進化する調理法から学ぶ | たっくのブログ

進化する調理法から学ぶ

先日の新聞折込にとても面白い記事が載っていた。私は何度もその記事を読み返し自分の立ち位置を確認する。賛否両論が分かれる内容になっているので、さらに深く考えさせられる。

「科学と料理が出会うとき」という題から始まった文を簡単に説明すると、料理法に科学的な要素を加えて新しい調理方法が生まれる事により、料理の歴史の中で今までにない食材や食感、味と出会えるというものだ。


これをいち早く取り入れ実践し話題となっているのがフェラン・アドリア(48)がシェフを務める店「エル・ブリ」だ。以前私がこのお店に行って見たいとブログを書いたことがあるが、いったいどんな料理が出ているのかまでは詳しく知らなかった。

「エル・ブリ」とはスペイン北東にあるレストランで年間の予約が数百万件を越える超人気店。しかし営業は年間の約半分しかやっておらずお店に行けるのはそのうち7000人。食事料金だけで1人あたり3万円以上もする高級レストランだがその人気は絶えず、英レストラン誌において2006年から4年連続世界第1位になっている。

シェフの人数は53人もいて世界中から勉強したいと志願してくる。そこでオーナーシェフを務めるのがフェラン・アドリアという人物だ。
ごはんとカフェのお店 Pinchos
彼がその本人。

彼の用いる料理法が科学を駆使したまったく新しい調理法「分子調理法」だ。

例えば液体窒素やアルギン酸ナトリウムなどの物質がよく使われており、今まで体験した事がない、視覚、聴覚、味覚を刺激する。テーブル上で不思議な世界観を作り出し食べるものを魅了するのだ。

胃袋を疲れさせず、より高いパフォーマンスを駆使してこのお店のコースメニューは一人30品目以上あるとも書かれている。

信じられない話だ。一回の食事で30品目以上の料理が並ぶなんて。


さらに信じられない話があって、なんとこのお店、忙しすぎる為に今年の7月で閉店するとのこと。その後お店を博物館として料理法などを展示しフェラン・アドリア本人は研究を続けていくとの事。

53人のシェフたちはどうなるんだ?


この記事の面白いとこはここからで、彼を猛批判している人物がいること。

「食べ物は神聖なものだから、遊んじゃいけないよ」

こう語るのはサンティ・サンタマリア(53)で同じくスペインにレストランを構えるオーナーシェフだ。


ごはんとカフェのお店 Pinchos
「料理は確かに科学反応だがシェフが皆ホーキング博士となって解明にいそむ必要なんてない。手仕事を繰り返す事で身に付ける技術が大切なんだ。」と彼は言っている。

記者は彼に質問を問いかける。

ー新たな料理の研究も必要なのでは?-

「進歩とは農作物を研究所での生成物に置き換えることじゃない。」

ーいまや大学で料理の科学も教えるシェフもいますが?-

「料理の授業など、学生にとって遠足と同じようなイベントに過ぎないよ。」


「私は真冬にイチゴを食べさせようとは思わないね。」


なんとかっこいい言葉でしょうか。ユーモアとセンスに溢れています。私もこんな言葉がすらっと言えるような人になりたいです。というのはさて置いて両極端に分かれる2人の論争は世間では有名だった話だそうだ。


フェランアドリアは「科学が重要なのは確かだが一つの知識に過ぎずそれだけで人を感動はさせられない。例えばピカソにとって絵の具のようなもので大切なのはそれを使う創造力だ。」と語り


「フェランアドリアの料理は確かに素晴らしかった。しかしピカソの絵はピカソにしか描けないよ。僕の料理には科学は必要ない。」と語る。


4年間英レストラン誌で世界1位を獲得してきた「エル・ブリ」だが昨年エル・ブリを2位に下げデンマークの「ノマ」というお店が1位になった。テロワール料理。いわゆる大地の料理という意味で地元食材を使ったお店だ。


この取材から1週間後サンティ・サンタマリアは心臓発作で急死した。



この話を聞いてどっち派?ですかと問われれば賛否が分かれると思う。

私は両方の料理を食べてみたいと思った。


どちらも間違いとは言い切れず、どちらも絶対正しいとは言い切れない。


やはり絶対などという事はありえないのだと思う。

ただ、この記事を見てさらに深く考えてしまう。


行った事もないスペインのお店には、こんなに素晴らしいシェフがいてそれぞれが思う気持ちを私は日本にいて記事として読み共感する。そして「そうかエル・ブリはこんなお店なのか。」とか「サンタマリアは亡くなってしまったがお店は続いているのだろうか?」などと考える。


まるで2人に会ったかのような錯覚をし2人の性格まで読み取ってしまう。


これは本当の話なのだろうか?と疑問に思った。

2人は本当に険悪な中だったのだろうか?と


今は世界中の情報がインターネットなどを通して伝わっている。

どこの国にいながらでもどんな事が起こっているのかがすぐわかってしまう仕組みになった。


しかし、本当にわかったのだろうか?


ある話で、パソコンのインターネットを指し「そんな物で何が分かるというのだ」と問いかける。

「これで世界中の情報がわかります。とても便利ですよ。」と答える男性に「その場所にいってもいない者がその場所の真実などわからない。自分が5感で感じるものこそが真実だよ。」といったのがスタジオジブリの宮崎駿だ。


これもまた情報なのだが私は、こういった物を見て考えたり、揺れてみたり、立ち止まったり、進んでみたりしている事も事実。


では、今回の「科学と料理が出会うとき」を見て私の立ち位置はどこにあるのかと結論付けると


「私は自分の腕を信じ、ありとあらゆる世界を学び、それを料理という形にして表現していく。」


こうなる。


だから、分子調理法も私の中に取り入れてみよう。そして実際に現地に食べに行ってテロワール(大地)を感じてきたい。そう強く思った。



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ごはんとカフェのお店 Pinchos(ピンチョス)

~De arroz y el café Una tienda Pinchos~


札幌市豊平区中の島1条7丁目6-10

TEL 011-820-5227

HP http://pinchos.aikotoba.jp/
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