こちらの中学生の課題図書を読了しました。

 

 

荒川はその名のとおり、あらぶる川として、人々を困らせつつも、生活になくてならないものでした。川から引いた水は大地を潤し田畑をつくり、また、運搬・交通の手段として重要な役割を果たしていました。江戸時代には飲料水にもなりました。

 

本書は、川と人の共生の歴史を記してします。高度経済成長期になると運搬の役割は車にとって代わられたそうですが、荒川だけでなく、日本に流れる有数の川を、人々の暮らしに密着に関わっていたことを感じとってもらえたら…。また、近年は気候変動による川の大氾濫や、川辺のゴミ問題など、環境に対する意識を高める一助にもなります。その点からも課題図書に選ばれたのではないかとおもわれます。

 

 

 

もう一冊。こちらは小学校高学年の課題図書から。

 

中村哲さんが5年前、アフガニスタンで銃に撃たれ亡くなられたニュースは記憶に新しいところです。彼は医師として、中東の地で人々を救っていましたが、根源から救うには、人々が自給自足の生活できるようにすることが先決だと考えました。不毛の大地による貧困、貧困による不衛生な環境と、栄養失調から病気にかかりやすくなり、仕事がないから兵士になる。戦争がつづく不幸の連鎖。

 

中村さんは貧困の連鎖を断ち切るため、「100人の医師の派遣より1本の用水路を」という信念の元、用水路を作ることを決意します。時代は911テロが勃発し、世界の国々が報復のためアフガニスタンを攻撃せんとするさなかでした。中村さんは訴えます。「アフガニスタンのほとんどはテロリストではなく、農民である」と。攻撃機が空を横切るなか、用水路の建設は進められていきました。用水路は、地元民が今後も建設・維持できるように、風土を生かした日本の江戸時代と同じやり方ですすめられたそうです。中村さんは医師でありながら、建築工学を独学で学びました。

 

また、中村さんは、現地の人々の風習や考え方をとても大事にしたそうです。相手を尊重する姿勢は平和そのもの。表紙の写真は、用水路が完成したときのもの、裏表紙は水の流れる豊かな用水路、巻頭にもいくつか写真があり、不毛の大地と、用水路が完成して麦畑になったあとの写真も掲載されています。小学生でもわかりやすい、一読の価値ありの一冊となっています。

 

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