難しいが勉強になる話
■賃金下落は運命論ではない
ここまでの説明は、人口が減少すると、そこで賃金下落の作用が生じるというメカニズムを主に扱ってきた。韓国の人口増加率も、2005年くらいから極端に低くなっている。先行きは、日本と同じようにマイナスに転じる可能性がある。ちょうど90年代後半に日本の人口増加率が鈍化したことを振り返って、現在の韓国の人口が13~15年前の日本の状態によく似ている。韓国でも、10数年先には日本と同じような物価・賃金の下落が恒常的に起こるようなことが起こり得るかもしれない。もうすでに、ここ数年の韓国の実質賃金下落は、そうした流れを反映している面があるのかもしれない。
もう少し厳密な話をすると、筆者は、「人口減少が賃金下落を引き起こす」という作用があっても、それが賃金行動を完全に支配する運命であると考えている訳ではない。そうではない未来もある。それは、人口が減少しても、国内企業が輸出拡大を目指して設備投資を増やし、正社員の雇用を活発化させるケースである。輸出中心に国内雇用が増えれば、賃金は上昇する。人口減少がそのまま国内需要の減少にならないようにするには、海外の需要増を輸出拡大を通じて国内に取り込んで、需給バランスを需要超過に導くことである。
日本では、製造業がグローバルに事業展開する時代になって、国内投資を増やすよりも、中国・タイ・ベトナムへの工場立地にすることを優先するようになった。そうした影響もあり、日本企業の設備投資残高(資本ストック残高)は、史上初めて2009年末にマイナスになった。これに驚いた政府は、最近になって法人税を減税したり、貿易自由化を一気に進めようとTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を主張するなど、具体的な対処を進めようという政策的な議論が巻き起こっている。
しかし、政治的にみると、産業空洞化に対抗する政策論は、企業優遇に反対したり、農業保護を主張する政治勢力がまだ強い力を持っているので、なかなか前に進めない。日本では、経済衰退を合理的な制度設計で回避する勢力と、近視眼的な経済利害にしがみつく勢力が水面下で戦っているのが実情である。
熊野英生=第一生命経済研究所首席エコノミスト
PR)在宅電脳せどり PERFECT
http://news.livedoor.com/article/detail/5611158/
※この記事の著作権は配信元に帰属します
大震災:いま、これから 札幌で復興支援考えるシンポ /北海道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110605-00000013-mailo-hok
■賃金下落は運命論ではない
ここまでの説明は、人口が減少すると、そこで賃金下落の作用が生じるというメカニズムを主に扱ってきた。韓国の人口増加率も、2005年くらいから極端に低くなっている。先行きは、日本と同じようにマイナスに転じる可能性がある。ちょうど90年代後半に日本の人口増加率が鈍化したことを振り返って、現在の韓国の人口が13~15年前の日本の状態によく似ている。韓国でも、10数年先には日本と同じような物価・賃金の下落が恒常的に起こるようなことが起こり得るかもしれない。もうすでに、ここ数年の韓国の実質賃金下落は、そうした流れを反映している面があるのかもしれない。
もう少し厳密な話をすると、筆者は、「人口減少が賃金下落を引き起こす」という作用があっても、それが賃金行動を完全に支配する運命であると考えている訳ではない。そうではない未来もある。それは、人口が減少しても、国内企業が輸出拡大を目指して設備投資を増やし、正社員の雇用を活発化させるケースである。輸出中心に国内雇用が増えれば、賃金は上昇する。人口減少がそのまま国内需要の減少にならないようにするには、海外の需要増を輸出拡大を通じて国内に取り込んで、需給バランスを需要超過に導くことである。
日本では、製造業がグローバルに事業展開する時代になって、国内投資を増やすよりも、中国・タイ・ベトナムへの工場立地にすることを優先するようになった。そうした影響もあり、日本企業の設備投資残高(資本ストック残高)は、史上初めて2009年末にマイナスになった。これに驚いた政府は、最近になって法人税を減税したり、貿易自由化を一気に進めようとTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を主張するなど、具体的な対処を進めようという政策的な議論が巻き起こっている。
しかし、政治的にみると、産業空洞化に対抗する政策論は、企業優遇に反対したり、農業保護を主張する政治勢力がまだ強い力を持っているので、なかなか前に進めない。日本では、経済衰退を合理的な制度設計で回避する勢力と、近視眼的な経済利害にしがみつく勢力が水面下で戦っているのが実情である。
熊野英生=第一生命経済研究所首席エコノミスト
PR)在宅電脳せどり PERFECT
http://news.livedoor.com/article/detail/5611158/
※この記事の著作権は配信元に帰属します
大震災:いま、これから 札幌で復興支援考えるシンポ /北海道
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