や小銭確かめコップ酒  金子秀重

   朝日新聞「俳壇」への投句2022.1.16掲載

 

以前に書いていた「虚構の街」シリーズの中で自分の経験として、この句のような情景を書いたことがある。

新橋駅前の場外馬券売り場で持ち金を使い果たし、最終レースの馬券を買った後、ポケットに残った小銭をかき集めて、駅前立ち飲みの焼き鳥屋で、焼き鳥2本ぐらいをつまみに焼酎コップ1杯を飲むのだ。こういう所は、後で「金が足りない」とか言わせないように、酒も焼き鳥も現金と引き換えで渡される。だから、帰りの電車賃を取っておくのを忘れてはならない。

 この句を新聞の投句欄で見つけて驚いた。自分と同じような体験者がいるのだと。でも当たり前だ。過去にコップ酒を飲んだ時にも、立ち飲みのカウンターは客でびっちりだった。その中に俳句の心得のある人が一人二人いてもおかしくない。(文:海千)

「みんなでメシ食おう」(写真:南岳)