綾辻行人『殺人鬼――覚醒篇』あらすじ | 好奇心の権化、アクティブに生きたい。

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今回は、綾辻行人さんの『殺人鬼――覚醒篇』のあらすじと感想を。

 

まず、この記事であらすじを。

次の記事でネタバレ感想をつづっていきます。

 

(この表紙、怖いんですけど!)

 

 

【注意】

※オチに関わるネタバレ部分はカットしました

細かい部分ははしょってはいますが、これから読む予定のある人の閲覧はお控え下さいますようお願いします。

 

またグロテスクな表現が含まれます。

苦手な方は閲覧にご注意下さい。

 

 

 

■登場人物
・茜由美子
暗い大人しい女子大生。20歳。愛称は「ユッコ」。麻宮(後述)いわく、死んだ母に似ている。由起子という姉がいる。

・磯部秀二
<TCメンバーズ>のリーダー。38歳。

・磯部真弓
磯部の妻。34歳。姉がいる。

・大八木鉄男
スポーツマンタイプで長身の会社員。27歳。英男という兄がいる。

・洲藤敏彦
チャラい軽い雰囲気のイケメン。24歳。康彦という兄がいる。

・千歳エリ
ビッチ男遊びが好きな美女。23歳。芳恵という姉がいる。

・沖元優介
キモオタデブオタク気質の太った大学生。21歳。

・麻宮(まみや)守
中学生の男の子。14歳。磯部秀二いわく、死んだ息子に似ている。透という兄がいる。

 

 

 

■あらすじ

茜、磯部夫妻、大八木、洲藤、千歳、沖元、麻宮の八人は、<TCメンバーズ>と呼ばれるサークルの参加者として、双葉山(ふたばさん)で合宿をしています。
合宿では初日の夜、磯部夫人の提案で、焚火を取り囲んでの「百物語」が行われていました。
この山に棲むとされている殺人鬼の話を大八木が始めた時、茜は「だめ」と叫んで地面に手を突いてしまいます。
見かねた磯部夫人は茜を伴って小屋へ戻りました。

日付が変わる頃には、焚火の周りには大八木と洲藤と千歳しか残っていません。
千歳は出し抜けに「散歩に行きたい」とつぶやきます。
洲藤は大八木に、どちらが一緒に行くかはコインで決めようと提案します。
その結果、千歳とは大八木が一緒に行くことになりました。

自分の運に絶対の自信を持っていた洲藤は「こんな筈じゃ」と深酒をします。
試しにもう一度コインを投げてみますが、またしても予想ははずれてしまいました。

一方、千歳は手頃な場所で大八木を誘います。
二人が絡み合っていると、背後から大男が忍び寄ってきます。二人は気付きません。
大八木は背中から、千歳ともども山の斜面に縫い付けるように、杭を突き刺されます。
大八木が串刺しにされたことを認識した時、彼は殺人鬼の振り下ろした斧に首を切断されました。

千歳は下腹部の衝撃に意識を失っていましたが、数秒後に目覚めます。
目の前で切断される大八木の首。
これは何かの冗談だと現実逃避を始めますが、直後にすさまじい痛みに襲われました。お腹の中が掻き回されるような痛みに、これが現実であると認識します。
殺人鬼に左足首を掴まれて「やめて」と懇願しますが、太ももから切断されてしまいます。次には左腕が。
最後には、首が。

一方、洲藤はすっかり酔い潰れています。
用を足そうとした時、足音が聞こえたので近付いてみると、目の前に千歳の生首が飛び込んできました。
四つん這いになって逃げようとしますが、後ろから殺人鬼に掴まれて、顔面を焚火に突っ込まれます。
虫の息になったところで放り出され、それでも逃げようと這い進みます。
殺人鬼は後ろから斧を振り上げました。洲藤の頭蓋が両断されます。


翌日。

午後になっても戻らない大八木たちを不審に思った磯部は、沖元と手分けして捜そうと提案します。
尾根筋へ向かう道に入って三人を捜していた時、嫌な臭いを嗅ぎ取ります。
その臭いが強くなった時、磯部の目には、絡み合ったまま首を切断された男女の死体が映りました。
背後で息づかいが聞こえて逃げようとした時、足がもつれて倒れてしまいます。その隙に右足を切断されてしまいました。
今度は左足に激痛が走ります。
殺人鬼は、半分繋がっている磯部の左足を素手でねじ切ろうとしました。

磯部は手にした棒切れを投げ付けようとしました。が、それが切断された人間の右腕だとわかった瞬間、悲鳴を上げて放り出してしまいます。
殺人鬼は磯部の手離した腕を拾うと、指先の方から磯部の口へねじ込みます。
磯部は口の中の手を噛み砕きました。食い千切った手首を吐き出すのと絶命するのは同時でした。
殺人鬼は斧を振り上げて、磯部の首を切断します。

一方、沖元は三人を捜す振りをしながら物置小屋の地下に入りました。捜索よりも探検がしたかったのです。
外で鳴り響いた雷の音に驚いて懐中電灯を取り落とした時、伸ばした指先が冷たいものに触れました。
それが洲藤の生首だと判断するなり、弾かれたように階段を駆け上がります。
地上に繋がる穴の縁に手をかけた時、その手に激痛が走ります。沖元は地下へと転げ落ちました。

沖元は目覚めると逆さ吊りにされていました。目の前に殺人鬼がいます。
殺人鬼はナイフで沖元の腹を横方向にさばいた後、錐(きり)を使って沖元の右目をくり抜きました。その目を口の中にねじ込んできます。沖元は胃から逆流してきた液体とともに吐き出しました。
殺人鬼が再びナイフを手に取ります。今度は縦方向に腹を切りました。その裂け目を手で開くと、飛び出してきた腸をまた沖元の口元へ持っていきます。
「喰えば、助けてやる」
すでに正常な思考など残っていなかった沖元は、助かりたい一心で自らの腸を汚物とともに貪りました。


夜になっても戻ってこない夫を心配した磯部夫人は、茜たちの制止も聞かず豪雨の中へ踏み出します。
向かったのは物置小屋。そこで宙吊りにされた首のない死体と、いなくなっていた者たちの生首を見付けます。焼かれてただれた洲藤、左目がえぐられた沖元、そして、夫である磯部も…

小屋の奥にひそんでいた殺人鬼に襲いかかられた夫人は、沖元の死体を盾にして外へ飛び出しました。
全力で走った先で転んだ時、ぶよぶよしたものを下敷きにしていることに気付きます。洲藤の死体でした。
その瞬間、二年前に自分が自転車でぶつかったのが原因で死なせてしまった子供のことを思い出します。
全てを諦めた夫人は、迫ってきた殺人鬼に首を締め上げられても抵抗しません。
意識がなくなる寸前、殺人鬼が手を離しました。大きな手の平で夫人の頭を両側からはさみ込んできます。その状態のまま、親指で眼球を潰されます。
夫人の首が百八十度回転すると同時に、はさまれた頭部は湿った音を立てて縦方向にひしゃげました。

一方、茜と麻宮はみんなの帰りを待つのに疲れてうたた寝をしていたところ、ガラスが割れる音で目を覚まします。
茜はガラス片の中に転がる二つの物体を見て悲鳴を上げます。左目をえぐられた沖元と、両目を潰されてひしゃげた磯部夫人の生首だったのです。
入口で激しい音がするかと思うと、殺人鬼が斧で扉を壊そうとしていました。広がった穴から差し込まれる腕に向けて、麻宮は鉈を振り下ろしました。
殺人鬼がひるんだ隙に茜を窓から逃がしますが、麻宮が逃げるには時間が足りません。
麻宮は小屋へ侵入してきた殺人鬼へ、携帯用コンロとライターを使って火を放ちます。雨に濡れている為、燃え移らせるまでは至りませんが、茜と合流する時間は稼げました。

二人は逃げますが、なぜか前方にいた殺人鬼に麻宮は肩を切られてしまいます。
麻宮は殺人鬼にのしかかられても茜へと右手を伸ばしますが、茜と手を繋いだまま、その手首は斧で断ち切られてしまいました。殺人鬼とともに坂道を滑り落ちていきます。

「にげて」
麻宮の口がそう動くのを見た茜は、身をひるがえして坂道を駆け上り始めました。

麻宮は殺人鬼の指に噛み付きます。
殺人鬼は引き抜くどころか、噛まれた手を麻宮の口に押し込み始めました。門歯を折っても拳は止まりません。口の両端が裂けても顎がはずれても止まりません。喉を裂きながら、さらにめり込ませていきます。食道を越えて、拳はやがて胃へ。
殺人鬼は拳を開くと、胃袋を鷲掴みにしました。腕を一気に引き抜きます。
少年の最期は、口から腸管の尾を引いた胃袋を引きずり出されるという、凄惨なものになりました。

一方、茜はもう走れないぐらい遠くまで来ていました。
それなのに、背後で足音がします。

もう逃げられない…
諦めかけた時、手に麻宮の右手を握り締めたままだったことに気付きます。
茜は斧を振り上げる殺人鬼へとその右手を投げ付けます。鉤形に硬直していた親指が、殺人鬼の右目に突き刺さりました。次の瞬間、振り上げられていた斧を落雷が直撃します。
茜はこの時に初めて、殺人鬼の顔をはっきりと見ました。

 

 

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以上があらすじです。

感想は次の記事に続きます。