41話 サクレクール聖堂 | たっくのブログ

41話 サクレクール聖堂

私達が降りた駅(ABBESSES駅)はモンマルトルの住宅街にあり、大きな通り沿いではない。
歩く道は石畳になっており、サクレクール聖堂へ向かう道は少しずつ上り坂になっている。

日本ではよく港町や海が近くにある場所などで、丘を上がる事はあるが、近くに海も無いのにどうしてこの街は丘になっているのだろうと不思議に思う。



小さな家々の片隅に、美味しそうなパンとケーキのお店を見つけた。
店内は所狭しと、お菓子やおもちゃ、サンドイッチなどが並べられていて、まるでお菓子の家に入った感覚だ。地元の人が色々と買いに来る中、私達はガラスケースに並べられた美味しそうなスイーツに目を奪われる。

これは絶対美味しそうだ。と確信を持てるほど光り輝いている。

これは...凄い....。と唸るほど全て美味しそうに見えた。

私達は悩みに悩んだ結果、サンドイッチとエクレアを購入した。
このエクレアが妻いわく、今回の旅史上もっとも美味しい物に認定される事になる。




可愛い道だなぁ。
建物自体はパリ市内の観光箇所とたいして変わらない感じもするが、街全体の雰囲気が今まで歩いてきた所とは違って見えた。どの角度から写真を撮っても絵になるようなそんな感じがする。






まだ、朝早い時間だからか、人もまばらで凄くゆっくりしている。
ここで暮らしている人しか歩いていないから、この街の生活が見えてくる。

朝の光と歩く人、まばらに通る車の音。
その歩いた丘の頂上に先日見えたサクレクール聖堂が建っている。







朝の光が気持ちいい。
この街は本当に綺麗だ。







そして階段を上る。
この階段の横に有料のケーブルカーがある。
階段を上れない人でも聖堂に行けるようにという配慮だろうか。

私達は踊る気持ちでこの階段を上りきった。






これがサクレクール聖堂だ。
フィレンツェでみたドゥオーモのようにもの凄く大きな存在感はないが、とても気品溢れる佇まいはパリで感じた殺伐とした気持ちを和ませてくれた。

人々が観光だけではなくここに訪れる気持ちがわかる気がする。昔の芸術家達がエッフェル塔を否定する理由もわかる気がした。ここには特別な空気がある。
そして、サクレクール聖堂がパリを見渡し見守っているように感じるのは、この聖堂から見た景色にある。






光に包まれたこの景色は、何にも代え難い気持ちにさせてくれる。
旅行の最終日にこの地に訪れた事に感謝したい。

何時間でも見ていられるような風景。
きっとサクレクール聖堂はここからずーっとパリを見てきたんだと感じた。








そしてみっちのこの表情。
もう、全てを感じ受け入れるような至福の表情だ。
全てを悟ったような視線。エクレアを愛してやまないこの顔は日本では見た事が無い。
この、エクレア。本当に美味しかった。
このエクレアだけを食べにパリに行きたいくらいだ。







この食べ物に神様が宿っているとしか言いようの無い味だった。
素晴らしい。

本当に素晴らしい。






この時間帯にちょうど朝のミサが行われていた。
私達は中に入り、その様子をずーっと見ていた。

この旅行で色々な教会、寺院を訪れたがここの聖堂が一番心が落ち着く。みっちも同じような気持ちだった為、私達はしばらくこの聖堂の中に身を置いた。

旅行を振り返る訳でもないが、心がとても落ち着き頭がすっきりしていく。
もっとここにいたい気持ちもあるが、私達はこのモンマルトルという街にとても興味を持ったため、もっと歩いてみたくなった。今日の夜はディナーの予約をしているから時間に限りがある。

それでは、と思い聖堂の横にある道を進み広場に出ると、そこは地元の画家達の遊び場だった。