料理の記憶 12 「高級お寿司屋さん物語」 6章 | たっくのブログ

料理の記憶 12 「高級お寿司屋さん物語」 6章

このお店でいろんな事を学び、働く、勤めるという厳しさを知った。

しかし、現状は厳しい事ばかりではなく、楽しくておなかが痛くなるほど笑ったり、感動するほどの職人技を教えてもらったりと、私の社会人としての基盤を作り上げたお店だと思う。

 

実際、このお寿司屋さんの仕事よりも大変な仕事には未だに出会わない。

一番最初にこの厳しさに出会えたからこそ、色んな困難にも立ち向かえるようになったと思う。

 

そういった意味では本当に感謝している。

特に、常にそばにいて一緒に働いたアキさんとシンさんには今でも頭が上がらない。

 

 

私はこのお店でいろんな食材と出会う。

 

未だに忘れられない味もいっぱいある。

 

 

「大間産の本まぐろ大トロのあぶり」

 

脂ののった大トロはそのまま食べるよりも少し炙った方が美味しいんだ。と教えられて味見をさせてもらった。

本当にうまい。

有無も言わぬ感動を与えてくれる。

 

「チップのにぎり」

 

チップという鮭の小さい版みたいなお魚がいる。川魚なのだがこれもまた脂が綺麗にのってうまい。

濃厚な味わいが今でも蘇る。

脂が美味しい魚はいくらでも食べられる。

養殖だとそうはいかない。

 

養殖の脂と天然の脂では質が違う。

 

人間も同じだ。

 

ただ太っている魚より、動いて程よく引き締まった魚のほうがうまい。

 

最近全身大トロという養殖まぐろが出てきているが、絶対おいしくない。

ただのオデブちゃんだ。

 

 

「天然活〆平目の刺身」

 

特に、エンガワがうまい。

コリコリした食感がたまらない。

これを食べたら回転寿司のエンガワは食べられない。

あれは、カレイのエンガワだ。いや、カレイならまだしも他の魚の場合もある。

 

「エンガワ」と書けば、たいていの人が無意識に平目のエンガワか・・・?と思う。

そこを上手く利用しているだけ。

回転寿司も色んな知恵をつけて営業している。

 

 

 

ここで、私が知っている回転寿司の真実をお伝えしよう。

もちろん全てのお店がそうとは限らないが、だいたいのお店が当てはまる。

 

何故?あんなに人件費を使って、安くお寿司が食べられるのか?

それはほとんどが、偽装魚だからです。

 

なにがとは言わないが、マンボウやナマズ、シイラ、バラクーダ、マヒマヒなどが違った名前で表記されている事がある。

貝類にいたってはほとんどが中国産でこちらも名前が違う。着色料を使っていたりする。

 

ぎりぎり、法律に引っ掛らないグレーゾーンで営業している。

食品偽装でニュースになったホテルや料亭はたくさんあるのに、回転寿司店では1件もない理由はイメージの問題である。

高い料金払って偽装はやめてよ。ってのと安いから文句は言えないね。っていう差があるだけで、偽装表示していることに変わりはない。穴子がウミヘビに代わっていようと問題にならないのが今の「消費者の感覚」だと国が定めている。

これを問題にするとほかの食品にも影響が及ぶ。と国が問題を避けている。

その曖昧なすき間を狙った回転寿司店はどんどん増え続けているというわけです。

よほどの事がない限りこの状態は続くでしょう。

 

 

 

それでも美味いってお客様がいうんだから繁盛しているのも事実。

 

 

 

しかし、私が働くこのお寿司屋さんで食べた味には回転寿司の味は到底かなわない。

そもそも比べる必要もないのだ。

 

 

最後にもう一品

 

「生タラバガニの刺身」

 

この刺身にはちょっとした物語がある。

この話はまた次回と言うことで。