずさ、玉ねぎとニンニクと生姜を炒めるのは間違いないわ。炒めてみて。」

私は言われる通りに食材をカットし、炒め始めた。
少し飴色になった頃、妹さんはこう言った。

「う~ん。やっぱり忘れちゃったわ。今、思い出すからちょっと待ってて。」と言い厨房から出て行った。
その後、妹さんは厨房に戻ってくることはなかった。


そのことを水谷さんに伝えると、私にこう助言してくれた。

「なんで俺と同じカレーを作る必要があるんだ?同じにしなくていい。」


それを聞いた私は水谷さんがラジャスタンカレーというオリジナルを完成さた事と同じように、自分のラジャスタンカレーを完成させたのだった。




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