パーヴォ・ヤルヴィさんがN響に客演する定期演奏会を2日続けて聴きに行きました。シベリウスの大ファンとして、とても大切な作品、交響曲第4番がお目当てです!

 

 

NHK交響楽団第1982回定期演奏会Bpro.

(サントリーホール)

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ピアノ:マリー・アンジュ・グッチ

 

シベリウス/交響曲第4番イ短調

ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲

チャイコフスキー/幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」

 

 

 

 

シベリウスの交響曲第4番!誤解を恐れずに言えば、シベリウスの珠玉の7つの交響曲の中でも至高の作品。そして一般的には最も難解な作品とも言われています。

 

私も最初聴いた時にはさっぱり分かりませんでしたが(笑)、CDやコンサートで繰り返し聴いて、今では5番と7番とともにシベリウスの最高傑作だと思うに至りました。音楽評論家セシル・グレイが「余分な音符が一音たりともない」と評価したエピソードが有名ですね。

 

その素晴らしい作品を、過去のN響とのシベリウスが抜群だったパーヴォさんの指揮で聴ける!!!こんなに嬉しいことはありません!!!

 

 

(参考)2017.2.11 パーヴォ・ヤルヴィ/N響のシベリウス/交響曲第2番

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12247082514.html

 

(参考)2019.9.25&26 パーヴォ・ヤルヴィ/N響のシベリウス/交響曲第6番&第7番

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12529993126.html

 

 

 

今年の東京のコンサートのハイライトは、一般的には3月のパトリツィア・コパチンスカヤさんが無双した大野和士/都響のリゲティ・プロだと思いますが、個人的に最も気合いの入るコンサートです!

 

 

 

 

 

前半はそのシベリウス4番。第1楽章冒頭、N響のゆったりとして幽玄な弦楽に大いに魅了されます!印象的なチェロのソロは、漆黒の闇の中に一人放り出された虚無感、そんなイメージを思い浮かべます。そして出現するシベリウスならではの金管の明滅、厳しい咆吼!

 

その後に展開されるホルンと弦楽のささやかな長調が何とホッとすることか!弦が刻んでいく場面のただならぬ雰囲気。パーヴォさんのニュアンスに溢れる指揮と、それに120%応えるN響の素晴らしい演奏。息を付く暇(いとま)すら与えてくれない、緊張感に溢れる演奏に大いに魅了されます!

 

 

アタッカで第2楽章に入りました。控えめでチャーミングな冒頭が本当に心地良い。ここは北欧の遅めのささやかな春、生きものの営みと喜びを感じます。後半の交響曲第7番とタピオラに通じる奥深い世界の音楽は、メリハリと強弱がしっかり付いていて本当に魅了されます!

 

 

第3楽章。謎めいた哲学的な導入。シンプルでいて、まあ何と深い音楽なんでしょう!パーヴォさんの間を絶妙に入れる指揮に繰り返し痺れます。この4番の中でも肝となる楽章、という印象を強く持ちます。後半の弦楽とティンパニが盛り上がる場面では、自然の摂理や神秘、翻っての人間の存在の小ささを感じます。レ音が続くラストの収束感も見事。

 

 

再びアタッカで第4楽章に。グロッケンシュピールが程よく利いた、素朴でささやかな長調が何といじらしいことか!チェロのソロは第1楽章と異なり喜びの歌を感じます。その後に展開する弦楽のトレモロをパーヴォさんがぐっと押さえていたのが印象的。パーヴォさん、この4番のスコアに、どれだけインスピレーションを得ているんでしょう!いちいち唸ります。

 

後半、弦楽と金管が独自に展開して構築感のある音楽を造り上げる場面は、何か重大なことが起こっている雰囲気が半端ない!ただ、厳しい音楽ですが、ネガティブな印象は持ちません。この場面も息付くことができず、もう汗びっしょり!ラストの鳥の鳴き声のような木管もニュアンスに溢れて素晴らしい。最高の4番!

 

 

 

いや~!凄い!凄すぎる!

パーヴォさんの深くスコアを読み解いた、ニュアンスに溢れる見事な指揮!

N響の渾身の演奏による圧倒的な名演!(特に弦楽に惚れ惚れとしました!)

 

 

 

パーヴォさんは初めてN響に客演した2002年のシベリウス/交響曲第5番に圧倒的な感銘を受けて、その後のシベリウスの曲の指揮にも毎回大いなる感動を覚えましたが、今回の4番もめちゃめちゃ素晴らしかったです!サントリーホールで2日間とも堪能できて、最高としか言いようがありません!

 

 

 

(写真)フィンランドのカレリア地方にあるコリ国立公園のウッコ・コリ(山)からの霧の風景。本当は眼下に素晴らしい湖の風景が広がりますが、シベリウス・イヤーの2007年9月に行った時は残念ながら霧で見ることができず…。

 

しかし、深い霧に包まれたコリの風景や山道で見かけた素朴な木の十字架、そしてビジターセンターで見た写真展での、コリの山に雷が落ちる風景は私に霊感をもたらし、シベリウスが言及する、4番の構想に「山」がインスピレーションを与えた側面を大いに実感するきっかけとなりました。

 

パーヴォさんはこの4月のN響への客演で、R.シュトラウス/アルプス交響曲も指揮しています。曲名の通り登山の情景や心境を描いた曲ですが、アルプス交響曲とシベリウス4番が同じ4月のプログラムで演奏されるのは単なる偶然なのでしょうか?私にはパーヴォさんの知的な遊び心が隠されているように思えてなりません。

 

 

 

 

 

なお、後半のラフマニノフとチャイコフスキーも、マリー・アンジュ・グッチさんの知的でしなやかなピアノ(変奏曲の描き分けが見事!アンコールのラヴェル!)も含めて素敵な演奏でした。特にフランチェスカ・ダ・リミニは、ルーヴル展でその主題の絵を観たばかりなので、パーヴォさんとN響の鳴らしに鳴らした熱い演奏を絵に照らし合わせて、存分に堪能したところです。

 

 

(写真)アリ・シェフェール/ダンテとヴェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊

※「ルーヴル美術館展 愛を描く」で購入した絵葉書より

 

 

 

 

 

(追伸)先週土曜日には、トレヴァー・ピノック/紀尾井ホール室内管弦楽団のマチネのコンサートを聴きに行きました。モーツァルト35番&シューベルト8番が絶品!ちなみに、シューベルト8番では第3楽章で山にもちなんだ解説があり、つながりを感じました。

 

 

 

 

(写真)コンサートの終演後は流れでオーストリア料理とワイン。最初の2皿はこの春の季節のお楽しみ、フランツの大好物のシュパーゲル(ホワイトアスパラ)。オランデーズで食べるのも、ズッペも抜群に美味しい!心地良い酸味のオーストリアワインとよく合いました。

 

あれっ!?3皿目の肉料理の時には、もうワインが1本空きそうになっている?フランツ先輩、ペース速いっすよ!手加減してください!笑

 

 

 

(写真)この日の締めは山崎12年とトリュフのチョコレート(レオニダス)。鉄板のコンビネーションによる至福の時間!最高の週末でした!

 

 

 

 

 

(追伸)明後日からのGWは旅に行ってきます。本ブログはしばらくお休みとなり、次の更新はGW明けとなります。みなさま、良いGWをお過ごしください!