ウィキペディアで「北方領土」表記がある言語は…岡部芳彦・神戸学院大教授が大阪で講演
「北方領土の日」の7日、大阪市中央公会堂(同市北区)で北方四島返還を求める会合が開かれ、ウクライナ研究で知られる岡部芳彦・神戸学院大教授が「ロシアのウクライナ侵略と北方領土」と題して講演した。
岡部氏は講演で、ウクライナの首都キーウのロシア大使館前で毎年、北方領土返還のデモが行われていることを紹介。2014年にクリミア併合があったウクライナと日本は同じ問題を抱えているとして「クリミアはウクライナ、北方領土は日本と恐れずに言えるかが大切だ」と力説した。
また岡部氏は、インターネット百科事典サイトのウィキペディアの中で「北方領土」という名称を表記しているのは、日本語版とウクライナ語版だけだったと指摘。ただ今月に入り、ウクライナ語版でも北方領土でない表記に名称が変更されたといい「世界の人が知らない北方領土問題について、発信していかなければならない」と強調した。
会合は北方領土返還運動推進大阪府民会議が主催し、約300人が参加した。
政府が定める「北方領土の日」の7日、4島に近い北海道根室市で領土問題の解決を求める住民大会が開かれた。新型コロナウイルス感染対策の緩和で、3年ぶりに一般参加者を交えて開催。元島民を含む約850人が「北方領土を返せ」と気勢を上げた。
国後島出身の鈴木昭男さん(82)は、ウクライナ侵攻による日露関係の悪化に不安を募らせ「領土問題が置き去りにならないよう、政府には力強い外交交渉を求める」と訴えた。
曽祖母が歯舞群島出身という根室高1年、佐藤紅羽さん(16)は「問題への意識を高められるよう、全国の同世代に訴えなければならない」と決意を述べた。
「さっぽろ雪まつり」の会場でもイベントがあり、鈴木直道知事が全国から来た観光客らに「それぞれの地域でもより一層の支援と協力をお願いしたい」と呼びかけた。