大好きなブロードウェイ・ミュージカル、ウエスト・サイド・ストーリーの来日公演が東急シアターオーブで始まったので、さっそく初日を観てきました。

 

 

 

ブロードウェイ・ミュージカル

ウエスト・サイド・ストーリー

(東急シアターオーブ)

 

オリジナル演出・振付:ジェローム・ロビンス

脚本:アーサー・ロレンツ

作曲:レナード・バーンスタイン

作詞:スティーブン・ソンドハイム

 

演出:ロニー・プライス

振付:フリオ・モンへ

音楽スーパーバイザー&指揮者:グラント・ストリアーレ

セット・デザイン:アナ・ルイゾス

衣裳デザイン:アレーホ・ヴィエッティ

照明デザイン:ファブリス・ケブール

音響デザイナー:トム・マーシャル

 

【PRINCIPALS】

トニー:ジェイドン・ウェブスター

マリア:メラニー・シエラ

アニタ:キラ・ソルチェ

ベルナルド:アントニー・サンチェス

リフ:タイラー・ハーレイ

 

【ADULTS】

ドク:ダレン・マティアス

シュランク:ブレット・トゥオミ

クラブキ:エリック・グラットン

グラッドハンド:スチュアート・ダウリング

 

【THE JETS】

アクション:アンソニー・J・ガスバール3世

A-ラブ:スカイ・ベネット

ベビー・ジョン:ダニエル・ラッセル

スノーボーイ:リアム/ジョンソン

ビッグ・ディール:アシュトン・ランバート

ディーゼル:マレック・ズロウスキー

エニィボディズ:ローラ・レオ・ケリー

グラジェラ:ナタリー・スーティエ

ヴェルマ:ビクトリア・ビロ

ミニー:ニコル・レワンドウスキー

クラリス:ケイトリン・ニーヴーナー

 

【THE SHARKS】

チノ:クリストファー・アルバラード

ペペ:アレッサンドロ・J・ロペス

ムース:アーネスト・オリバス

ルイス:マイケル・ビショップ

アンキシャス:ヴァコ・グヴェレシアニ

ニブレス:ヘラルド・エスパルサ

ロザリア:ミチェル・ヴァスケス

コンスエーロ:ディアナ・カジョー

テレシタ:ジャンナ・アネージ

フランシスカ:マーヨ・リベロ

マルガリータ:ベロニカ・ケサダ

 

 

 

(写真)本公演のチラシ。このチラシを見ただけでワクワクします!

 

 

 

私はオペラやオペレッタに加えて、ミュージカルもこよなく愛しています。これまで、NYのブロードウェイなど海外の公演や来日公演、劇団四季など楽しんできました。

 

中でもウエスト・サイド・ストーリーは特別な作品。もちろん、尊敬するレナード・バーンスタインが作曲したからです。本ブログでも度々登場しています。

 

(参考)2017年の来日公演(東急シアターオーブ)のウエスト・サイド・ストーリー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12293132657.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12295878369.html

 

(参考)2019年の来日公演(IHIステージアラウンド東京)のウエスト・サイド・ストーリー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12517659780.html

 

(参考)2022.2.15 映画/ウエスト・サイド・ストーリー(スティーヴン・スピルバーグ監督)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12727279605.html

 

 

 

今回は渋谷のヒカリエの中にある東急シアターオーブでの公演。東急シアターオーブでは、柿落としの2012年の来日公演、2017年の来日公演に続き、3回目の来日公演となります。私は当然のごとく皆勤賞、笑。今回も非常に楽しみです!

 

 

 

まず、見終わった感想ですが、

 

今回のウエスト・サイド・ストーリーも感動の嵐!

こんなにも魂を揺さぶられる舞台はない!

正に「不朽の名作」という言葉が相応しい!

 

またしても圧倒されました!!!まだ初日なので、全体について、まるっと感想を書こうかとも思いましたが、とにかく1曲1曲の歌や演技が素晴らしかったので、詳しくご紹介します。

 

 

 

 

 

第1幕。冒頭のジェッツとシャークスの踊りには、よりバレエの要素を感じました。演出のロニー・プライスさん、今回は「ジェローム・ロビンスの振付を忠実に再現して欲しい」というオファーだったそうです。

 

「ジェット・ソング」。この曲はリフによるセリフ劇から歌への突然の入りが大好き。タイラー・ハーレイさんのリフは、見た目といい、演技といい、これぞリフ!という印象。ジェッツのリーダーとして、トニーの弟分として、いい味出していました。

 

「サムシングス・カミング」。ジェイドン・ウェブスターさんのトニーの伸びやかなソット・ヴォーチェがとても良い!ホセ・カレーラスさんも苦労したという、難しいリズムも完璧でした。

 

ダンス・パーティの場面。ここでの注目は司会役。若者たちに一発で伸されてしまいそな小柄で黒縁メガネの真面目なタイプの司会役が多いところ、今回のスチュアート・ダウリングさんは大柄でユーモラスな雰囲気。リフとベルナルドの睨み合いにも、余裕で割って入れそうです。

 

「マンボ」。賑やかな音楽から急激にテンポアップしてマンボの音楽になる瞬間はいつ聴いても痺れる!舞台いっぱいに展開する群舞の踊りは、ジェッツ、シャークスともに魅せました!

 

「チャチャ」。以前に観た公演よりも、今回はゆっくり目のテンポ。出会ったばかりのトニーとマリアの恥じらいや逡巡する気持ちがよく伝わります。指をパチパチと鳴らす合いの手が本当に小気味良い。

 

「マリア」。ここもジェイドン・ウェブスターさんのトニーのソット・ヴォーチェが素晴らしい!“Say it loud and there’s music playing, Say it soft and it’s almost like praying.”と、韻を踏んだスティーブン・ソンドハイムの歌詞も堪りません!

 

「トゥナイト」。永遠の名曲。やはりこれですね!有名なバルコニーのシーンでの、トニーとマリアの掛け合いの歌が魅せる魅せる!

 

私、トゥナイトの最後にサムウェアの主題が降臨する瞬間が大好きですが、今回はその前から様々な楽器でサムウェアの主題が連呼されていました。レニーの対位法の妙とともに、この恋の儚さを大いに感じたところです。

 

 

「アメリカ」。賑やかなシャークスの女性陣が大活躍する音楽。ここはミチェル・ヴァスケスさんのロザリアが抜群!歌にも大いに魅了されましまが、「エトセトラって素敵な名前ね!」と、おとぼけ発言が笑いを誘ったり、途中で踊ろうとして、あいたたた!と腰をさする仕草をしたり、お茶目でキュート!

 

「クール」。賑やかなシャークスの女性陣に対して、存在感で一歩譲るジェッツの女性陣ですが、このシーンでは大活躍!途中、女性3人で「クール!」と言い放つシーンが本当にカッコいい!全体的には、やはりバレエの要素を感じました。

 

「ワン・ハンド・ワン・ハート」。さりげないけど本当に素敵な曲。冒頭のサムウェアの主題からの入りが良い!結婚式の予行演習をする演技のシーンでは、メラニー・シエラさんのマリアが本当に愛くるしい。

 

「トゥナイト」5重唱。レニーの天才的な作曲の妙を存分に体感できる場面です。今回もこれしかない!と絡み合う対旋律がめちゃめちゃ素晴らしい!トニーとマリアの長調に転じてのトゥナイトでの「ツタータ、ツタツタ♪」のリズムは、リズムの型こそ違えども、ヴェルディの「ブンチャチャ」のリズムの勢いに相通じるものを感じます。

 

耽美なサックスの音色から始まるアニタのトゥナイトは、初めて観ましたがリアル入浴中の演出で艶かしい!一点、いいアクセントになるジェッツの女性3人によるトゥナイトのハモリは、前回の演出(ビルの最上階の階段にさっそうと出てくる)の方がカッコいいかなと思いました。

 

(参考)ウエスト・サイド・ストーリーより「トゥナイト・クインテット」

https://www.youtube.com/watch?v=8gIKpp4RFp8 (4分)

※Staples Playersの公式動画より。高校生による素晴らしいパフォーマンスです。特に2:57からのマリアのトゥナイトが素晴らしい。最後、客席は大盛り上がり!

 

 

 

 

 

第2幕は「アイ・フィール・プリティ」から。メラニー・シエラさんのマリアがノリノリで歌っていたのが印象的。前回、熱病では?と揶揄されたマリアが、ゾンビのような演技で可愛かったのですが、今回はなし。逆に毎回違う演技で工夫がなされていることが、よく分ります。

 

「サムウェア(Somewhere)」。ウエスト・サイド・ストーリーで、もしかすると一番好きな曲ですが、今回も突き抜ける感動!エニィボディズを始め白い衣裳で出てきた登場人物が踊るバレエが本当に凄い!

 

その振付ですが、どことなくジョン・ノイマイヤーさんのバレエの振付に似ていると感じました。もしかすると、ジェローム・ロビンスさんの振付にインスパイアされた、ノイマイヤーさんの振付の原点なのかも知れません?理想の世界が崩れてしまうエンディングは、第1幕ラストのランブルを忠実に再現していました。

 

(参考)ウエスト・サイド・ストーリーより「サムウェア」

https://www.youtube.com/watch?v=jycRJ4ljcMA (3分)

※Paula Sheynermanさんの公式動画より。ピアノが最初は最小限の音で入り、途中に大きく盛り上がるスケールの大きなサムウェア。

 

 

「ジー、オフィサー・クラプキ」。文楽(人形浄瑠璃)で言うところの、悲劇の前のユーモラスな「チャリ場」。音楽に合わせてクラプキ警部役がみなの頭を警棒でポンポン叩くのも見どころの一つですが、この日は控えめ。まだ初日だから?笑 最後にリタルダンドを思いっ切りかましていて、雰囲気たっぷりでした!

 

「ア・ボーイ・ライク・ザット」「アイ・ハヴ・ア・ラヴ」。私がウエスト・サイド・ストーリーで最もカタルシスを感じる場面です。「ア・ボーイ・ライク・ザット」では、キラ・ソルチェさんのアニタの迫真の歌と演技がめちゃめちゃ素晴らしい!

 

「アイ・ハヴ・ア・ラヴ」ではメラニー・シエラさんのマリアが、透明感と抑揚をと、硬軟織り交ぜた歌と演技を披露して、こちらも大いに魅了されました!音楽が転調しながら盛り上がり、二人が抱き合うシーンは突き抜ける感動!

 

(参考)ウエスト・サイド・ストーリーより「ア・ボーイ・ライク・ザット」「アイ・ハヴ・ア・ラヴ」

https://www.youtube.com/watch?v=UEqM5tsbgzg (6分)

※Gabrielle Howarthさんの公式動画より。本ブログでもう何度ご紹介したか数え切れない感動の動画。Gabrielle Howarthさんの迫力のアニータ、Kristina Coiaさんが切々と歌うマリア。3:03からが私の大好きな「アイ・ハヴ・ア・ラヴ」。盛り上がるオケ、5:00からの感動の2重唱、5:31の客席の盛り上がり。高校生の公演とは思えない感動的なシーン。

 

 

フィナーレ。静かなシーンにマリアの一言一言が突き刺さります。マリアがすがりつく中、死にゆくトニーとの別れは、サムウェアの主題が切れ切れに奏でられて本当に切ない…。

 

ラストの長調でも短調でもないような解決しない和音は、この悲劇を活かすも殺すも、後に残された人々の行いしだい。そんなメッセージを音楽から感じます。

 

 

 

 

 

いや~、東急シアターオーブで3回目となるウエスト・サイド・ストーリー、今回も鉄板に素晴らしかったです!

 

何度でも言いますが、不朽の名作。名作は揺るぎない。何度観てもいいものです。今回も涙涙となり、存分に楽しみ尽くしました!

 

 

 

なお、今回のプロダクションは7月23日(日)まで東急シアターオーブで上演されるほか、7月31日(月)~8月2日(水)に群馬の高崎芸術劇場大劇場で、8月5日(土)・6日(日)に大阪のオリックス劇場で上演予定とのことです。ご興味ある方はぜひご覧になられることをお勧めします!(私ももう1回観に行く予定です。)

 

 

 

 

 

(写真)この日は水曜日ということで、観劇の後の食事は控えましたが、大いなる感動の余韻のもと一杯だけ。お約束でカクテルのマンハッタン。ウエスト・サイド・ストーリー観劇の後のマンハッタンはもはや儀式。今回も格別の一杯でした!