ポールはプラリーヌ・アンド・クリームの大きなコゥンを食べた。私はなにも注文しなかった。

  帰る途中、ポールが言った、「どうしてアイスクリームを食べなかったの?」

「自分で決めた交換条件だ。ビールを飲んだらデザートは食べない」

「両方とも、ということはしないの?」

「しない」

「絶対に?」

 私は運転しながら大きく胸をふくらませて、重々しい口調で言った、「男は、こうと決めたことは守らなきゃならねえんだ」

 暗くてよく見えなかった。ポールがもう少しで微笑を浮かべそうになったような気がした。

(「初秋」ロバート・B・パーカー、菊池 光訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)

「サンモリッツは今日も雨だった」 (写真:南岳)