最高のアジア料理はここにあり 〜厨房編〜 | たっくのブログ

最高のアジア料理はここにあり 〜厨房編〜

前回からの続きです。

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最高のアジア料理はここにあり ~味覚編~







私はお酒が好きだ。
毎日ビールを飲むし、そのあとは焼酎、日本酒、ウイスキー、スコッチ、なんでもござれである。
しかし、好きなものを飲むからにはそれに合った食べ物が必要になる。

例えばピッツァやパスタにはワインが合うように、ビールにはビールに合う料理がたくさんある。
誰しもが自分のお気に入りのおつまみを一つか二つは持っていて、自宅で飲むときはこれだ!というマイレシピが存在している。

そんな人たちにビールに合うおつまみといえば?と問いかけるとたくさんの回答が出てくることは間違いない。
好みというものはそういうことである。

ちなみに私がビールに合うと思う一番の食べ物は「焼き鳥」である。
単純に私が焼き鳥を好きなだけかもしれないが、これは揺るぎないナンバ-1である。


居酒屋には入れば、まずはビールを注文し、何杯(大体2杯)か飲んだあと日本酒、もしくは焼酎に流れていくことが多い。お腹の膨れと、ちょうどよく体が温まってきたところにお酒をゆっくり味わう。
料理はお刺身や、焼き魚、揚げ物、サラダ、などを食べ、食事が落ち着いたところでゆったりとした時間を作り、込み入った話や、腰を据えて話すようなことを長時間続けてしまう。


こうなってしまうと、お酒は永遠と続いてしまうため誰か別の人がおひらきにしてくれないと、今日が終わらない。
その役目を買って出てくれるのが妻の存在である。「そろそろ…」の言葉を出してくれるタイミングを常に考えてくれているため、私は酔いつぶれずに楽しいお酒で終わることができるのだ。


とてもありがたいことだと思っているが妻にはご苦労をかける。



アジア料理AMAKARAでは日本酒や焼酎にシフトしない。
そもそも、普段飲み慣れている生ビールではなく、目の前にあるアジア諸国のビールを好む。
それは、本格的なアマカラ料理とアジアビールの相性が抜群だからだ。






ピリッと辛く甘酸っぱいナスにはCHANGが合うのだ。
これに気を良くしてCHANGを家に持ち帰り、鰹節をのせた冷奴と一緒に飲んではいけない。
あれ?あれ?こんな味だったっけ?
あ~、これならやっぱり日本のビールが美味しいなぁ。と錯覚してしまうことだろう。


その国、その国、にはちゃんと料理にあったお酒が置かれているのだ。
例えばイタリアに行けばワインと合うような料理ばかりだし、PERONIというビールがあったとしてもその料理にあった喉越しになっている。この間行ったブラジル料理でもCOLONIAという美味いビールがあったが、家で飲むとなんじゃこりゃ?という味に変わる。タイにもSINGHAというビールがあるが日本で飲むと味が違うように感じてしまうのだ。



これを知ってしまった私はアマカラに行くと必ずCHANGを頼むようにしている。
次々出てくる料理との相性は抜群だった。





牛肉とパクチーのサラダである。
よく、パクチー嫌いな人がたくさんいると聞くが、一体パクチーの何が嫌いなのか私にはさっぱりわからない。
かといって山盛りで食べるほど好きすぎるわけでもないが、大葉やネギよりはるかに香りがやさしく口当たりの良い食材だと思う。


「ゆっくり出すからね~。」
こーちゃんは慌ただしそうに私たちに顔を出した。
すでに満席となった店内からは楽しそうな笑い声が聞こえている。

小上がりには女性客の団体が入り、私たちが座るカウンターにはカップルが2組座っていた。


「春巻き食べた~い!」「エビ食べた~い!」
女性客の団体が手を挙げている。どうやら食べる人を数えているようだ。


「中華おこわください。」
離れて座ったカップルがどうする?と悩みながら注文していた。
彼氏の方はどうやらタイ料理に詳しいらしく、「あれは辛いからな~。これは食べられるかな~。」と彼女を気遣っている様子であった。

「今からもち米炊くから時間かかるけどいい?」
「何分ぐらいですか?」
「ん~50分くらい。」
「いいですよ。」



「こーちゃんビール!」
小上がりの女性客から勢いある話し声が聞こえる。
どうやらこの中によく飲む人が数人いるようだ。



「え~っとなにこれ?全部おいしそう。」
私の隣に座ったカップルはメニューを見て喜んでいた。
「どんな味なんだろう?え~これなに?」
「どうする?どうする?」

「え~私これ食べた~い。」
「そうだね。じゃあこれにする?」

「すみませ~ん。中華おこわください。」
「4~50分、時間かかるけどいいかい?」
「いいですよ。」


その頃、厨房のタイマーはひっきりなしに鳴っていた。




私が泡盛のロックを頼んだ頃、ある異変に気がついた。
それはあまりにもタイマーが小刻みに鳴っているからだ。
50分かかるおこわが蒸しあがる時間ではない。

何か別のものを作っている。
先ほど注文を受けていた生春巻きではないはずだ。
生春巻きは厨房で手伝っているもう一人の男性が作っている。

私がふとタイマーの時間に目をやると、2分おきになるようにセットされていた。
こーちゃんは忙しそうに2分おきにタイマーを止めて、何かの料理に手を加えている。

私が気づいた限りではそれを4セット。
つまり2分のタイマーを4回鳴らし、その度に料理に手間を加えていた。


その頃に出てきた料理がこれである。




有頭エビに刻んだにんにくを絡ませ、海老のだしから出たソースが香りを引き立てる至高の逸品である。

この料理に先ほどのタイマーを使っていたのかはわからないが、とにかくこの海老がメチャクチャ美味かったことだけ伝えておこう。


ちなみに私たちはアマカラに行くとこーちゃんのお任せにしてしまうので、何の料理が出てくるのかわからない。
最高のアジア料理をフルコースで食べられるなんて最高に幸せである。


話は戻るが、先ほどのタイマーは一体どう使われていたのだろうか?
2分おきに何か手を加える。
私はそんな料理の作り方を知らないので、すごく印象に残った場面であった。



私は自分の作る料理を思い出していた。


私の作る料理は独学である。
お師匠はいないし、学校に通ったこともない。
レシピ本を見たり、別のお店で食べて見たり、誰かが作っていたのを真似したりして、今の形になっていった。
それでも食べる人に美味しいと言われるのだから、その道を進んでいる。
ある料理人から見れば、それは基礎がないと感じる。
包丁の使い方、野菜の選び方、出汁の取り方、は基礎があって初めて成り立つものであり、本物を追求すればするほど基礎が大事になってくる。それが料理の常識である。


しかし私にはその基礎たるものが存在しない。
10代の頃から趣味でコツコツと作ってきた、経験が今では大きな基礎となっているだけある。

きっとこーちゃんも同じだろうと思う。
多分、私とこーちゃんの共通点は「基礎はないがセンスがある。」ということだろう。





もう少し続く






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