みなさま、8月はいかがお過ごしでしょうか?私は夏の海外旅行から帰ってきました。

 

今回もオペラやオペレッタ、コンサートなど計20公演楽しめた極めて充実の旅!これから少しずつアップしていこうと思います。(盛り沢山にて来年春までの連載となる予定)

 

 

 

今回の旅はいろいろ考えて、フランクフルトから入りました。初日は純粋な移動日にしようかとも思いましたが、インスブルックでヴィヴァルディの珍しいオペラの公演を見つけたので、フランクフルトから列車で6時間以上かけてインスブルックに移動しました。久しぶりとなるインスブルック古楽音楽祭、とても楽しみです!

 

 

 

Innsbruck Festival of Early Music

(Tiroler Landestheater Großes Haus)

Antonio Vivaldi/Olimpiade

 

Musical Direction: Alessandro De Marchi

Stage Direction: Stefano Vizioli

Costumes: Anna Maria Heinreich

Set: Emanuele Sinisi

 

Clistene: Christian Senn

Aristea: Margherita Maria Sala

Licida: Bejun Mehta

Megacle: Raffaele Pe

Argene: Benedetta Mazzucato

Aminta: Bruno de Sá

Alcandro: Luigi De Donato

 

Coro Maghini

Innsbrucker Festwochenorchester

 

 

 

 

 

まずは、インスブルックのまちなみの写真を何点か。じっくり観光する時間はありませんでしたが、インスブルック州立劇場に行く途中に見どころがあるので、雰囲気を楽しみました。

 

 

(写真)凱旋門。マリア・テレジアが息子レオポルトの結婚の記念に建てました。

 

(写真)美しいゼルヴィーテン教会の外観

 

(写真)オーストリアらしくフィアカーも見かけます。

 

(写真)シュピタール教会とノルトケッテの山の眺め。得も言えぬ美しいコントラストにうっとりします。

 

(写真)黄金の小屋根。インスブルックの象徴です。マクシミリアン1世が広場で行われる行事を見物するために造りました。

 

(写真)黄金の小屋根の周りはいつも賑やか。カラフルな建物も見かけます。

 


(写真)大聖堂。主祭壇はクラーナハ/救いの聖母。

 

(写真)チロル州立劇場。オリンピアーデはここで観ました。インスブルック古楽音楽祭のメイン会場です。

 

 

 

さて、本題のヴィヴァルディ/オリンピアーデですが、初めて観る珍しいオペラを見つけて喜んだものの一抹の不安が…。それはヨーロッパ入り初日の観劇ということ。初日は時差が7時間あるので睡魔に襲われることが多く、バロック・オペラは長くて繰り返しが多いので、撃沈してしまうのではないか?との懸念があったからです…。

 

ところが、オリンピアーデを予習してみると、これが見事なまでに弾(はじ)けるノリノリの音楽!アジリタを駆使するキビキビとしたアリアが多く、これなら大丈夫そうです。

 

(参考)ヴィヴァルディ/オリンピアーデからシンフォニア。この冒頭のキビキビとした音楽がオリンピアーデの基本の音楽となります。

https://www.youtube.com/watch?v=8i3UD5wgW6w (4分)

※New York Baroque Incorporatedの公式動画より

 

 

 

オリンピアーデのあらすじをごく簡単に。メガクレは友人リチダに頼まれ、リチダに成りすましてオリンピアーデに出場することになりました。しかし、クリステネ王がオリンピアーデの勝者に娘のアリステアを与えることにしたため悲劇が…。メガクレはアリステアと恋仲だからです。

 

約束通りリチダに化けたメガクレがオリンピアーデで優勝しますが、アリステアに真実を告白します。傷心のメガクレとアリステアは共に死を求めますが救われ、逆にリチダの企みが露呈します。しかし、リチダがクリステネ王の息子ということが判明し2組のカップルができ、最後はハッピーエンドとなる物語です。

 

 

 

 

 

第1幕。上記動画のウキウキする序曲から大いに魅了されます!序曲の間、舞台では体操の選手がつり輪やあん馬を頑張るパフォーマンスが楽しい。基本的にトレーニングジムで物語が進みます。冒頭のリチダが身代わりを企む歌が軽快でいいですね〜。リチダ、運動はダメダメな演技が付いて笑いを誘います。

 

付き添うアミンタがリチダのことを危惧するアリアが超絶技巧で拍手喝采!ブルーノ・デ・サさん、初めて聴きましたが只者ではない雰囲気。つり輪とサンドバッグがゆっくり天に上がっていく演出は夢とユーモアがあって素敵です。

 

オリンピアーデの勝者に娘を授けることを決めたクリステネ王が、娘のアリステアにこれが運命だ諦めろと歌うアリアは、内容とうらはらにユーモラスな歌。この王様、とても軽い感じが…。リチダがオリンピアーデに向かうメガクレをマッサージしてリラックスさせるそよ風のアリアは美しい旋律にうっとりします。

 

 

 

第2幕。リチダに化けたメガクレがオリンピアーデに勝っての展開。まずアミンタのアリアが魅せる魅せる!美しいカウンターテナー(どころか、アミンタのブルーノ・デ・サさんは配役にソプラノとあったのでより高音)の高音の超絶技巧のアジリタが抜群!観客からやんやの喝采を浴びていました!

 

愛するアリステアとの別れを悲しむメガクレのアリア、企みが発覚してどん底に突き落とされたリチダのアリアも素晴らしく、カウンターテナーとソプラノ(男性)3人のオペラの破壊力を存分に堪能しました!

 

 

 

第3幕。この幕もアルカンドロがリチダの企みをあばくクラシックで威厳のあるアリア、メガクレがリチダを慕うアルジェネを励ます希望に満ちたアリアなど、素晴らしい歌の連続!オリンピアーデ、魅力的なアリアの宝庫と言えるオペラです!

 

最後は企みが露呈したリチダが処刑される寸前に、ペンダントの写真からリチダがクリステネ王の息子と分かって、メガクレとアリステア、リチダとアルジェネの2組のカップルがあれよあれよという間に成立!笑

 

ラストは冒頭のみながトレーニングに励む風景に戻り、アルジェネがクリステネ王を投げ飛ばすユーモラスな演技で幕となりました。王さまが混乱のもとになったので、しっかりしてください!という意味?笑

 

 

 

終演後は素晴らしい歌と演技に観客から喝采の嵐!(まだ控えめな東京と異なり)沢山のブラボーが飛び交って、ヨーロッパに来たことを大いに実感します。

 

さらに指揮者のアレッサンドロ・デ・マルキさんにそっくりの人形が出てくると、そのままオケがハッピーバースデー!アレッサンドロ・デ・マルキさん、きっとこの日が誕生日なんですね!大いに盛り上がりました!

 

 

 

 

 

ということで、オリンピアーデの公演は抜群で、ヨーロッパ入り初日にも関わらず眠くならず、今回の旅も最高のスタートとなりました!

 

 

ただし一点難題が…。実はこの夏のオーストリアは結構寒かったんです…。この日のインスブルックの最低気温は何と5℃!

 

5℃ですよ、5℃!

もはやコートが必要なレベル!笑

 

 

しかし、まさか夏の旅行にコートを持っていく訳にもいかず、ヒートテックなどの重ね着とマフラー、手袋、そしてホッカイロ先生で何とか凌ぎました。

 

 

 

ロストバゲージ対策や最後のPCR検査と困難のあった昨年の夏の旅行に続いて、今回も何だかスンナリ行かない旅行となりました。その様子は今後の連載記事にて。どうかお楽しみに!(続く)