登録内容と目的は? 犬猫にマイクロチップ義務化へ【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN
2022/02/01
今年6月からペットショップで販売される犬や猫への装着が義務化されます。チップには飼い主の連絡先が記録されますが、その目的は?
都内にある動物保護団体。
スタッフ
「飼えなくなった理由は何になりますか?」
「(母が)病気で入院して」
高齢の母親が飼っていた14歳のトイプードル。母が病気で入院し、親族でも引き取り手がないため、団体に保護してもらうことにしたのです。
スタッフ
「年齢的にはもうなかなか(引き取り手が)決まらない年齢ですので」
「がんばれよ」
この団体では、ひと月に15匹近くの犬や猫が保護されています。そして、新たな飼い主の元に行く前にあることを行っています。
犬猫譲渡センター 東京支部長
「マイクロチップが入っていない子には新たにうちの方で入れて、一度捨てられた子が2度目3度目がないよう、マイクロチップを入れて飼育放棄の抑止力にしたい」
環境省によりますと、2020年度に、迷子や飼育放棄で、保健所や動物愛護センターに引き取られた犬や猫はおよそ7万2000匹で対応が課題になっています。
そんな中、解決策の一つとして注目されているのが、マイクロチップです。マイクロチップとは、この小さい電子機器のこと。直径1~2ミリ、長さ1センチほどです。これを犬や猫の首の皮膚の下に注射します。
獣医師
「体が小さいので、皮下脂肪が少ない分、針が突き抜けないよう気を付けて行っている」
マイクロチップが埋め込まれた部分に専用の読み込み機械を当てると、15桁の番号が表示されます。この番号に飼い主の名前や住所、連絡先などを紐づけて登録しておく仕組みです。費用は病院によって違いますが、5000円から1万円程度です。このマイクロチップ装着が6月から、ペットショップやブリーダーなどの業者に義務付けられます。
こちらのペットショップでは既に15年前からマイクロチップが入った状態で販売しています。
「マイクロチップはこの首の後ろあたりに入っております」
元々は捨て犬、捨て猫防止のために始めましたが、マイクロチップにはもう一つ大きなメリットがあるといいます。
ペットショップ店長
「迷子になってしまった時や災害時にお客様と離れ離れになってしまっても、飼い主の元に連絡がいきますので、そういった理由での殺処分もなくなります」
アメリカの獣医師学会の調査では、マイクロチップを装着した犬が飼い主とはぐれた場合、50%以上で飼い主の元に戻り、装着していない場合の20%を大きく上回っています。既に犬や猫を飼っている一般の飼い主は6月から、マイクロチップの装着が努力義務となりますが・・・
飼い主
「よく脱走をするので、入れておいたほうがいいかなと思う」
「自分の手から離れたときに、身元が分かるものがあると安心」
ただ一方でこんな声も・・・
飼い主
「異物を入れるってどうしても抵抗がある」
「もし(マイクロチップが)自分の体に入ることを考えると怖い」
マイクロチップは、生体適合ガラスやポリマーで覆われているため、副作用はほとんどなく、一度装着をすれば半永久的に使用可能と言われていますが不安を持つ飼い主もいるのです。
この日、都内の動物保護団体に連れてこられた14歳のトイプードル。日々手放された犬や猫の引き取り手を探す中で、飼い主の情報がわかるマイクロチップは安易な飼育放棄の抑制に繋がると期待しています。
しかしそれ以前に、ペットを飼う人に考えてもらいたいことがあるといいます。
犬猫譲渡センター 東京支部長
「本来は捨てる抑止力になるために、マイクロチップを入れるべき問題ではなく、そもそも犬・猫を飼うのであれば、やはり命ですので、その子たちが命尽きる最後の日まで見ていただくのが当たり前の話ですし、やっぱり今一度飼う側の責任をしっかりと考えて欲しい」
犬や猫へのマイクロチップ装着の義務化 6月1日から
ペットが捨てられたり災害時に迷子になったりした時に、飼い主がすぐにわかるよう、販売業者に犬や猫へのマイクロチップの装着を義務づける法律が来月1日に施行されます。
ペットショップを運営する都内の会社は、飼い主に新たな法律の周知を進めています。
新たな法律の施行で、繁殖を行うブリーダーやペットショップなどの業者には、販売用の犬や猫にマイクロチップを装着し、犬や猫の名前や性別、品種、毛の色のほか、業者名を国のデータベースに登録することが義務づけられます。
また、飼い主も、犬や猫を購入する際、氏名や住所、電話番号などを30日以内に登録することが義務づけられます。
すでに飼っている人や譲り受ける人、保護団体などは、装着は努力義務となっています。
東京 江東区のペットショップの運営会社は、15年前から取り扱うすべての犬や猫にマイクロチップを装着していて、27日も会社の施設で獣医師による作業が行われていました。
獣医師などによりますと、マイクロチップは直径2ミリ、長さ1センチほどの円筒形の電子器具で、犬や猫の首から肩甲骨のあたりに注射器を使って装着します。
この会社では、飼い主からの問い合わせも増えていることから、ペットショップを訪れる飼い主にマイクロチップの仕組みを説明するなどして、新たな法律の周知を進めています。
環境省によりますと、迷子や飼育放棄などで自治体に引き取られる犬と猫は、令和元年度には8万5000匹余りに上るなどしていて、対応が課題となっています。
ペットショップの運営会社の担当者は
「従来は連絡先を書いた迷子札を首輪につけることが多かったのですが、外れてしまうこともあるので、半永久的に装着できるマイクロチップを推奨してきました。まだ、ペットに装着していない飼い主にも、正しい知識を知ってもらい、最適な選択をしてもらえるよう説明していきたい」
と話しています。
“いなくなった時に役立つなら心強い”
ペットショップを訪れた千葉県の40代の夫婦は
「やはり安心感につながる。いろいろな考え方があると思うが、ペットがいなくなった時に見つける手立てとして、少しでも役立つなら心強い」
と話していました。
東京 品川区の20代の男性は
「義務化については全然知らなかった。痛みがそれほどないなら、いいんじゃないかと思う」
と話していました。
また、千葉県の高校生は
「義務化は知らなかった。よく迷子のペットのはり紙を見るので、役立つのではないかなと思います」
と話していました。