料理のマネジメント キッチンを制する者がビジネスを制す!/酒井 穣
¥1,575
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内容紹介(Amazonより転載)
前代未聞のビジネス書、登場!
ビジネスの鉄則をキッチンで学ぶ!? ヒントは「経営学」にあり。

著者曰く、経営学とは「誰かのために、何かをして、喜んでもらう」という、
人間の幸せについて考える学問である。
であるならば、料理に応用できないはずはない!
そんな“発見”から生まれた前代未聞のビジネス書。
「美味しい料理」とは「顧客満足」である
ランチェスターの法則を活用すれば素人でも一流シェフに勝てるなど、
キッチンを舞台に、驚きの論理展開から経営学と戦略論の基礎を体得せよ。


   
感想
「ビジネス書」とありますが、基本的に料理の本です。
想定されている読者は日常的に料理をしない人、おそらく年配の男性なのだと思います。そのためターゲットから思いっきり外れている私にとって、なんだか驚きの連続でした!

まず前書きで「料理は、誰かに、なにかをして、喜んでもらうための手段であって、それ自体が目的ではありません。」てゴシック体で書いてあるんですけど・・・

は?何当たり前のこといってるの??

日々家族の為に料理してる人にとってみれば、別に料理人を目指している訳ではなく、あくまで家族の健康やらその他色々(詳しくは最後に)の為ですよね?

じゃこの本の料理の目的は何かと言うと、
上にあるように「人に喜んでもらうため」なんですが
その手段として、「普段料理をしない人でも最小最短の努力でプロに勝てる料理を作ってあげる」という方法を挙げているのです。

ここでまた疑問・・・

プロに勝たなきゃダメなの?
家庭料理と商売でやる料理はまったく目的が違うよね??


そんな疑問を抱きつつも読み進めますと、ともかく色んな理論から結論付けられた、素人が最小の努力でプロに勝てる可能性のある料理は、カレー、餃子、バーニャカウダ、なんだそうです。

そしてその作り方の解説がまた面白いです。
プログラム関係なのかな?並列処理を表すのに使うアクティビティー図、というものでカレー作りを説明してくれます。
こんな感じの図で…(本のページは載せられないので、wikiコモンズから画像持ってきました)

なんか、もんのすごい難しそうなんですけど
スパイス混ぜて作る本格カレーとかじゃないですよ、「こくまろ」使っていいカレーですからね。

なんでわざわざ料理をここまで複雑に難しくしなきゃならないんだっていう気持ちで一杯になりました。(正直、読みながら声出して笑ってた

ところがですね、ネットでレビューを漁って見てみるとかなり好評なんですよ、年配男性には。
(多分この記事下のzenback、関連リンクって所に色んなブログが出ると思うので、ご興味ある方は見てみて下さい。)

家庭料理って難しいのかな?
もしかして、普段やらない人にとってはカレーでもかなり難易度高いのかな?と改めて考えてしまいました。

アクティビティ図だってこう見ると複雑なようだけど、
料理する人は毎日頭の中で瞬時に考えて作業してますよね?
カレーとご飯の仕上げを揃えるどころか、それに加えてサラダやスープも同時に出来上がるように時間差で作業を開始してるし、
その合間合間に調理器具を片づけたり、翌日の下ごしらえさえする人もいますよね?
それって実はすごいかも・・・


例えば家の夫、手先は器用だし、食べること好きだし、BBQなんかやると完璧に仕切ってくれるし、料理をするためのポテンシャルは私よりずっと高いと思うのですが、何でもいいから夕飯を作ってほしいというと途端に尻込みします。
(男子厨房に…とかそういう意識の問題では無いです、片づけは普通にやっているので。)

思うにそれは料理の難しさ
◆(レシピをみても)明示されていないHOW TOが多い。(上の脳内アクティビティ図とか)
◆そのくせ旨いマズイの結果ははっきり出て、失敗によるダメージも大(ヘマしたら夕飯がなくなるw)
ってことなのかな?と感じました。

そういう部分が料理をやらない(主に年配男性)にはハードルが高いから、
ビジネス的に説明してもらうと、理解しやすくなるんですかね?

ってことは、男の人向けレシピ本は、アクティビティー図で解説すれば売れるのかな?って考えたり。(もうそういうのあるのかな)

改めて、自分は何のために料理しているのか考えてみた
漠然と、家庭料理とお店の料理は違うよなと感じてましたが、改めて自分にとっての料理の目的(主に子供に対して)を探ってみると・・・

健康管理:栄養をしっかり取れる食事。
共通体験:一緒に調理作業する。同じ食卓を囲む。
文化体験:主に行事食のおせちやちらしずし、四季により異なる食材など。
技術習得:包丁や火の扱い方、衛生観念を育てる
勉強の機会:お手伝いしながら算数、理科、社会、なんでもできるよ!
愛情表現:好きなものを作ってあげる、美味しいものを作ってあげる。

結構沢山ありました・・・
比率は、健康4:共通1:文化1:技術1:勉強1:愛情2 くらいかなぁ。

愛情表現は、別に料理である必要は無いんですけどね。
裁縫が得意なママなら何か作ってあげる、本が好きなら読み聞かせ、勉強得意なら教えてあげる、旅行好きなら一緒に行くとか、なんでもありですよね。
家の子供はたまたますごく食いしん坊で(「ママ今日の夕飯何?」と聞かれない日は一日として無い、私も料理は好きな方なので、うまく使っています。

ただ料理嫌いじゃないとは言っても毎日やるのはほぼ義務感なので、料理一つとってもこんなに意味があるのだぁ~!と無理やりモチベートしている訳です

他の皆さんにとっての料理の位置づけも聞いてみたいなぁ♪
料理をお仕事にしている人はきっと違うアプローチで日々の料理も捉えているんでしょうね。
プロでないとしてもとっても料理が好きで上手な方は、こんな理屈とかつけなくても、楽しく毎日やれているんだろうし(羨ましい・・・)

総合的には
面白い切り口の本ですし、普段あまり料理をしないがトライしてみようという方にはもちろん、お料理を仕事にしている方、男性に料理をやってほしい方などにもおススメします。(普段料理する方のスキル向上にはあまり役立ちません
おススメ度 ★★★☆☆