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フリーダ・カーロ―引き裂かれた自画像

堀尾 真紀子
フリーダ・カーロ―引き裂かれた自画像
ぼろぼろのタクシーが猛スピードで走り回る4車線の道路を、
信号なんて無視して横切っていく人たち。
屋台からはきついライムと、肉の焼けるにおいがする、雑然とした町。
いわゆる、発展途上国のムードがぷんぷん。
メキシコシティの中心部はそんなごったまぜみたいな雰囲気。

 

ところが、比較的きれいな路線バスに乗って南に下ると、

町の様子ががらっと変わってきます。

スターバックスなどの外資系飲食店がたくさんあって、家々もきれい。

フリーダ・カーロ博物館は、そんな静かで、

大きな一戸建ての邸宅が立ち並ぶ町の一角にあります。

外壁が真っ青。 中庭には大きな木や、南国風の植物が植えられていました。

 
フリーダ・カーロは、メキシコの女流画家です。
つながった眉で、エスニックな服装の自画像をたくさん描いています。
血を流している自分、中絶した子供、浮気した夫、
女性としての苦しみを、リアルに描いた絵。
あ、見たことあるかも、という人も多いのでは?
  
幼いころに小児麻痺をわずらい、10代の終わりに交通事故に巻き込まれる。
これは大きな事故で、背骨を損傷した彼女は、一生涯この後遺症に悩まされています。
さらに、結婚した相手は、大変な女性好きで、
ついにはフリーダの妹とまでも通じてしまいます。
  
サルマ・ハエック主演の映画もよかったです。が、もっと詳しく
彼女の生涯を知りたい人にはおすすめの本です。
  
著者が美術研究家の女性で、彼女の紀行文、エッセイといった感じで読めます。
彼女が、フリーダの絵に惹かれるところから始まります。
著者自身がフリーダのことを知らないところからなので、ページをめくりながら
一緒に知識を増やしていけるのがこの本のいいところだと思います。
 
不要な手術を何度も受けて、夫の気をひこうとするほど夫に執着したのはなぜか。
アメリカやパリなど、先進的な国を何度も訪れていたのに、
民族衣装に固執した理由など、フリーダの苦しみを見事にすくい取っています。
 
浮気性の夫に対抗する意味か、イサム・ノグチ(アメリカの新進彫刻家)や
レオン・トロツキー(共産主義者)と浮名を流したフリーダ。
男勝りで、勝気な女性のように描かれることが多いですが、
実際にはこまめに家計簿をつけ、家事をこなす女性であったことを知って、
余計に痛々しいものを感じました。
 
何か満たされない人に。
自分の心の奥底を覗き込むのがこわい人に。
彼女の絵は何かの起爆剤になるかもしれません。 
 
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