漆黒の訪問者“ダーク・イン・ザ・デーコ” | 劇団FREE SIZE ◆ OFFICIAL BLOG
あれは…


今からさかのぼること、2日前…


時刻は深夜の2時を回った頃だろうか…


パソコンの制作作業のせいか、はたまた、連日のストイック過ぎる程の稽古のせいか…


俺は一つの強い感情に支配されていた…
まぁ、敢えて簡単に言葉にしようとするならば…





ベリー疲れていた…





迫りくる明日にまだ必要な用意があったが、圧倒的な疲労という名の欲に支配 されていた俺は…

頭の中に確かな閃きが起こり… 脳は俺にこう呟いてきた…





ユー寝ちゃいなよ…





すると睡魔という名の悪魔は俺の弱い心を貪欲に蝕んでいった…
いっそこのまま寝てしまおうか… そんな矢先の出来事だった…



“カツン!!!”


突然窓に、衝撃音がほとばしった…


『何だ』


窓に駆け寄り、漆黒の闇が支配した夜に目を向けると


“カサ”カサ”カサ”


”ガン!!!”ガン!!!”


奴は激しく、激突を繰り返した。

奴にとっては、窓などシルクの布程度にしか感じなかったのだろうか…



固い甲殻の鎧は、漆黒の闇を纏い、長く伸びる兜の先は、天に向かって真っ直ぐ伸びていた…



俺を支配していた睡魔の呪縛は、跡形もなく消え去り、俺は奴の異常な行動に酷く興奮していた…



この瞬間を逃す訳にいかない…


気が付くと、俺はただただ夢中に、モバイルフォンのピクチャーボタンをプッシュしていた…


しかしそんな行動も長くは続かなかった…漆黒の訪問者は、カサカサ音を微かに残しながら、静寂という名の夜の闇の中へと消えていた…


これは幻なのか…

疑心暗鬼の中、俺の出した答えは、やはり

“睡眠”

だった… そして…


小鳥の囀りと共に目覚める朝が来たが、そこには、何ひとつ変わらない朝が存在していた…


信じたい、でも昨晩は夢を見ていたんだ…


そう言い聞かせて、遅刻気味で慌ててドアを開けた…


奇跡は、信じた人間にしか訪れない…



奴が俺の前に再び訪れたのだった


続く…


photo:01



photo:02



photo:03