看護師さんが何か私に用事があると、


ベッドの横の壁に紙に書いて貼っておいてくれる。


しかし、メモ書きなので、いまいち伝わらない。



先日は「座布団を持ってきてください」と書いてあった。



どういう座布団?何に使うの?


なんか立派な殿さまが座るみたいなの買わなきゃいけないのかな。


聞いてみれば、食堂の椅子が固くて痛いから、クッションが欲しい、とのこと。


あぶね!


おとたまだけ食堂で殿様状態になるとこだった!!!


※この話、結構看護師さんにもおとたまにもウケたので、してやったり顔になったゆきまる。



で、色々聞いて、今日、低反発のクッションを買って持って行きました。


「おとたま、持ってきたよぉ~」


おとたま「ありがとう。あとね」


「まだあるのか?」


おとたま「そこに貼ってあるでしょ」



なるほど、貼ってある。



「B5ノートと置時計を持ってきて下さい」



「お父さん、いろいろメモるから必要なんだ。

あと、お父さんの腕時計自動巻きですぐ止まっちゃうから、時間がわからなくなっちゃうんだ」


「だから、前から時計持ってこようか?って聞いてたじゃん」


おとたま「うん・・・」



ちょうど、紙が置いてあって、おとたまが色々落書きした跡がある。


絵は立体がうまくつかめなくて、左右ずれちゃったりするのだけど、


字は綺麗に書くんだよなあ。すごいなあ。



取り急ぎ、近所のコンビニに走って、ノートを買い、


自分が持ってた4色ボールペンを置いてきた。



おとたま「えっと・・・歩くとき気を付けること!」


「え?」


おとたま「書いて」


「いや、おとたまがメモるんじゃねえの?」


おとたま「明日からやるから。今覚えてること忘れないうちに書いて」


「(しぶしぶ)」


おとたま「いち、左足裏が接地されている感触をしっかり感じる」


「はいはい」


おとたま「車いすに乗る時気を付けること」


「二はないんかい」


おとたま「いち!止まったら、左右のブレーキをかける」


「いち。止まったら左右のブレーキをかける」


おとたま「に!左手を挟まないように気を付ける。あれ、痛いんだよ」


「はいはい」


おとたま「さん!板の上にちゃんと足を乗せる。あれも忘れると痛いんだ・・・あとは・・・」


「はい。じゃあ、後は明日自分で書いてください」


おとたま「うん。あ!あとね。今日すごく甘い物が食べたくて、ずっと食べたい食べたい言ってたら、看護師さんが、娘さんに頼んで買ってきてもらいなさいって。そしたらおやつの時間に出してくれるって」


「ほんと?」


おとたま「うん。カロリー制限とかあるから計算して」


「そうだよね。カロリー決まってるもんね」


おとたま「大丈夫そうなものなら・・・」


「何買ってきたらいいの?」


おとたま「・・・・・」



後で看護師さんに聞いたら、「たぶん、だめ」と言っていた。



甘いもの食べたい・・・と言って泣き出した父に、


「ゆきちゃんの家は、トイレにスロープ付いてる?」と聞かれ、


ぐぬぬ・・・


なんと答えてあげれば良いのか。



親戚に会いたい、友達に会いたい、ゆきちゃんに会いたい、


寂しがり屋の父に、


施設に入ってもらわねばならない現状をどう伝えればいいのか。



今ね、お父さんが24時間安全に暮らせる家を探している。


そこが次の段階。


そこを卒業したら、また次の段階。



おとたまは素直に「うん、まかせる」と言った。


すまんな。おとたま。



あと、すいません。


おとたまが自分でメールを打った、というのは違ったようです。


どうやら、今週見舞いに来た親戚が、打ったらしい。


でも、おとたまがメール打ちたがってるのを知って、


リハビリにも加えてくれるようです。



早く、自分で返信できるようになりたいね、と言ったら、


「うん。ゆきちゃんにもおやすみメール打ちたい」と言ってまた泣きました。



この年になって、


いきなり自分が知らないことが、突然いっぱい押し寄せてきて、


不安でいっぱいなんだよね。



人前では踏ん張ってる分、


今まで、かかさまと私の為に踏ん張ってきた分、


今は、踏ん張らなくてもいいよ。



おとたまは、素敵だよ。


昔も今も変わらず、愛情いっぱいの素敵なおとたまだ。