夫が残してくれた最期の24時間。

集中治療室で、たくさんの管をつけられただ横になっている夫の側に寄り、手を握って呼び掛けたとき、とても弱い力だったけど握り返してくれました。

今でもはっきりと、あの時の温もりと柔らかな指の感覚を覚えています。

看護師さんが、意識はなくても聞こえていますから、たくさん話かけて下さいね。と言って下さり、いっぱいいっぱい話しました。

行くはずだった新婚旅行のこととか、教えてくれると約束したおいしいホッケ(魚)の見分け方とか、週末には夫の友達と義父に結婚報告をしに、初めて夫の故郷に行くこととか、、、夫と約束していたことをたくさん話しました。

お互い40年以上生きてきて、ようやく大切に思える心から愛する人と出会えて結婚して、これから二人で幸せになるんだよね!!って泣きながら夫に話かけていました。

看護師さんも、僕も新婚なので人ごとではないし、何と言っていいのか、、、と涙を流して慰めてくれました。
夫の最期に本当に心の優しい看護師さんに出会えたことが、せめてもの救いでした。

明け方、夫の兄(次男)が病院に到着、倒れる前の様子や倒れてからの経緯を話しました。

夫は男3兄弟の三男。次男を父親代わりのように慕っていました。

昨日私が訪れた実家というのは、次男の所で、本当の実家は飛行機で行く遠い場所にあります。

夫は家族との関係で色々あって、次男を父親代わりのように慕っていました。

温かい家庭に憧れて、年越しは次男家族の所で過ごしていた夫。次男の所が実家のようなものでした。

私と結婚して、私の家族と会う度に、家族団欒っていいね。と、いつも言っていました。

だから最期は、大好きだった次男に看取られ、家族に囲まれて旅立たせたい。天国に送り出したい。
行かないで!戻ってきて!とは贅沢なことは言いません。家族に囲まれて送り出せるよう時間を下さい。夫は私の為にたくさんの愛をくれたのに、私は何もお返しができていない。夫の為に私ができることは、家族で送り出せるようにすること、ただそれだけです。それしかできません。
ただそれだけが、神様へのお願いでした。