森博嗣著「すべてがFになる」 | 独身男子の戯言

独身男子の戯言

富士山に登ったときに見た景色。
もう少し感度の良いカメラが欲しいよな~★

俺が読んだ本について個人的な感想を述べる。

しかし極力ネタばれしないようにするつもりだ。

なぜなら君も読んでほしいから。

そういう本しか基本的に感想は書かない。

たいしたものでなければ日常の日記に書けばいい。

そう思う。

ではいこうか。







この作品に出会ったのはちょうど1年くらい前。

たまたま本屋で目に入って、

タイトルがやたらと気になって買ってみた。

これが森博嗣さんの作品との初対面だった。

つまり今回は読むのが2回目ということ。

しかし、

今回も鳥肌がたった。

この作品は本当にすばらしいと思うよ。



舞台は名古屋(作品の中では那古野と出てくる)近辺で、

作者の森さんが名古屋大学の先生ということで納得した。

この作品に出てくる島も漢字は違うが実際にある。

名古屋出身の俺には懐かしい感じがして、

それが彼の作品に引き込まれた理由かもしれない。



それでまずは登場人物だが、

冒頭からいきなり強烈なキャラクターが登場する。

真賀田四季という天才。

普通に「天才」という表現が使われているが、

このキャラクターを知ればそう思うはずだ。

すでにその時点で恐怖だよ。

もう飛びぬけている感じがとにかくすごいんだ。



そしてこの作品から10作品にわたり主役を務める2人がいる。

簡単に紹介しよう。

N大学工学部建築学科助教授の犀川創平と、

同大学同学部同学科1年の西之園萌絵だ。

この2人もキャラクターがとてもいい。

犀川先生は東野圭吾さんの作品で言えばガリレオ的存在。

彼を天才とは言わない理由は先ほどの真賀田四季がいるからだろう。

でも彼の思考はとても面白い。

そして西之園萌絵は、

那古野では由緒正しき家柄の超お嬢様。

両親を飛行機事故で亡くし、

高層マンションに執事と二人暮し。

叔父は愛知県警本部長で、

叔母は愛知県知事の婦人。

ん~実に名家だ(笑)

作中でBBQのシーンがあり、

そこで彼女は凄いセリフを吐く。

焼肉を食べて、

「へぇ…、たれが売ってるんですか…」とか、

「わぁ!焼きそばですね、これ。焼きそばって一度食べてみたかったの、私」とか。

もうこれには驚愕だ(笑)



まぁそんな濃いキャラクターが出てくるわけだ。

それで肝心の本作は、

孤島にあり、真賀田四季がいるハイテク研修所が舞台。

島ごと真賀田さんの私有地で、

西之園萌絵の力によりその島にゼミ合宿で訪れる。

犀川と西之園が研究所を訪れ、

そこで事件が起きるというお話。

内容はよくある密室殺人だ。

だがそこからの展開がすごい。

特に黄色い扉が始めて開いたときは恐怖だよ。

しかしあくまで君の脳内に映像が展開すればの話だけど。

読書は想像力だ。

そう、

普段から妄想なんかしちゃってる人には実にすばらしい。

脳内エンターテイメントってわけだ。

まぁとにかく読め。



俺が森先生の作品を好きになったのは、

登場人物は理系人間が中心ということ。

俺が理系人間だからね。

でもそれ以上に好きなのは、

犀川創平の思考の過程。

実に興味深いのだよ。

それを表現する先生の文章力に惚れた感じかな。



では作中で俺が気に入った文章をちょいと紹介しよう。



真実というものは他人の理解とは無関係です

思い出は全部記憶しているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ

時計の文字盤には、本当に不思議なことがある。
一般に、文字盤には、1から12までの数字が書かれている。
これは当たり前だ。
ところが、一時間は六十分なのである。
何故、1から60までの数字を書かないのか。
「2のところに長針があったら10分です」と小学生に先生は平気で教えている。
子供には、世間の厳しさを教えているのだろうか

神の作ったプログラムのバグこそ、人類といえる




どうだろうか。

少しは読んでみたいと思っていただけただろうか。

自分が好きなものを誰かに紹介するのは難しいな。

まぁもし読んだら感想を聞かせてくれ。



さて、

この次の作品は「冷たい密室と博士たち」だ。

また読み終えたら感想を書くよ。

参考として俺が読んだ森作品を列挙してみた。

しかし多いな。

短編集も含め作品の世界がつながっているところも面白いのだよ。

読み始めたなら是非最後まで読んで欲しいね。

ちなみに、

読む場合は必ず順番を守りたまえ。

何故なら登場人物が同じということは時間軸があるからだよ。

特に西之園萌絵の成長と犀川創平との関係が面白い。

ということで、

ではまたいつか。











<森博嗣著書で俺が読んだもの>

[S(犀川)&M(萌絵)シリーズ]
・すべてがFになる
・冷たい密室と博士たち
・笑わない数学者
・詩的私的ジャック
・封印再度
・幻惑の死と使途
・夏のレプリカ
・今はもうない
・数奇にして模型
・有限と微小のパン

[V(紅子)シリーズ]
・黒猫の三角
・人形式モナリザ
・月は幽咽のデバイス
・夢・出逢い・魔性
・魔剣天翔
・恋恋連歩の演習
・六人の超音波科学者
・捩れ屋敷の利鈍
・朽ちる散る落ちる
・赤緑黒白

[四季]
・四季 春
・四季 夏
・四季 秋
・四季 冬

[短編集]
・まどろみ消去
・地球儀のスライス
・今夜はパラシュート博物館へ
・虚空の逆マトリクス
・レタス・フライ