荷物を抱えて、おとたまの元へ。

メガネを見せると、すぐにかけてみた。

「度あってる?」

大丈夫。合ってるよ。


「見える?」

見える見える。


空色のシャツを出す。

「これで合ってる?」

そう、それ。置いておいて。

時計を見せる。

実はおとたまには何度も「時計は?」と聞かれていた。

特に高級な時計でも、いわれのある時計でもない。

だけど、出かけるときはいつもしていたし、

家にいる時はいつもテーブルの手の届くところに置いていた時計。

はめて。

と左手を差し出す。

左手?!

お父さん、左手、伸びるじゃん!!!


うん。


えー!えー!握ってみて~。

おとたまはしっかりと私の手を握ってきた。

麻痺しているはずの左手で。


お父さん、すごいね!人間ってすごいね!!

うん。お父さんもそう思う。

まだ思うように動かすことはできないみたいだけれど、

転院してきた時には、胸に抱えるようにしてたあの左手が!!

左手、もう悪さしない?

うん。しない。


だけど・・・右手が悪さしているようで・・・。

出ていた洗濯ものの半分がズボンだった。

パジャマのズボン、日常着のズボン。

普通なら週に2回のお風呂の時に替えるので、1枚しか出ていないはずのズボンが4枚。


どうも・・・

ついつい・・・

引っぱり出してしまうらしい・・・


普通の人と違って、曲ってるんだよね、ごめん(テヘペロ)。

ちがーう!!!

病院にいる時は、心電図を取ってしまうのではめられていた右手のミトン。

ここでは違う理由ではめられているようです。

おとたまが、

ここ退院したらどこ行くの?と聞かれたから、

ゆきちゃんに任せていますって言っておいたよ。

ゆきちゃんのいいようにしてね。

と言ってきた。

わかった。ありがとね。と返事した。