1月から南鳥島沖レアアースの試掘開始 世界初の試み、中国の威嚇行動に「相当の危機感」

 

https://www.sankei.com/article/20251223-4A4NUB2NWBPJPO4SKAFJDGD4HY/

 

 

2025/12/23 18:08

 

 

 

 南鳥島(東京都小笠原村)沖に眠るレアアース(希土類)の試掘が来年1月に始まる。計画を主導する内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は23日、記者会見を開いて作業の詳細を説明した。レアアース泥を約6千メートルの海底から引き上げる世界初の試みは、圧倒的な生産シェアを持つ中国への依存脱却に向けた大きな一歩となる可能性があり、成否に注目が集まる。



 先端技術品の製造に欠かせないレアアースを巡っては、中国が経済的威圧の武器として利用しており、各国で〝脱中国化〟が課題となっている。



 SIPの石井正一プログラムディレクターは冒頭、6月の現地調査時に中国海軍の空母「遼寧」が日本の排他的経済水域(EEZ)内である現場海域を航行したことに触れ、「威嚇行動をとられることに相当の危機感を持っている」と訴えた。


 試掘は海洋研究開発機構の探査船「ちきゅう」を使用。出港期間は2026年1月11日~2月14日、うち海上での作業期間は約20日間を見込む。

 試掘では船から「揚泥管」を海底まで下ろし、水圧で固く締まったレアアースを含む泥を揚泥管に接続した装置で海水と混ぜて撹拌(かくはん)。軟化させた上で揚泥管内に発生させた水流に乗せ、船上まで押し上げる仕組みだ。



 22年に茨城沖の水深約3千メートルで実施した揚泥試験は成功しており、今回の試掘は難しさに「大きな違いはない」(技術担当者)と自信を見せる。


 27年2月から1日当たり350トンを採掘する大規模掘削システムの実証に移行する予定。その段階で埋蔵量や経済性などを評価する方針だ。


 南鳥島沖のレアアース泥は、陸上で採掘されるものと異なり、ほぼ放射性物質を含んでいないといい、対策コストを抑えられる可能性がある。

 より希少性が高い『重希土類』が多く分布しているとされ、埋蔵量は一部では「世界需要の数百年分」との見方もある。

 

 

 

 

 

<独自>塩野義とMeiji、中国依存脱却へ抗菌薬と原薬を積み増し 国産化急ぐ

 

https://www.sankei.com/article/20251223-GV47JPCDCJP47GVN4D34L4FXR4/

 

 

2025/12/23 15:43

 

 

 

Meiji Seikaファルマが在庫の積み増しを進めている抗菌薬(同社提供)

 

Meiji Seikaファルマが在庫の積み増しを進めている抗菌薬(同社提供)

 

 

 

 原薬を中国に依存している抗菌薬について、製薬大手の「塩野義製薬」(大阪)と「Meiji Seikaファルマ」(東京)が一部製品や原薬の在庫を増やしていることが23日、分かった。

 

 台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国政府が対抗措置を示したこともあり、中国依存から脱却する必要性が顕在化。日本の医療体制確保のため、製薬大手が原薬の供給途絶に備え必要量の確保に動いた格好だ。



 両社が積み増しを進めている主な医薬品は、医療現場で広く使用される「ベータラクタム系」と呼ばれる抗菌薬。

 

 抗菌薬は感染症治療や手術時の感染予防に不可欠で、供給が途絶えれば国民の命に直結する。このため、経済安全保障法で航空機部品や半導体などとともに「特定重要物資」の一つに指定されている。

 

 

 

 

 

 抗菌薬の原薬はほぼ中国に依存し、日本国内だけで一から製剤化することは現状不可能だ。このため両社は在庫を積み増すため中国からの原薬輸入を今はある程度増やし、国内での抗菌薬増産や原薬の国産化も進める。



 塩野義は原薬や前段階の原料について約23億円を投じ、1年分の在庫をなるべく速やかに確保する。Meijiは2024年度から段階的に抗菌薬の在庫を増やしており、今年度から1年分の製剤確保を目標に設定。在庫確保には数年を要する見込みだ。



 日本の抗菌薬は、薬価引き下げによる採算悪化を背景に中国での原料や原薬などの調達が常態化してきた。特にベータラクタム系抗菌薬の原薬依存率はほぼ100%に達しており、供給途絶時の医療現場への影響が懸念されている。

 実際、19年には中国の原薬工場のトラブルにより国内ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの抗菌薬生産が停滞し、手術の延期が相次ぐ事態が発生。国はベータラクタム系抗菌薬の生産に着手している国内製薬企業の支援を開始している。(清水更沙)



 抗菌薬 

 肺炎や尿路感染症、敗血症など幅広い感染症治療のほか、手術時の感染予防にも使われる医療現場では欠かせない医薬品。細菌の増殖を抑えたり、死滅させたりする働きがある。幅広く使用されるベータラクタム系抗菌薬はほぼ100%中国に依存。政府は2022年、経済安全保障推進法に基づき「特定重要物資」に指定し、安定供給の確保を進めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

H3ロケット打ち上げ 2回目の失敗、日本の宇宙開発に大打撃

 

https://mainichi.jp/articles/20251222/k00/00m/040/290000c

 

 

2025/12/22 19:56

 

 

 

 

種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット8号機

 

 

 

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日午前10時50分ごろ、H3ロケット8号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。

 

 約30分後に準天頂衛星「みちびき5号機」を軌道投入する計画だったが、第2段エンジンの燃焼が予定より早期に終了し、軌道投入に失敗した。

 

 H3は2023年に初号機の打ち上げに失敗しており、国産主力ロケットの2回目の失敗は日本の宇宙開発にとって大きな打撃となる。政府は対策本部を設置して原因究明を急ぐ。




 JAXAによると、第1段エンジンは正常に燃焼を終え、切り離すことに成功。

 

 第2段エンジンは2回にわたって燃焼するはずだったが、2回目の途中、ほとんど燃焼しないまま太平洋上空を飛行中に停止した。

 

 燃料の水素タンクの圧力が低下していたことが確認されており、推力も不足していたとみられるという。

 

 

 

 みちびき5号機は高度約3万6000キロの軌道に投入される予定だった。ロケットから分離されたか確認できず衛星の状態は不明だが、JAXAは軌道投入できなかったと判断した。

 

 

 

 

 ロケットは当初7日に打ち上げの予定だったが、第2段エンジンに搭載していた誘導制御に必要な装置に不具合が見つかり、17日に延期された。また同日には地上の冷却注水設備が異常を検知し、発射約17秒前に緊急停止。JAXAは設定が誤っていたことが原因と特定し、22日の再打ち上げに臨んでいた。

 

 

 

 みちびきは日本版全地球測位システム(GPS)とも呼ばれる衛星測位システム。衛星が出す電波はカーナビやスマートフォンの位置情報として利用される。

 すでに6号機を25年2月に軌道投入済みで、26年2月1日には7号機を打ち上げ予定だった。7基体制となればGPSなど他国のシステムに頼らない測位サービスが可能になるとしていたが、計画に遅れが生じることは避けられない情勢だ。総開発費は5~7号機で計約1000億円。

 



 H3は成功率98%を誇ったH2Aの後継となる日本の大型基幹ロケット。23年3月に初号機を打ち上げたが、2段エンジンに点火せず失敗した。

 

 以降は5機連続で成功していた

 

 8号機は全長57メートル、衛星を除いた重さは約422トンだった。



 H2Aはすでに引退しており、今回の失敗原因が特定され対策が完了するまで、今後の日本の宇宙開発に遅れが生じることになる。JAXAの山川宏理事長は記者会見で「国民からの期待に応えられず、心よりおわび申し上げる。事態を真摯(しんし)に受け止め原因究明する」と陳謝した。

 

 

 

【信田真由美、木許はるみ、中村園子】