「千と千尋の神隠し」は2001年に公開されて以来、老若男女を問わず大人気を博し、年間映画興行収入1位記録を約20年間保ち続けたが、昨年末「鬼滅の刃」にその座を譲った。「となりのトトロ」「風の谷のナウシカ」、宮崎駿のどの作品にも独特の世界観が溢れている。「千と千尋の神隠し」も同様だが、その世界観を宮崎駿はこう書いている。(海千記)
「言葉は力である。千尋の迷い込んだ世界では、言葉を発することはとり返しの つかない重さを持っている。湯婆婆が支配する湯屋では、「いやだ」「帰りたい」と一言でも口にしたら、魔女はたちまち千尋を放り出し、彼女は何処にも行くあてのないままさまよい消滅するか、ニワトリにされて食われるまで玉子を産みつづけるかの道しかなくなる。逆に、「ここで働く」と千尋が言葉を発すれば、魔女といえども無視することができない。今日、言葉はかぎりなく軽く、どうとでも言えるアブクのようなものと受けとられているが、それは現実がうつろになっている反映にすぎない。言葉は力であることは、今も真実である。力のない空虚な言葉が、無意味にあふれているだけなのだ。」
(不思議の町の千尋―この映画のねらい―宮崎峻「 千と千尋の神隠し」プログラム)
「ブライスキャニオン ナバホ ループトレイル」(写真:南岳)
