高円寺北口の純情商店街入り口付近で販売しているのは、O・Sさん(50歳)
「販売しながらあらゆる人とこだわりなく話すので、ここを行き来している人は、もうほとんど顔見知り。自分はもう高円寺の風景の一部になっているのかなという気がします」(中略)
中でも印象的なのは、このエピソードだ。近くの商店で買物を終えた60歳ぐらいの女性が、販売に励むOさんの姿をじっと見ていた。しばらくすると近寄ってきて1冊ほしいと言う。五百円玉を出されたので、おつりの二百円を渡す。すると、そのうちの百円玉1枚がOさんの手に返された。普段はおつりをそのまま受け取らないOさんだが、その時は断れなかったという。「苦労の多い人生だったのだと思います。彼女の顔にはそれが刻み込まれていました。自分も裕福ではないけれど、互いにがんばろうという気持ちが込められた百円。『少ないお金だけれど、分かち合いましょう』という声が聞こえた気がして、その瞬間に涙がボロボロ出てきて、止まらなくなってしまって・・・・」(後略)
(「THE BIG ISSUE」2010.8.1、148号、「今月の人」O・Sさん 文:沢田恵子)
「生き馬の目抜き駅」 (写真:南岳)
