(GWの旅行記の続き)旅行11日目。これまでオストラヴァを拠点にスメタナのオペラを楽しんできましたが、今回のチェコ旅行の最後の2日はプラハに移動します。

 

朝早い列車でプラハに移動しましたが、日中の観光は5月8日に続いて、スメタナ/わが祖国の交響詩にちなんだ場所に行くことにしました。ということで、5番目の交響詩「ターボル」の舞台、プラハから列車で南に1時間のターボルのまちを訪れます。

 

 

(参考)2024.5.8 プラハ観光(ヴィシェフラド&ヴルタヴァ&シャールカ&スメタナ博物館)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12857932513.html

 

 

 

そのプラハ → ターボルの列車から眺める風景。モラヴィア地方に比べると、ボヘミア地方は森や山が多く、より立体的な風景という印象を持ちました。山や丘の間を縫って列車は走っていき、トンネルもありました。途中に集落が見えたり、古城が見えたりするのも本当に楽しいですね。

 

この日は晴れのお天気でしたが、陽光に輝くボヘミアの森や草原はとても美しい!そう、この列車からの風景自体が、わが祖国の4番目の交響詩「ボヘミアの森と草原から」にシンクロするのでした。(注:この交響詩は場所が特定されている訳ではないとのこと)

 

 

 

 

(写真)ターボル駅に到着。駅前には、さっそくフス戦争の英雄ヤン・ジシカのポスターがありました。

 

(写真)ターボル駅の前には細長い公園がありますが、そこでヤン・フス像を見つけました!プラハの旧市街広場だけにあると思っていたので、ここでも会えて感動!さすがフス派のまちですね!

 

 

(写真)同じ公園に咲いていた濃いオレンジ色がとても印象的な花。これはポピーなのでしょうか?それともヒナゲシ?(帰って調べたら、ヒナゲシはポピーの一種とのこと)

 

(写真)旧市街までの道の途中、本屋さんでアイスホッケーとフィギュアスケートのカップルの物語っぽい小説が売られていました。さすがアイスホッケーが人気のチェコ!

 

(写真)この辺りから、いよいよターボルの旧市街に入ります。

 

(写真)ターボルのまちの中心ジシカ広場。キリストの変容教会が存在感抜群です!

 

(写真)そしてヤン・ジシカ像!遂に会えた!フス戦争において、カトリック教会から差し向けられた十字軍を破って名を馳せて、数々の戦いに勝利したチェコの英雄です!

 

交響詩「ターボル」を聴いたり、下記のムハ/スラヴ叙事詩の絵を観たりする度に、いつか会いに行きたいと思っていたので感無量!

 

(参考)アルフォンス・ムハ/ヴィートコフ山の戦いの後

※ミュシャ展 -スラヴ叙事詩-(国立新美術館)で購入した絵葉書より

 

2017年のミュシャ展で展示のあったスラヴ叙事詩の大きな20枚の絵画のうちの1作品です。フス派の部隊とプラハ市民が十字軍に勝利した後の情景で、右側でヤン・ジシカが戦いの後に神に感謝の祈りを捧げています。

 

 

(写真)キリストの変容教会。美しい建物と対象的に、建物の内装は白で簡素ですが、木製の祭壇や左右の小祭壇、オルガンは立派でした。両脇のステンドグラスも美しい。

 

 

(写真)キリストの変容教会の塔は登ることができます。この入口から登ってみましょう!

 

 

 

 

(写真)ターボルのまちの風景。素晴らしい景観!川に対して丘の上にまちがあり、天然の要塞になっていることが良く分りました。茶色の屋根の家々は、どことなくエゴン・シーレの描いたまちの絵を思わせます。

 

(写真)上の写真中央の道の様に、ターボルのまちはまっすぐな道がなくて、曲がっていたり、カギ状に曲がっているのが特徴。敵から攻められないように戦いを意識して造られたまちなんです。

 

 

 

(写真)フス派博物館(市庁舎)。フス派の活動やフス戦争に関する展示を見ることができます。特に印象に残ったのは以下の通りです。

 

 

◯導入の12分の映像(オックスフォード大学での教義からヤン・フスの登場、フスが火あぶりの刑になるまで)が非常に見応えあり!

 

◯館内では交響詩「ターボル」に出てくるコラール「汝ら神の戦士たち」が流されていました!これは感動しました!そして、そのコラールの楽譜と歌詞の展示もあって、さらなる感動!

 

◯オックスフォード大学のJohn Wycliffe(イギリスの神学者)の業績に触れてフスの人生が変わった、という説明がありました。

 

◯フスが説教するのを1,000人くらいの民衆が聞き入る絵画。これは感動しました!

 

◯宗教裁判の行われたコンスタンスにて、宗教裁判長などの前でフスが堂々と自分の考えを主張するシーンの絵画にも感動!

 

◯そして、自身の正義を貫いた結果、1415年7月6日フスは火刑に処せられた、と展示がありました。

 

◯チェコとモラヴィアの452人の貴族によるフス火刑への抗議書

 

◯1419年7月30日にプラハの市庁舎の窓から議員が突き落とされる事件

 

◯フス派の闘いの様子のジオラマ。結構大がかりなもので迫力と工夫がありました。

 

◯ヤン・ジシカの肖像画も10枚くらいありました。チェコでどれだけ親しまれているのかが伺えます。

 

◯1421年のRabi城の闘いでジシカは目を負傷。ジシカの負傷した目は右目説と左目説の両方があるそうです。

 

◯ボヘミアの中での、1436年~1628年におけるカトリックとUtraquists(フス派の一派)とルター派の勢力図が色分けで展示されていました。1575年や1609年時点ではそれぞれの宗派がボヘミアの中で複雑に入り混じっていて、勢力が非常に拮抗していたことが良く分かりました。

 

 

 

 

 

 

(写真)まっすぐな道がないターボルのまち。中には人が一人だけ通れるような細い道も。歩いてみて、戦いのために建設されたまちということが良く分りました。日本のお城や城下町での工夫も思わせました。

 

(写真)もう一つのフス派博物館が入っているというコトノフ城

 

 

 

 

 

さて、ターボルのまちを大いに堪能したので、そろそろランチとまいりましょう!今回の旅のお約束で、ジシカ広場のテラス席のあるお店にしました。

 

 

 (写真)まずはターボルのビールLichvice。酸味がいい感じでキレがあり、後味に甘みを感じて美味しい!今回の旅ではいろいろな種類のチェコビールを味わってきましたが、チェコビールの多様性も奥深いですね~!

 

(写真)ローストポーク、ポテト・クネドリーキ・スピナーチ添え。クネドリーキ様が奥に恭しく鎮座されているお皿はチェコならでは。ビールにも良く合って、文句なく美味しい!ジシカ広場やヤン・ジシカ像を眺めながらのランチは最高!

 

 

 

 

 

 

 

ということで、ターボルのまちを存分に楽しんで来ました!

 

私はスメタナ/連作交響詩「わが祖国」が大好きなので、5つ目の交響詩となるターボルのまちには絶対に行きたいとず~っと思っていました。今回、その念願がようやく叶いました!

 

 

 

そして、この日の夜の観劇は、間違いなく今年2024年の世界中のクラシック音楽界でのハイライトの一つと断言できる公演。私の「死ぬまでにやっておきたい10のこと」の一つを成就できた飛び切りのイベント、大いなる感動の瞬間でした!

 

さて、その公演とは一体何でしょう?次の記事で!(続く)