雨戸によって作られた暗闇の中で
よく耳に慣れた着信音によってふと我にかえる。

感覚だけでもわかる腫れぼったい目をこすりながら
開ききらないまま「もしもし?」と答える。


「でた。」


電話先からはフレデリックの声。
昨日聴いた声よりも2割り増しくらい高い声で・・・

「どうしたの?」

私の手には壁からはがされたフレデリックとの思い出やら
受け取ったプレゼント、借りた本などをかかえていた。
無造作に貰ったまま律義に取っておいた紙袋につっこんでいく。

「泣いちゃダメだよ。」

いつものように優しい彼。
心配になったのかな?

「泣いてないよ。っていうか、マイクが起きっぱなしなんだけど。どうする?郵送でもいいけど。」

何度も何度も別れをかもし出してはくっついていた私たち。
今度こそお別れだ。そう言い聞かせていた。

「・・・いいよ。おいといて。」
「それだと困るでしょ?イヤじゃなければ会って渡すけど・・・」


お互い無言になった。


「・・・しよう?」


え?


信じられなかった。
このタイミングで?え?
どういうことなんだろう。ただただ戸惑って、さっきまで枯れきったはずの涙がまた頬を伝う。

「結婚しようか。」


もう、こんなことこの先おこらないように。

そういって、彼は私の隣にもどってきた。
何度も何度も絡まった糸をほどいて切れてしまった糸は紡ぎ直して
ちぐはぐだけど私たちの愛。


「うん。」


どんなことがあっても、どんなに理不尽なことになっても
それでも私がフレデリックに惚れていて
ずっと、ずうっと隣で魔法の言葉に触れていたい。
嘘でも良い。気まぐれでも良い。
それでもその魔法の言葉が雨戸から差し込む光を怖がらずに受け入れさせてくれる。


フレデリック。フレデリック・・・

一枚、一枚 壁に戻る思い出たち
笑顔が部屋に広がってゆく。
フレデリックが色をつけてく。


私、まだまだ子供だけど。
それでもやっぱりあなたがいい。
隣で一緒に歩んでいく事を許して。


包み込むその腕と香りに今日も。


I love you.