12月15日(金)2校時

最近使っている多目的室が家庭教育学級での講演会だと
いうことで、いつもとは違う研修室を使っての
授業。
場に慣れるということも大切だけれど、
場が変わるというのも、効果を上げる手法だとも
感じました。

当初の予定ではお葬式から考える「命」でした。
でも、やはり、少し前の犯罪被害者のご遺族の方に
おいでいただいた授業があまりにも重くて、
私自身、引きずっています。
多分生徒たちにも、重く残っていると思います。
だからこそ、とテーマを変えました。

今回は「命」がテーマ。
いろいろな切り口を考えました。
いかようにでもなるテーマでもあります。
その中で、やはりこちらから、これだということを
提示しなくても、生徒たちが個々に感じ取って
もらえる授業にしたいと思いました。
当初、考えたこととは、違ってきました。
ゲストテーチャーも急遽お願いしました。

最初、みんなにとっての今年漢字一字で
表すとどんな漢字かということをたずね、
その理由をワークシートに記入してもらいました。
そして、グループごとに、画用紙にみんなの選んだ
漢字を書き込んでくれました。
いつも思うことですが、このように、画用紙に書くことも
生徒たちの深層心理が出ているようで、う~んと
思わせてくれます。
今回は寄せ書き風に書き上げたグループ。
5人しかいないからと、その区切りに工夫を
凝らしていたり、色を考えたりと、些細なところで、
生徒たちの気持ちが出てきました。
今回出てきた漢字です。
「勝」「決」「苦」「中」「学」「吉」「慌」「笑」
「成」「楽」「絆」「挑」「死」「冥」「勉」「情」
「嬉」「凶」「悪」「命」「変」
といったような、受検に関連するような漢字が多かった
ような気がします。
ただ、「死」を書いた生徒に対しては、いじめの対象と
されているので、要注意だと思っています。
先週発表された今年を表す漢字として「命」が決まったということを知らせました。


最初にいつから「命」だと思うかという選択肢
①受精卵の段階
②子宮に着床した段階
③母親の胎内で人間らしくなった段階
④出産した段階
人数的には、どの選択肢にも同じくらいの生徒が
手を挙げました。
ただ、授業に参加してくださった出産経験のある方は、
妊娠がわかって、お腹で子どもの心音が聞こえたとき、
とおっしゃっていました。

そして、「命」を実感しようと、お腹の胎児を
超音波で見たときのビデオを見せました。
最初は本当に小さい命が次第に人間らしくなって
目も口もわかるようになってくる様を生徒たちは
真剣に眺めていました。
胎内ビデオを見た生徒たちの感想です。
○命の凄さを知りました。
○あんまり赤ちゃんという感じがしなかった。
○よくここまでおおきくなったなぁ。
○動いてた。
○すごくはっきり見えたことに驚いた。お腹のなかで必死に
生きている赤ちゃんが凄いと思った。
○どこが頭でどこがからだなのか分からなかった。
あんなにちいさいのに、大きくなるなんて凄いと思った。
○活発に動いてるんだ・・・。


「命」を授かるってどういうことだろう?と質問を投げかけ
もし、みんなが父親になるってわかったら、母親になるってわかったらと想像して書いてみようとワークシートの記入を
してもらいました。
○父親になると分かったら、子どもに対して責任をもたなければならない。
○今まで一人分の命を持っていたけれど、家族の分の命も
持っていかなくてはいけないと思う。
○何も考えられない。
○やったー
○凄い重大なことだと思う。
○言葉にならないほど嬉しいと思う。でも、不安と恐怖はあると思う。
○うれしいのとふあんなのがごちゃごちゃだと思う。
女子生徒の大半がこの感想でした。
○そのときになんなきゃわからない。
○多分驚く。
○グレートと思う。責任を感じる。今後が楽しみ。

そして、ゲストの登場。
この日は、ご一家で参加してくださいました。
以前からのお友達のSさんご一家です。
上のお子さん(男の子)はちょうど2歳になったばかり。
下のお子さんが来年2月に出産予定です。
授業の前から、2歳の男の子は女子生徒に抱っこされたり、
男子生徒にぶつかっていってじゃれていたりと、
もうそこだけでも、よのなか科です。
ゲストの妊娠中のSさんにいろいろとお話をいただく。
実は、Sさんはなかなか妊娠しなかったところ、
上のお子さんの前にやっと授かった「命」を
失っていると経験がありました。
そして、現在の上のお子さんを授かったときの心境、
そして、現在二人目を妊娠されている心境。
上のお子さんを出産されたときの心境などをお話いただきました。出産を自宅分娩なさった選択についても伺いました。

そのとき、出産のときの写真もお借りしていたので、
拡大して、生徒たちに見せました。
ちょうど、お父さんになったばかりのSさんがはさみで
へその緒を切っている写真もあったので、
なんと、私が生まれたときのへその緒を持参して
生徒たちに見せました。

その後、上のお子さんのお相手で、教室の外に出ていた
お父さんに、同じように質問をさせていただきました。
そして、とても印象的なお言葉がいくつか・・・・。
「命の始まりも終わりもない。細胞は大甕氏から、今まで
そして、未来へと卵子を通して行き続ける。」
「親というのは、子どもを持った瞬間になるのではなく、
徐々に、子どもの成長と共に親もまただんだんと親に
なっていくものだと思う」
というお話をしてくださいました。

生徒たちの授業を受けた感想です。
今回は、特に、ワークシートに授業を受けてみて、
改めて命とは?という項目を書いておきました。
○40億年からつながっている。始まりもなkyて、終わりもないってSさんは言っていたけれど、終わりと始まりはあるのではと思った。
○始まりも終わりもないと思う。細胞はミ貸しからいままで、そして、未来へと移り変わり、生き杖受け手いるんじゃないですか?だから、死というのは終わりじゃなくて始まりなんだよ!わかる?このりくつ!
○40億年前に命は誕生したが、始まりも終わりもないのが命と分かった。人生のプラスアルファでもある。命は絶え間ないものだということを感じた。
○永遠のもの。
○今から自分が父親になるなんて想像もできないけれど、命は大切にしてたやしてはいけないと思った。
○命のバトン。
○今Sさんのお腹に赤ちゃんがいることを知り、
命がまた一つ産まれる打と思うと嬉しくなりました。Hちゃん(上のお子さんです)かわいい!
○人って不思議だな・・・生まれたときから命なんだよぉ。
命は失いたくないですね。
○産まれてくる間に嬉しいこと、大変な事もあることもわかりました。そして、子どもがいることは本当に嬉しいことだとわかりました。
○大切!

などなど。Sさんの命の始まりも終わりもないというお言葉が
一番生徒の中に響いたようでした。
なんの変哲もない授業でした。
ただ、授業にSさんご一家が来てくださった。そのことの意味がとても大きかった授業でした。
なかなか子どもに恵まれなかったSさんが初めてのお子さんを
亡くされたこと、そして、Hちゃんを授かって出産し
子育てをしている。二人目のお子さんがお腹にいる。
お父さん、お母さん、子ども。それぞれの思いや、役割など、
「命」と共に、「家族」というものを考えさせられた授業
だったと思います。これは、当初、考えもしていなかった
副産物だと思います。

この授業で生徒たちがなにか大きく変わったということは
ありません。でも、少しずつ、生徒たちの中に、
楔を打ち込んでいるような気がしています。
地味ではありますが、ある意味でフリージアのよのなか科だと
思わせてくれた授業だったと思います。

ご参加くださった方の感想もお書きいただけたら嬉しいです。