シネマトゥディ

『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』

上野樹里&玉木宏

のだめと千秋先輩の関係は、

トランプでいう8流しみたいなもの
■のだめと千秋先輩の成長ぶりに期待

Q:映画版におけるのだめと千秋先輩の見どころは?

玉木:前編に関して言えば、千秋は伝統あるオーケストラ

の常任指揮者を任されることになるんですが、それがもの

すごく駄目なオケで……。千秋はまじめな男なので、必死

になってオケを立て直そうとするんです。でも、それに

よってのだめとの関係にズレが生じ始める。その二つの

局面が見どころですね。
フリードのブログ「パフュームの楽書き」-tmk91

上野:そうそう。千秋先輩は必死に頑張っているのに、

のだめはうじうじした恋愛モードに入っていくんです。

恋のライバルも登場しますし。今までは一緒にいることが

多い二人だったけど、今回は一緒にいることが少なく

なるんですね。まあ、のだめは千秋先輩をストーカー

しますけど(笑)。それぞれが自分の時間の使い方を

考えて頑張らなくちゃいけなくなる。そういった物語の

幅も面白いと思います。

Q:のだめと千秋が成長してきているということですね。

玉木:映画版の台本を読んで真っ先に感じられたのが、

二人の成長ですね。パリに行ってから1年以上が過ぎ、

それぞれ日本にいるときとは違う環境の中にいるんです。

上野:のだめはまだ甘えている感じなんですけど、

それでも千秋先輩にずっとべったりしているわけじゃない。

今までは、のだめちゃんという感じだったのが徐々に大人

の女性になりかけているので、その辺りの変化を観て

もらえたらうれしいですね。
フリードのブログ「パフュームの楽書き」-tmk92


■ヨーロッパでのケタ外れな撮影に感激!

Q:ヨーロッパでのロケも話題ですが、映画版ならではの

スケールを感じる撮影はありましたか?

上野:変態の森のシーンとか、クレーンを使って大掛かり

にしたり、細かいところにこだわったりしていました。

「そこに力を使いますか?」っていうくらい(笑)。

あらゆるところに時間をかけて、真剣に作っています。

もちろん、演奏シーンもすごいですよ。

玉木:数々の有名なホールで撮影ができたこともそう

ですが、ホールで撮影をするときなんて、1,000人近い

観客役のエキストラの人たちが毎日のように来てくれ

たんです。それができたのも、たくさんの地元スタッフの

方々が一生懸命手伝ってくれたからだと思います。

上野:毎回ホールの撮影現場の外に、救急車が待機

していたんです。長時間の撮影だったので、倒れる人が

出た時のために。「救急車か……」って、ちょっとびっくり

しましたね(笑)。それくらい大きなことをしているん

だって感じました。

玉木:そこまでのケアをしてもらっている状況がありがた

かったですね。大きなトラブルもなく済んで良かったです。

Q:旅のハプニング的なものはありましたか? 

財布を盗まれたキャストもいるようですが……。

上野:わたしたちは何もなかったです。だいぶ長いこと

向こうにいたのに……。

玉木:そうだよね。僕たちの方がむしろハプニングが

起こりうる状況だったと思うんですけど。

まあ、何事もなくて良かったです。


フリードのブログ「パフュームの楽書き」-tmk93

■のだめと千秋先輩の恋愛模様は生っぽい!?

Q:やはり気になるのはのだめと千秋のロマンスの行方

ですが、映画版ではロマンチックなシーンも観られますか?

上野:ロマンチックって!(笑)

玉木:ロマンチックかどうかはわからないですけど、

今までは二人の恋愛模様がきちんと描かれることが

少なかったので……。

上野:今までよりは、生っぽい感じですかね?

玉木:うん、すごく生っぽいし、一人の女性と一人の男性

として描かれている感はあります。僕ら自身、のだめと

千秋の恋愛感情をどっぷり演じるのは初めてでした。

上野:ただ、あまりにも生っぽすぎると、『のだめ』の場合

逆にがっかりされちゃう。その加減がすごく難しいですね。

玉木:そうなんですよ。ただ、そういった意味では、今までの

テレビシリーズでは観られなかった、初めてのものが

詰まっている映画だと言えます。


■合わないようで相性ぴったりの理由を分析

Q:のだめと千秋の関係をどう思いますか?

玉木:すごくいい関係だと思います。一見釣り合っていない

ように見えて、実はとても釣り合っている。歯車がぴったり

合っている気がします。それぞれがきちんと自分たちの進み

たい方向を見据えているのも、すごく気持ちのいいことだと

思います。

上野:のだめも千秋も身近にはいないキャラクターに

思えますけど、大げさに描かれているだけであって、

皆どこかにのだめ的な要素だったり、千秋的な要素を持って

いたりすると思うんです。それぞれ目指すものがある中で、

恋愛感情を抱き合っている。多くの場合、恋愛感情だけに

陥りがちでドロドロしたりもすると思うんですけど、二人とも

音楽という共通の目標を背負っているから、健康的な関係で

いられるんですよね。

Q:普通の恋人同士は乱闘とかしないですけどね(笑)。

玉木:まあね。そのへんは誇張ということで(笑)。

上野:トランプの大富豪で言う、8流しみたいなものですよ。

玉木:は、8流し?

上野:ごちゃごちゃっとしたものを、1回すべて流しちゃう

というか。のだめも千秋も、意外といろいろなものを背負って

いる人たちだから、まじめに背負うばかりじゃ人生やってられ

ないでしょう? 「飲んじゃえ!」っていうノリと一緒なんです。

玉木:なるほどね。しかも、そういったものを音楽できゅっと

締めていますからね。たとえ8流しをしても、

その後物語としてきちんと再生しているのが「のだめ」

シリーズのすごさだと思います。

Q:最後に、ご覧になる方にメッセージをお願いします。

玉木:今までテレビシリーズで培ったベースがありつつも、

映画版ならではのプラスアルファの要素がいろいろ詰まって

いると思います。奥深さも増していますし、テレビドラマから

映画になった意味を十分感じさせる作品に仕上がっている

と思います。

上野:人間的に成長したのだめと千秋を、今までよりもっと

身近に感じてもらえたらうれしいです。漫画から生まれた

キャラクターですけど、人間が演じているものですし、

二人とも人間だから。きっと共感してもらえたり、感動して

もらえたりすると思います。もちろん、コメディーとして振り

切ることも忘れていませんので!
フリードのブログ「パフュームの楽書き」-tmk94