栄誉の果て 衛宮切嗣 | ゆめの ラブラブDream Diary♪
『栄光だの名誉だの・・・そんなものを嬉々として持て囃す殺人者には何を語り聞かせても無駄だ』

セイバー我が眼前で騎士道を汚すか、外道

『騎士なんぞに世界は救えない。こいつらはな、戦いの手段に正邪があると説き、さも戦場に尊いものがあるかのように演出してみせるんだ。そんな歴代の英雄どもが見せる幻想で、一体どれだけの若者達が、武勇だの名誉だのに誘惑されて、血を流して死んでいったと思う』

セイバー幻想ではない。たとえ命のやりとりであろうと、それが人の営みである以上、法と理念がある。さもなくば戦禍の度に、この世には地獄が具現する羽目になる

ほら、これだ

『ほら、これだ。聞いての通りさ、アイリ。この英霊様はよりにもよって、戦場が地獄よりもマシなものだと思っている。冗談じゃない。あれは正真正銘の地獄だ。戦場に希望なんてない。あるのは掛け値なしの絶望だけ。敗者の痛みの上にしかなり立たない勝利という名の財貨だけだ。なのに人類は、その真実に気付かない。いつの時代にも勇猛果敢な英雄様が、華やかな武勇談で人々の目を眩ませ、血を流すことの邪悪さを認めようとしないからだ。人間の本質は石器時代から一歩も前に進んじゃいない』





セイバー切嗣、分かっているのか。悪を憎んで悪を成すなら、その怒りと憎しみがまた新たな戦いを呼ぶだろう。衛宮切嗣・・・かつてあなたが何に裏切られ、何に絶望したのかは知らない。だがその怒りは、嘆きは、紛れもなく正義を求めた者だけが抱くものだ。切嗣、若き日の本当のあなたは、正義の味方になりたかったはずだ。世界を救う英雄を誰よりも信じ、欲し求めたはずだ。違うか?

セイバー





『終わらぬ連鎖を終わらせる。それを果たし得るのが聖杯だ。僕がこの冬木で流す血を人類最後の流血にしてみせる。その為に、たとえこの世の悪を全て担うことになろうともかまわないさ。それで世界が救えるなら、僕は喜んで引き受ける』

衛宮切嗣