おとたまに会いに行くと、

おとたまはお手洗いにいた。

介助してもらっている。

「おとたま、お邪魔しますよー」と声をかけて部屋の中へ。

しばらくして、車椅子でおとたまがやってきた。

お互い手を上げて挨拶。

いつもは椅子に移るのに、今日は車椅子のまま、定位置へ。

最近歩かせてもらってないのかしらとちょっと心配に。

おとたまを待っている間におとたまの携帯のメールチェック。

おとたまの親友がメールくれていた。

読むのが一ヶ月後になってしまってごめんなさい。

おとたま戻ってきて読み上げるも反応薄い。


何かの話題から、

昔住んでた兵庫県伊丹市の話になり、

そしたら突然おとたまが、

「あれ?タバコどうしたかな」と

胸ポケット探り出す。


ますます呆けたかと心配に。


しかし、その後、

パラリンピックの話、

相撲観戦しながらの解説など、

段々と普段の饒舌を取り戻し、

クレバーおとたま、蘇ってくる。


さっきスルーした親友のメールに対しても、

「さっきのメール、あいつ、パソコン買ったんだつて?」と

突然、クレバー。

「娘が半額負担するって言ってくれてるから、買っちゃおうかなー。って言ってたんだけど、やっぱりお金もう少し貯めてから自分で買おうかなーとか言ってたんだよ」

そうなんですか?Fさんウインク

おとたまの解説付で見るテレビは、

いつも、新しい発見をくれる。


おとたまが突然綿棒で耳掃除始めた。

その、おとたまの耳を見てて、

面白可愛い耳だなぁと思って、

つい、口に出したら、

横から相方が、

「あのね、耳も2人、そっくりだからね!」


私、思わず鏡に走ったさ!

鏡に映った自分の耳と、おとたまの耳、見比べる。


同じだった…。


今日は、滞在してた2時間ちょっとの間に、

おとたま、3回もお手洗い行った。

いつもなら、一回は、

「長時間トイレ行かないのはおかしいって思われるから」

と、一回はナースコール的なの押して、

職員さん呼ぶのに、

今回は3回とも私に頼ってきた。


あとで、相方と意見が一致したのは、

おとたまの元に着いた時、おとたまのトイレ介助してくれていた方、

おとたま、苦手だったのではないか。

実は私も苦手で、

いや、介護をちゃんとしてくれないわけではなく、

なんか、人間っぽくないというか、

やるべきことをただやる、というか、

逆に腹立つぐらいなら、その方が良いくらい。


だから、おとたま、我儘言って、

もちろん計算したわけじゃなくて、

自然に体が、

自分を、

自分の精神を、保とうとしたのかもって。


おとたまとさよならした後、

夕飯食べようと店に入ったら、

急に気持ち悪くなって、

お昼食べ過ぎたかな、と思ってたんだけど、

相方曰く、

あの空気、俺も感じたけど、おまえも感じて、

いつも以上にテンション上げて

おとたま喜ばせようと頑張ったからだよって言ってくれて。


おとたまは、とても、人を見ている。

施設は、高齢化が進み、

以前、食堂でお話してた方が、

認知症になったりして、

普通に話せる方も減って来ているようだ。


そんな中で、ここ最近で、数人の施設デビューをされた方がいるらしい。


初めて来た方が、自己紹介した内容を、

おとたまは覚えていて、

私にも教えてくれた。


おとたまが施設に入った時、

仲良しになった男性陣は、すでに亡くなり、

女性陣も歳を重ね、

ボケる人も出てきて、

おとたまは、話す相手がいなくなった、と言う。


歳を取っても、話しかけてくれるのは、

前に書いた超上品なお姉さまと、

新しく入ったお姉さまぐらいだと。


私にできることは、

こうして、たまに会いに行くことぐらい。


そんな私が!帰り際、

「ごめんね。時間だから帰るね。また来るからね」

と、言うと、


「うん、しょっちゅう来てね」