みなさま、GWはいかがお過ごしでしたか?私は2019年以来、5年ぶりにGWにヨーロッパを旅してきました。

 

今回もクラシック音楽での最高の体験を始め(間違いなく今年の世界中のコンサートやオペラでのハイライトの一つ!)、あり得ないくらいに素晴らしい旅となりました!これからゆっくり記事をアップしていこうと思います。

 

 

 

 

 

今回の旅行はウィーンから入りましたが、最初に東京 → ウィーンのフライトについて。オーストリア航空を利用しましたが、以下の通り、その道中はとても楽しかったです。

 

 

◯まずは成田空港にて。オーストリア航空のチェックインカウンターでは、GWの日本の空港なのにオーストリアの方々ばかりずらっと並んでいました!

 

さらには、水を買おうしたところ、外国人観光客がずらっと並んでいて、セブンイレブンで水すら買えず!インバウンド&円安の破壊力たるや!笑

 

 

◯オーストリア航空に搭乗してフライト・インフォメーションの画面でフライトのコースの予定を見てビックリ!何と普通にロシア上空を飛ぶコース?これはオーストリア政府の政治力なのか?(結果は本記事の下の方で)

 

 

◯さっそく機内サービスの音楽を試してみました。ジョヴァンニ・アントニーニ/バーゼル室内管弦楽団のハイドン/交響曲53番・54番・33番、そして最初の1杯のオッタークリンガー(ウィーンのビール)で超ご機嫌に!

 

実はGW最初の3連休のもやもやした天気で体調が少し微妙でしたが、一発で元気になりました。フランツ、現金すぎる!笑

 

 

◯次に見つけたのが、大大大好きなヴァイオリニスト、ペッカ・クーシストさんがドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団(ブレーメン)とプロムス2023に登場した時の音源。4月の都響への客演も素晴らしかったヴィヴァルディ/四季でしたが、何が驚いたかって、曲と曲の間に民族音楽を入れて、それが抜群に四季に合っていたこと!中にはベートーベン/交響曲第7番第1楽章の旋律とそっくりな民俗音楽も!

 

これっ、クーシストさんが都響の公演パンフのインタビューで語っていたことですね〜。才気煥発な演奏が全く見事で、冬の第2楽章ではテオルボらしき楽器も絡んで古(いにしたえ)の響きが素晴らしい。会場も大盛り上がり!改めてペッカ・クーシストさんの天才ぶりを思い知りました。

 

 

◯途中、軽食として出てきたのは、オーストリア航空なのにツナマヨのおにぎり!笑 ほっこりしましたが、私はおにぎりは海苔がしっとり付いている方が好みなので、海苔が分離しているタイプのおにぎりは上手く包みが開けられず失敗…泣。

 

隣のイタリア人のご夫妻から、お腹が一杯になるからと1つ恵んでいただきましたが、2個目も失敗。日本人の面目が立たず…泣泣。

 

 

◯フライトの方は実際はロシア領には一切入らず、ロシアの国境の南側、中央アジアの国々の上空を飛んでいきます。カスピ海ではバクーのすぐ北を飛んで、黒海に向けてはソチの南を飛んで、綺麗にロシア領を避けて飛んでいきます。

 

黒海ではクリミヤ半島の南を飛びましたが、よくニュースで登場するセバストポリの表示が地図に出てきて、このすぐ北は戦地なんだな…と改めて実感。ウクライナのことは引き続き全力で応援しています!

 

 

 

 

 

(写真)ウィーンには18時過ぎに到着。ホテルにチェックインした後、近くのレストランで鳥の胸肉のローストとシュパーゲル・オランデーズソースを楽しみました。お供はグリューナーフェルトリナー(オーストリアの白ワイン)。

 

長時間のフライトの後なので、ホテルでサンドイッチとビールにしようか?とも思いましたが、この季節ならではのシュパーゲル(白アスパラ)の誘惑には逆らえませんでした笑。

 

 

 

(写真)翌日の朝食はお馴染みのトゥルツェスニエフスキーで。色あざやかで楽しい朝食ですが、以前は1ピース1Euroだったのが、今や1.7Euroに!日本も物価が上がっていますが、欧州の上がり方は半端ないです。

 

 

 

(写真)ウィーン初日の朝はお約束で、ウィーン市立公園を散策。まずはヨハン・シュトラウスⅡ世像。フライト中に「シトロンの花の咲くところ」と「南国のばら」の2曲のワルツを聴きましたが、改めて名曲と実感。

 

(写真)そして今年が生誕200周年となるブルックナー像!今年このブルックナー像に会うことができて大いなる感動!いずれブログにて報告しようと思っていますが、今年取り組んでいる「とあること」について、しっかり祈願しました。

 

(写真)公園すぐそばのレストラン。2022年の夏の旅行の最終日にここで料理&ワインの組み合わせで6皿楽しみました。旅行の打ち上げの楽しい食事でしたね。

 

(参考)2022.8.22 ウィーン観光(旅行打ち上げのディナー@MEIEREI)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12777554799.html

 

 

(写真)シューベルト像。3月のルドルフ・ブッフビンダーさんのベートーベン/ピアノ・ソナタ全曲のリサイタルは最高でしたが、今度はシューベルトも聴いてみたいです。

 

(写真)ウィーン市立公園の花時計。“Unsere Gärten”(私たちの庭園)という言葉が本当にいいですね。

 

(写真)ロベルト・シュトルツ像。昨年念願のオペレッタを観ることができ、素晴らしい音楽をありがとうございました!と報告しました。

 

(参考)2023.8.10 ロベルト・シュトルツ/春のパレード(バーデン市立劇場@ゾマーアレーナ)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12819241176.html

 

 

(写真)レハール像。レハールのオペレッタにもお世話になりっぱなしです。オペレッタ「ウィーンの女たち」の序曲の途中に出てくる夢見心地のピアノはいつかぜひ弾いてみたい。

 

 

 

(写真)ウィーン市立公園を後にして、時間に余裕があったので、カールス・プラッツまで歩きました。その途中にあるベートーベン像。

 

(写真)カールス教会。ブルックナーがお亡くなりになった時、この教会で葬儀が行われました。大勢の弔問客が訪れたそうです。その時に「すぐに私の番だ」と呟いて帰って行ったのが…

 

(写真)この方、ブラームスです。ブルックナーの交響曲のことを「交響的大蛇」と称したというブラームスですが、一方で評価していた曲もあったようです。

 

 

 

 

 

さて、ようやく本題に入りますが、この日は今年が生誕150周年となるアーノルド・シェーンベルクゆかりの場所を巡ることにしました。まずはウィーン近郊のメードリンクに行きます。ドイツ語のオー・ウムラウトの練習台にもなるメードリンク(Mödling)です。

 

 

(写真)メードリンクと言えばまずはベートーベン・ハウス。ここで、ミサ・ソレムニスやピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」が作曲されたそうです。

 

(写真)ウィーン近郊ではバーデンが好きですが、ここメードリンクも雰囲気のある建物が多く、そぞろ歩きが本当に楽しい。

 

 

(写真)そして今回のお目当てのシェーンベルク・ハウス・メードリンク。          

 

 

シェーンベルクはここメードリンクに1918年~1925年に住んでいました。その建物がそのまま残されているんです。鳥のさえずりが聞こえる閑静な住宅街。中にはシェーンベルクにまつわる様々な展示があり、興味深く拝見しました。特に印象に残ったのは以下の通りです。

 

 

◯冒頭に5分間の紹介映像があって、これが盛り沢山で興味深かったです。12音音楽の楽譜(数字入り)がいろいろ出て来て魅了されました!このメードリンクの家を拠点に、ハンス・アイスラーなど多くの音楽家を育てたことや、プーランクとミヨーがここを訪れたことも紹介されていました。

 

◯シェーンベルクが愛用したピアノ「Ibach」。何と「月に憑かれたピエロ」の初演でもこのIbachのピアノが使われたそうです!大いなる感動!

 

◯組曲op.29の象徴的な楽譜。12音音楽は必ずしも聴いて好みという訳ではありませんが、新しい音楽を模索する、その勇気と努力には大いに敬意を表します。

 

◯飛行機や船などの駒からなる4人でできるチェス!シェーンベルクが考案したそうです。

 

◯シェーンベルクは多くの絵画も描いています。後のウィーン幻想派を思わせるような不思議な絵が多くて興味津々。

 

◯シェーンベルクが使ったタイプライターや弦楽器の展示もありました。

 

 

(写真)シェーンベルク・ハウスの中庭では、生誕150周年記念の絵画展をやっていました。どれも印象深い絵。

 

 

 

 

 

(写真)ランチもメードリンクにて。シュパーゲルズッペとWeitra Bräu。もうばか美味!何と美味いスープ!ビールも高貴な苦味が堪らない!

 

(写真)シュパーゲル盛り合わせオランデーズソースとグリューナーフェルトリナー。こちらも堪らん!

 

サービスのお姉さんに「料理はいかがですか?」と言われた時に、あまりにも美味しくて、恍惚の表情でうっとりしたら、お姉さんと周りのお客さんに笑われました!笑

 

 

(写真)メードリンクの朝市に並んでいたシュパーゲル。この光景を見ただけで心躍ります!

 

 

 

 

 

久しぶりにメードリンクを楽しんだ後は、ウィーンに戻って、シェーンベルクの発信の総本山とも言うべき、アーノルド・シェーンベルク・センターに行きました。

 

 

(写真)アーノルド・シェーンベルク・センター。コンツェルトハウスの近くにあります。

 

(写真)シェーンベルク生誕150周年を記念した特別展のサイン。

 

 

このアーノルド・シェーンベルク・センターには一度来たことがあります。その時はシェーンベルク/グレの歌の初演100周年(2013年)の演奏の映像が流れていて、魅了されてずっと聴き入った思い出があります。

 

今回はシェーンベルク生誕150周年を記念した特別な企画展が開催されていました!特に印象に残ったのは以下の通りです。

 

 

◯シェーンベルクの描いたマーラーの埋葬の絵。マーラーの伝記で見たことがありますが、目を掛けてもらったマーラーへの尊敬の念を感じました。

 

◯シェーンベルク/弦楽四重奏曲第2番のスコア!!!無調の始まりと言われている曲ですね!

 

◯シェーンベルク/A Legal Question(1909)の直筆。弦楽四重奏曲第2番の初演がスキャンダルになり、その批評に対する反論。

 

◯シェーンベルクの描いたマリー・パッペンハイムの肖像(モノドラマ「期待」の脚本)

 

◯シェーンベルク/月に憑かれたピエロのスコア!私はこの曲の退廃的な雰囲気が大好き。クラクラしました!

 

◯映像コーナーもありました。モーゼとアロン(第2幕のモーゼとアロンの対話の場面)、ペレアスとメリザンド(アバド指揮/グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団)、組曲op.29(先ほどメードリンクで印象的なスコアを見た曲)、ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲)、室内交響曲第1番など。そしてラストのグレの歌に圧倒されました!

 

映像では、指揮者のサイモン・ラトルさんがシェーンベルクのことを絶賛して語りまくっていました!1921年のツェムリンスキーが指揮したグレの歌のプラハ初演の大オーケストラの写真も非常に印象的でした。

 

 

 

 

 

(写真)帰りに立ち寄った大好きなムジークフェラインザール。そのすぐ前にブルックナーとシェーンベルクのプレートがあります。ウィーンゆかりの、今も大切にされている作曲家です。

 

 

 

 

 

ということで、旅行初日はメードリンクとウィーンのシェーンベルクゆかりの場所を巡って、シェーンベルクの足跡を辿ることができました!

 

今年はシェーンベルク生誕150周年。東京でもシェーンベルクの曲がよく演奏されていて、セバスティアン・ヴァイグレ/読響のペレアスとメリザンドなどを楽しみにしていますが、「新ウィーン楽派」の作曲家と位置付けられているシェーンベルクの本場ウィーンで、シェーンベルクにたっぷり触れることができ、良き思い出となりました!

 

 

 

 

 

さて、この日の夜はさっそくオペラを観に行きましたが、このオペラをウィーンで観るのは特別なこと。なぜなら、このオペラの作曲家も、初演から11年経って、ようやく自作のオペラを初めて観ることができたのがここウィーンだからです。

 

さて、果たしてその作曲家とは誰で、オペラとは一体何でしょう?次の記事で!(続く)