22話 水の都ヴェネチア
料金が€1.5くらいだというので鉄道を使わずバスで行った。
鉄道を使っても€2だからたいして変わりはしないし、どちらも値段が安い。
私達はどちらも経験してみたかった。バスと鉄道をここで経験すれば、これからの移動手段の幅が広がるというわけだ。実際これでfs線の鉄道、ローカル線の鉄道、メトロ、バスを経験した。
新しい体験は本当におもしろい。
そして、新しい町はいつでもワクワクさせてくれる。
そんなワクワクを胸にメストレからヴェネチアへ向かう。

バスはヴェネチア本島サンタ・ルチア駅近くにあるバスターミナルで停まった。
そう、ヴェネチアという町は車がいっさい通れない町なのだ。
車はおろか、バイク、自転車なども「いない」。
「いない」というのは通れないという事で、では?通れないとはいったいどういう事なのか?イメージが出来そうで出来ない状態だ。
昔見た漫画のワンピースで出てくる水の都が記憶にある。
あれは現実に存在する町で、街中に水路があり、全て船が通っているという。
それがヴェネチアなのだ。
バスを降りた私達は、ワクワクしながら向かった。
そこに見えた光景は
私の何かが弾けてしまうほど衝撃が走った!
「うぉ~~~~!」と叫んでしまうほど興奮した。
事前の情報があったから尚更、興奮した。
あなたは想像出来ますか?
この橋から先は車が走っていない水路の町なんですよ。
え~!
こんな感じなんだ!?と何度も口ずさんだ。
それは、私の価値観を思いっきり覆してくれる光景だったからだ。
まさか、こんな町が存在するなんて、そしてこの町に暮らす人々がどんな生活をしているのか?いきなり興味を持った。
まだ、イメージがつかないあなたに、
つまりは、こういう町なんですよ。
うっひょーーーーーーーーー!!
凄い!凄すぎる!
何だこれは!?
何だこの町は!?
私だけではない、横にいるみっちもかなり興奮していた。
この町には無数の橋が架かっていて、歩く人達はその橋を利用して水路を渡る。
道幅はもちろんだが、水路にかかる橋には階段が必ずあるので、車はおろかリヤカーや乳母車さえも通るのが困難になっている。実際車いすの人も見かけたが、一人ではとても行動出来ない。
誰かが付いていないといけないが、付いている人もそれを持ち上げるのは大変な労力だ。
観光に来て乳母車を抱えたお父さんは沢山いた。
そして、ここで暮らす人の支えになっているものはこの船だ。
それぞれの家に自家用船があるようで、家の前に繋いである。
大きな川はヴァポレットという水上バスが通っていて、大きな主要箇所に停まれるようになっている。
このヴァポレットを使えば空港だって行けるのだ。
そして日本でもよく耳にするのが「ゴンドラ」だ。
ゴンドラというのは観光用の船で、それを操縦する人が「ゴンドリオーネ」だ
もちろん観光客の殆どがこのゴンドリオーネのカンツォーネを聴きながらゴンドラでヴェネチアを楽しむのだが、私達はとにかくこの町を歩きたかった。
小さな小道、お店、生活、人に触れたくなった。
まるで迷路のような町とも言われるこのヴェネチアは確かに、道幅が狭いし、あらゆる行き道があって適当に歩いていると、自分がどこにいるかわからなくなる。
すぐに迷子になれるので、歩くというのは観光ツアーなどには向かないのだ。
小道を抜けると、パッと広場に出たりするので、それも楽しい。
そして、よ~く見れば建物の壁にきちんと表札があるし看板も立っている。
それも見ながらあるけば迷わないと言いたい所だが、実際迷う。
でも楽しい。見ていて楽しい、歩いている人も楽しい。
この右上にあるのが標識。
もちろんこの建物の間の道も立派な通路だ。
一瞬怖いと思うかもしれないが、実際は観光客も沢山いるせいか全然怖さは感じない。
それよりもワクワク感が大きい。この先はどんな景色が広がっているのか?
なにがあるのか?と常にワクワクし続けられる町なのだ。
この横縞の服を着ているのがゴンドリオーネ。みっちはず~っとかっこいい!かっこいい!と興奮していた。ん~~~。確かにかっこいいなぁ。
すれ違うのもギリギリだ。
左がゴンドラだが、右に見える立派な船は水上タクシー。
どうやら個人所有の人もいるらしいが、一台1000万くらいだと言う。
確かにビップな感じがする。
川幅もギリギリだし橋の高さもまちまちなので、体制を低くしないと通れない所も沢山ある。
広い所には船専用の停めるスペースもある。
もう、本当に興奮していた。
どこに行ってもビックリする事だらけだ。
こんな経験が出来るなんて本当にありがたい。
そしてこの町が昔から守られて今でも存在している事が素晴らしい。
ここに住む人達はこの町に誇りを持っている。
みんなこの町を愛しているのだ。
でないとこんな不便な町に住まないだろう。
私はその暖かさを感じながら、ヴェネチアをもっと知りたくなっていった。