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「次の首相にふさわしい人」 石破氏20%、高市氏9% 世論調査




 22、23日実施の毎日新聞世論調査で、「次の首相にふさわしい人」を自民党の国会議員8人の中から選んでもらった。



 最も多かったのは石破茂元幹事長の20%。2位は高市早苗経済安全保障担当相の9%、3位は上川陽子外相の8%で、「この中にはいない」も39%に上った。


 4位は小泉進次郎元環境相の7%。5位は菅義偉前首相の6%、6位は河野太郎デジタル相、岸田文雄首相の各5%だった。8位は茂木敏充幹事長の1%。



 2月にほぼ同様の質問をした際は1位石破氏▽2位上川氏▽3位高市氏――で、上川氏と高市氏の順位が入れ替わった。高市氏は男性、上川氏は女性の支持が多い傾向が続いている。


 自民党支持層に限ってみると1位は岸田氏。2位は石破氏で、3位小泉、高市両氏▽5位上川氏▽6位河野氏▽7位菅氏▽8位茂木氏――だった。【村尾哲】








「ポスト岸田」世論調査で〝大異変〟高市氏が2位に急浮上 トップ石破氏「『女系天皇』検討発言」の波紋 菅氏は「新リーダー」に期待




毎日新聞が調査


 9月の自民党総裁選に向けた「ポスト岸田」への動きが加速している。


 派閥裏金事件での対応を受け、岸田文雄首相(党総裁)への支持は党内外で急速に収縮している。報道各社の世論調査では、知名度のある石破茂元幹事長(67)がリードしているが、保守層の期待を集める高市早苗経済安保相(63)が急浮上しており、毎日新聞の調査では2位につけた。


 岸田首相が主導した拙速なLGBT法の法制化は、安倍晋三、菅義偉両政権を支えた「岩盤保守層」の一部を離反させたが、石破氏がBS番組で明言した「『女系天皇』検討発言」も波紋を呼んでいるという。




 「先送りできない課題に取り組み、結果を出す。これ以外は考えていない」「時代の要請に応えて改正を考える機会を国民に提起することは政治の責任だ。一歩でも前に進めるべく努力を続ける」


 岸田首相は、国会が事実上閉会した21日、記者会見に臨み、衆院解散や自民党総裁選、憲法改正への思いを聞かれ、こう語った。


 総裁再選への明言を避けたかたちだが、首相周辺は「(岸田首相には)防衛装備移転政策の転換など実績はある。安倍晋三内閣にも負けていない」と語るなど、意欲はあるようだ。ただ、岸田首相を取り巻く情勢は日々、〝悪化〟している。



 国会閉会に前後した各社の世論調査では、岸田内閣の支持率は相次いで「政権発足後最低」を更新した。24日朝刊でも、読売新聞が「内閣支持率最低23%」、毎日新聞が「内閣支持率17%」などと報じた。



 岸田首相が「火の玉」になって実行するとした改正政治資金規正法も評価が厳しい。共同通信(23日公表)の調査では、8割近くが、法改正に「効果がない」「あまり効果がない」と断じた。


 政権浮揚の〝切り札〟とされた6月の定額減税も、同調査で69・6%が「有効だとは思わない」と答えた。


 岸田首相の総裁再選を期待する声は乏しく、自民党内外で早期退陣を求める声が噴出し、「ポスト岸田」への動きが本格化しつつある。


 こうしたなか、岸田政権と距離を置く菅義偉前首相が23日、事実上の「退陣要求」をブチ上げたと、波紋を呼んでいる。



菅氏は、同日公開のインターネット番組で、

「『このままでは政権交代してしまう』との危機感を持つ人は増えている」

と述べ、

派閥裏金事件で自身は責任を取らなかった岸田首相の姿勢に

「政治不信の一因」

があるとの考えを示した。


また、総裁選での「新リーダー」登場に期待を示し、

「党刷新の考え方などを理解してもらえる最高の機会だ。きちんと対応していくことが一つのチャンスだ」

と強調した。



世論調査では、興味深い〝兆候〟もあるようだ。



前出の毎日新聞の調査では、「次の首相にふさわしい人」として、1位は各種調査でトップに入る石破氏(20%)だったが、2位に高市氏(9%)が入ったのだ。



八木秀次氏「石破氏なら自民党の『コアな支持層』ますます離れる」

 保守派に支持される高市氏は、岸田首相が選ばれた2021年9月の自民党総裁選で、国会議員票で100票ラインを超え、河野太郎デジタル相を大きく上回る2位に付けた。先の通常国会では、「安倍晋三元首相の宿題」といわれたセキュリティ・クリアランス(SC)制度の法制化を実現した。外交・内政の諸課題で毅然(きぜん)とした姿勢を示し、大阪や福岡、広島、高知など全国各地で開催している講演会は大盛況となっている。



 昨年6月に成立したLGBT理解増進法の拙速な法制化で、自民党を支えてきた「岩盤保守層」の一部は離反したとされる。高市氏の「躍進」は、自民党の保守色喪失に危機感を持つ支持層の意思表示なのか。



 麗澤大学の八木秀次教授(憲法学)は

「現在、総理総裁候補として、名前が出ている中では、高市氏に一定程度の期待があるのだろう。高市氏は、自覚的にリーダーとしての振る舞いも必要になってくる。どこまで仲間や支持を拡大できるかが注目される」

と指摘する。



一方、石破氏は18日のBSフジの番組で、安定的な皇位継承をめぐり、「女系を完璧に否定していいのか」と述べて、「女系天皇」の検討に含みを持たせる発言をした。保守派を中心に、女系天皇容認は「皇統の断絶」につながるとの指摘もあるだけに、波紋を呼んでいる。



八木氏は

「石破氏は、社会政策で立憲民主党に近い側面もある。人気の背景には、野党支持層や『自民党嫌い』の層からの支持があると読むこともできる。石破氏は『女系天皇』容認に含みを持たせる発言をしており、総裁になれば自民党自体が変質しかねない。自民党には、選挙に勝つためなら、人気のある人を担ぐ『クセ』がある。石破氏を総裁にすれば、保守二大政党制から『リベラル左派二大政党制』になる恐れもある。そうなれば、自民党の『コアな支持層』はますます離れ、取り巻く状況は厳しくなっていくのではないか」

と分析する。




 岸田首相が唐突に主導した「派閥解消」により、合従連衡で一定の票読みができた総裁選は波乱含みだ。党内政局は、どこに向かうのか。