ここでちょっとモロッコ行きの途中のパリの写真はお休みにして、先のパリのカラー写真で使った、私の35㎜ズミクロンの写りについて考えてみる。

ものの本によれば、このレンズは通称「8枚玉」と言われ、その対称型レンズ設計には信奉者もいるほど、伝説的なレンズである。先の記事にも書いたが、私のレンズはいわくつきのものを安く買い、それをレンズの神様に修理してもらった。いや、正確にはレンズの神様ですら投げ出したものを、何とかお願いして直してもらったものだ。なので、私のレンズはこの伝説的レンズを評価するのに適切ではない。しかし安く手に入れた分気軽に使えるし、ライカの「眼鏡付き」と呼ばれる、ファインダーが50㎜用に設計されたライカM3のために35㎜を使えるように「眼鏡」を付けて50㎜枠を35㎜に変換する、というのは如何にも「技術で困難を乗り越える」ドイツ人的発想であると思う。

開放では何だかボヤボヤになるこのレンズを初めて持ち出したのは、2014年のトルコ行きであった。過去に紹介した写真ではあるが、ここに再掲してみる。イスタンブールでベリーダンスを見ながら食事ができるレストランでの、ベリーダンサーを捉えたその1枚は、私がこの「ボヤボヤ」レンズのファンになるには十分な写りだった。
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こんな1枚はデジカメでは撮れないし、ライカのレンズだったら撮れるというものではない。私がこのレンズを溺愛する理由をお分かりいただけただろうか。

しかしこのレンズは開放では「ボヤボヤ」なのだが、絞ると「カッチリ」とした絵になる。では先月日本で撮影した「カッチリ」した写真を紹介する。朝の駅のホームから見た光景なのだが、絞るはf8、シャッタースピードは1/125秒という、最も「普通の」写真の撮り方で撮ったものである。
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このアンバーがかったような写真は、何もライカの古いレンズでなくても撮れるけれども、しかし同じような写りは一眼レフのR型の50㎜ズミクロン(初代)や、同じく50㎜ズミクロンの2世代目(カラーフィルムに対応してモデルチェンジした、と言われている)でも得られる、私の好きな色合いで、これらもやはりフィルムで撮った感が満載だ。

そういえば国内でライカで撮ることは稀なのだが、こちらは先月新幹線で西へ向かったときの窓からの光景を撮ったもの。海外でもそうだが、窓を介して撮るとどうしても解像度が下がってしまい、暗部の描写が曖昧になるのは致し方ないか。
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さすがにモノクロフィルムで撮るときになかなかこの私の「ボヤボヤ」35㎜ズミクロン1本では勝負しがたいのだが、カラーフィルムとボディを2台持って行くときには、カラーフィルム側には気がねなく付けて行ける。何となればモノクロ側のボディと入れ替えることもできるからだ。縁あって眼鏡付きレンズはこのほかに35㎜ズマロンf3.5、20㎜ルサールf5.6とあるが、いずれも見た目もよく、また実際写りのよいレンズである。最近出番が少ない35㎜ズマロンだが、f3.5はその設計年度の古さから来るコントラストの低さが、モノクロになると豊かな階調となって現れることがあり、なかなか侮れないレンズなのである。