(夏の旅行記の続き)インスブルックから始まった今回の旅。次の公演は大好きなバーデン市立劇場の夏の公演、レハールの名作オペレッタ、ルクセンブルク伯爵です!

 

 

 

BÜHNE BADEN

(Sommerarena)

Franz Lehár/DER GRAF VON LUXEMBURG

 

Musikalische Leitung: Marius Burkert

Inszenierung: Thomas Smolej

Bühne: Marcus Ganser

Kostüme: Ágnes Hamvas

Choreografie: Daniel Feik

 

René Graf von Luxemburg: Iurie Ciobanu

Angèle Didier, Sängerin: Kerstin Grotrian

Fürst Basil Basilowitsch: Roman Frankl

Gräfin Stasa Kokozowa: Marika Lichter

Armand Brissard, Maler: Thomas Zisterer

Juliette Vermont: Claudia Goebl

Sergei Mentschikoff, Notar: Beppo Binder

Pelegrin: Branimir Agovi

Pawlowitsch: Glenn Desmedt

Sidonie: Erin Marks

Saville: Vladimir Polovinchik

Boulagner: Mario Fancovic

Manager: Russi Nikoff

 

Orchester, Chor und Ballett der Bühne Baden

 

 

(写真)本公演のパンフレット。偽装結婚をした後に恋に落ちる、ルクセンブルク伯爵・ルネ(右)とアンジェール。

 

 

 

フランツ・レハール/ルクセンブルク伯爵!大好きなオペレッタですが、これまで観る機会になかなか恵まれませんでした。2007年の年始にチャンスがありましたが、仕事のため海外旅行を途中で切り上げ断念…。ようやくリベンジを果たすことができます。

 

 

 

 

 

その前に、この日は早朝にインスブルックからウィーンに4時間かけて列車で移動。観劇の前に時間があったので、少し観光ができます。そうなるとウィーンが誇る名画の宝庫、美術史美術館です!

 

 

(写真)朝6時台のRJXに乗ってインスブルックからウィーンに移動。朝ご飯をホテルで食べられないので列車にて。毎回本当に忙しい旅だこと!笑

 

 

(写真)ウィーン美術史美術館。チケット売り場には長~い列が。入場券を事前にネットで購入しておいて正解でした。

 

(写真)今回はウィーン美術史美術館の至宝、ブリューゲルの絵画をご紹介します。まずはブリューゲル/農民の結婚式(※ウィーン美術史美術館で購入した絵葉書より)。ブリューゲルの部屋には10作品くらいあって圧巻ですが、その中でも特に好きなのがこの作品。婚礼の賑やかさや人間味溢れる人々の様子が垣間見えて大好きな絵です。

 

(写真)ブリューゲル/謝肉祭と四旬節の争い。人々が様々な仮装をしていて楽しい!一見、ヘンテコモンスターが多数登場する「聖アントニウスの誘惑」の絵と間違えそうになります。なお、近くでこの絵画の写生をしている現地の方がいましたが、見事な出来映えでした!

 

(写真)ブリューゲル/子供の遊び。遊びの見本市の作品ですが、本当にいろいろな遊びがあるんですね~。東京では電車の中や歩きスマホで狂ったようにゲームをしている子ども(や大人)をちらほら見かけますが、ブリューゲルの時代の方が豊かに思えてしまいます。

 

(写真)ティツィアーノ/ディアナとカリスト。今年の2月にフランチェスコ・カヴァッリ/ラ・カリストというオペラを観たので、とても気になった絵。ディアナかカリストか、どの立場から見るかによって印象の変わる主題ですね。

 

(写真)フェルメール/絵画芸術。フェルメールで最も好きな絵で、美術史美術館に行く度にこの絵に会えるのが楽しみです。今回は隣のコーナーにユニークな動画が付いていました。すぐ裏の部屋にある、ヘラルト・テル・ボルフ、ピーテル・デ・ホーホ、フランス・ファン・ミーリス、ヘラルト・ドウのオランダ室内画の並びと合せて観るのも楽しい。

 

(写真)美術史美術館のカフェ(ゲルストナー)のモーツァルトトルテ&アプリコットトルテとメランジェ。アプリコットトルテは昨年食べた感動からリピートしました。ウィーン近郊はアプリコットの名産地ですが、杏(アンズ)って、こんなに美味しいんだ!と感激もののトルテ!

 

 

(写真)オペレッタの前はウィーン中央駅のトゥルツェスニエフスキーで腹ごしらえ。

 

 

 

 

 

美術史美術館をたっぷり楽しんだ後は、バーデンに移動して、いよいよルクセンブルク伯爵です!(なお、ウィーン→バーデンの移動の列車から一面のぶどう畑が見えて感動!)

 

 

(写真)会場はバーデン市立劇場で夏の間に使われるゾマーアレーナ

 

 

 

ルクセンブルク伯爵のあらすじをごく簡単に。バジル老侯爵は若い歌手アンジェールのパトロンですが、役所の戸籍係ペレグランから、「一度貴族と偽装結婚させた後に離婚させ、アンジェールに貴族の肩書だけを残せば結婚できる」と持ちかけられ、その気になります。その偽装結婚の相手として選ばれたのがルクセンブルク伯爵のルネ。

 

ルネとアンジェールはお互いの顔も知らずに偽装結婚しますが、3ヶ月後にパリで偶然出逢い恋に落ちます。バジルへの恩を感じて躊躇するアンジェールと熱烈にアプローチするルネ。するとペレグランがいかさまで、結婚自体が成立していないことが判明。さらにルネの伯母シュターザが登場しますが、実はかつてバジルと恋仲。最後はルネとアンジェール、バジルとシュターザが結ばれるという、ハッピーな物語です。

 

 

 

第1幕。舞台はパリのキャバレー。チャールダーシュの冒頭から入って、その後のルクセンブルク伯爵・ルネの登場の歌が楽しい!享楽的で呑気なところがあっていい味出しています。画家アルマンとジュリエッテが夢を語る行進曲風のノリノリの「ボエーム・デュエット」では、トランクを車に見立てた演出が楽しい!

 

その後のジュリエッテの夢心地のワルツの歌がとてもいい!何となく昨年観たパウル・リンケ/フラウ・ルナのマリーのワルツの歌に似ていますね。アンジェール登場の歌はいよいよヒロイン登場という感じで素敵かつ切ない歌を聴かせます。

 

偽りの結婚をまとめる公証人ペレグランは怪しい雰囲気たっぷり。ルネとアンジェールは相手の顔を見ずに手だけ合わせて結婚の誓いをします。そして、後に出てくる様々な主題も先取りしてたたみかける音楽!レハールの天才の作曲の妙を大いに感じます!やばい、これ、レハールの最高傑作かも!

 

 

 

第2幕。バレエダンサーがそれぞれ文字を持っていますが、何だか分らず?しかししばらく踊って隊列を組み直すと「3ヶ月後」という文字が出てきました。小粋な演出、いいですね~。

 

第2幕冒頭の解放感たっぷりの合唱からアンジェールの歌がいい流れ。ルネとアンジェールは出逢うとすぐにお互い惹かれ、実は結婚相手だということも判明しますが、それでも恋に落ちます。そしていよいよこの曲の白眉のアリア「微笑みかける幸せよ」がルネとアンジェールのワルツの二重唱で歌われて最高潮!

 

(参考)レハール/ルクセンブルク伯爵から「微笑みかける幸せよ」。1:13~と3:37~がその二重唱。とろ甘の絶品ウィンナ・ワルツ、ぜひ聴かれてみてください!

https://www.youtube.com/watch?v=pIwGAqhpqkM (5分)

※Schloss Schönbrunn Orchester Viennaの公式動画より

 

 

第2幕も魅惑の音楽が盛り沢山で、大いに魅了されます。レハール、天才としか言いようがありません!アンジェールを取られそうになって防戦一方のバジルも頑張って、(ご老体で杖を突いているので)床の手紙に手が届かないユーモラスな演技を見せておいてから、一転してまさかの見事なダンス!笑 ラストは憧れの旋律の合唱で幕!

 

 

 

第3幕は冒頭からこの幕から登場するシュターザのオン・ステージ。まるでオペレッタ「こうもり」のフロッシュのようにジョークを飛ばしてガンガン受けていました!アルマンとジュリエッテは一貫していい味出す二重唱。バジルとシュターザの再会までの掛け合いもユーモラスで楽しい。

 

最後はもつれた糸が見事にほどけて、ルネとアンジェール、バジルとシュターザ、アルマンとジュリエッテの3組のカップルが結ばれてハッピー!賑やかな「ボエーム・デュエット」の合唱で幕!楽しい~!!!

 

 

 

レハール/ルクセンブルク伯爵、遂に観ることができて感無量!次から次へと湧き出る素晴らしい音楽に感動の嵐!繰り返しですが、「メリー・ウィドウ」や「微笑みの国」という名作を差し置いても、レハールの最高傑作に思えてしまいます!最高の舞台でした!

 

 

 

 

 

ということで、今回のオペレッタ観劇の第1弾は最高の舞台となりました!が、良いことばかりではありません。この日もオーストリアはとても寒く、前日のインスブルックの5℃までは行きませんでしたが、ウィーンの最低気温も11℃…。夏場にしてはかなり寒かったです。一応、寒さ対策は取っていたものの、いかんせん最高気温が毎日35℃以上の東京との気温差は甚だ大きく、だんだん身体に堪えてきました…泣。(続く)