ポンパドール、ときくと私が思い起こすのは真っ赤な袋につまったパンの香りです

 

 

甘いにおい、お惣菜のにおい。甘いけど甘すぎず、かといってお惣菜のにおいが充満しているということでもない、ふたつの香りをいっぺんに吸い込んで、大きく真っ赤な、しっかりしているようでわりとすぐぐしゃぐしゃになってしまう紙の袋をのぞきこむ

 

最近ではのぞきこむことはなくなり、中身もみずにひょいひょいと手を伸ばしなにが入っているか取り出してみる。そうそう、このポンパドールのパンを大量に手元にあることは、毎度がいただきもの。銀座では深夜までお店が営業しているというので、祖母が仕事帰りに大量にもらったパンたちを家の玄関にぶらさげておいてくれたりする。

 

 

真っ赤な袋をがさごそさせるのはたいていが私で、どのパンを選ぶか、さいしょに収奪するのもたいていが私だ。家族のなかでパン好きは私くらいだし、チョコ系のパンがあったら弟のことを考慮して袋におさめておくが、まあそれでも真っ赤な袋のなかみたちを選び取る権利はほぼほぼ私にあるといっても過言ではない。

 

 

というと私がなにやらパンの主で、あれこれ自分で獲りたいものだけ獲り他のものはあたえない、という印象になってしまうであろうが、ママもパパも弟もなにせパン党ではないからである。ママはめったに食べないし、パパはクロワッサンは好きだけど他のパンを食べているのをみたことがないほどで、弟はそもそもあまり食に興味がない。ご飯だろうがパンだろうが、寝起きの朝にくちにいれるものはなんだっていいのだ。

 

 

しかし私にとって朝ごはんというものはそうはいかない。朝を制する者は一日を制するのである。私にとって朝ごはんというものはよろこびであり楽しみであり、一日をスタートさせるための駆け出しなのである。手を抜いてはならない、たとえお昼前に起きだして時間的にブランチになってしまいなにが一日を制するだもっと早起きしてから言えということをつっこまれようとも、そこにあるのは至福の時間であり貴重な優雅タイムなのだ。

 

 

ポンパドールのパンの種類はさまざま喰い尽くしただろうけど、ケーキはあまり手にしたことがないので、かわいい包装紙につつまれたブランデーケーキがこのポンパドールのものだと知ったときには驚きました。なにこのしゃれてる包装デザイン!かなりかわいいんですけど________!とテンションあがりまくり。もちろんブランデーのきいたパウンドケーキにもテンションあがり、一日にワンカットずつ嗜むというひとりじめを進行中。

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かわいいデザインにうっとり、いつもなら透明な袋にはいっているパンだらけのなかで、こんなキュートな包装紙があるなんて、と慎重にシールを剥がすも、慣れていないためところどころびりびりに。日本人的にはこういう包装紙をていねいにとるのが礼儀だけど、アメリカ人的には包装紙なぞ気にせずビリリッと破いてしまったほうが贈り主からしてみればきもちの良いことなんだっけなあ、とぼんやり思いながら、なんとか剥がせた紙を大事に保管中であります。

 

 

ポンパドール、というのはかのルイ15世に寵愛された妾のひとりポンパドール夫人から名前をえたもので、彼女は美人なうえに才女、そして美食家だったとされている。だからパン屋の名前を「ポンパドール」にしたらしい。へえ~、ちなみに発祥(一号店)は横浜の元町だそうで。へえ~