歌舞伎座に片岡仁左衛門さんの一世一代の公演、通し狂言 霊験亀山鉾を観に行きました。

 

 

 

歌舞伎座新開場十周年

二月大歌舞伎

 

通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)

亀山の仇討

 

片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候

 

序幕 甲州石和宿棒鼻の場より

大詰 勢州亀山祭敵討の場まで

 

 

 

(写真)歌舞伎座。建て替えしてから、もう10年経つんですね。早いものです。

 

(写真)2月公演の看板。ちなみに、第二部の船弁慶で静御前と平知盛の霊を務めるのは、中村富十郎さんのご子息の中村鷹之資さんです。大きく立派になりましたね~!天王寺屋!

 

(写真)二月大歌舞伎の筋書き

 

 

 

 

 

今月、文楽/心中天網島を観に行った記事の中で、以下のように書きました。

 

 

本当は文楽の3演目全部観たいところですが、2月はオペラ6本を始め予定がもうパンパンで…泣。さらに、昨日に地下鉄で「あっ!これも観に行かないと!」という、とある公演を見つけてしまって、もっとパンパンに…泣。

 

 

実はそのポスターで見つけた「とある公演」こそが、この歌舞伎なんです!地下鉄でポスターを見た時に、あーっ!これは絶対観に行かなきゃー!と反応して、すぐさまチケットを取りました!

 

 

 

そして観た感想ですが…、

 

 

めちゃめちゃ面白い!

仁左衛門さんを始め、歌舞伎役者の競演が最高!

 

 

まずは何と言っても、一世一代を謳った仁左衛門さんの演技が素晴らしい!藤田水右衛門と古手屋八郎兵衛の2役を演じますが、迷わずに卑怯な手段を使う不敵な武士の水右衛門と、気が早く小気味良い語りの町人の八右衛門を見事に演じ分け、早替わりも含めて大いに魅了されました!

 

片岡仁左衛門さんと言えば、菅原伝授手習鑑の菅原道真役や、荒川の佐吉のような正義の役柄も素晴らしいですが、個人的に見惚れたのが伽羅先代萩の仁木弾正役。「咲き誇る悪の華」という表現がぴったりの素晴らしい悪役っぷりでしたが、今回の水右衛門も悪の様式美とも言うべき雰囲気たっぷりの悪役で素晴らしかったです!「苦みばしったいい男」が連呼されていましたが、とにかくカッコいい!(悪いんだけど、笑)

 

 

そして、脇を固める役者さんたちも全くもって見事!中村鴈治郎さんが前半は軽いノリの代官、掛塚官兵衛をユーモラスに演じた後、大詰めでは立派な大岸頼母を大きく演じて好演!中村雀右衛門さんは3人の男に言い寄られる芸者おまつを粋に演じて、二幕目最後は3人との大立ち回りも見応えありました。

 

 

また、四世 鶴屋南北の脚本がまた見事!この敵討ちを騙し討ちにて返り討ちしていく物語を、サイドストーリーも含めて何と見事にまとめていることか!偽物の書状で源之丞を騙して安部川原で闇討ちにする流れ、棺桶を取り違える面白さ、貞林尼が孫の難病を治すために自ら命を絶つ場面などなど、驚きの展開の連続に大いに魅了されました!

 

 

 

今月は他の観劇の予定がパンパンでしたが、その中で頑張って観に行って、心の底から良かったと思った最高の歌舞伎でした!

 

 

 

 

 

ところで、私が歌舞伎を観に行ったのは、昨年2月以来1年ぶり。前回も片岡仁左衛門さんの平知盛の一世一代、義経千本桜の渡海屋・大物浦の公演でした。

 

(参考)2022.2.6 歌舞伎 義経千本桜~渡海屋・大物浦(片岡仁左衛門一世一代)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12726186016.html

 

 

一年ぶりに歌舞伎座で歌舞伎を観て、大きな違いが2点。まず、大向こうから「○○屋!」と歌舞伎役者の屋号の声が掛かっていたこと!一年前はなくて、いささか寂しかったのですが…、久しぶりに屋号が飛ぶのを聞けてとても嬉しかったです。まだ決まった方お一人のみが声を掛けているようですが、これがあるとないとでは雰囲気が全然違いますね。

 

それから、もう1点びっくりしたのが、幕間にお客さんたちが、みんな自分の座席でお弁当を食べていたこと!クラシックのコンサートやオペラでは、そもそも持ち込み自体禁止なので、久しぶりに見たその光景に、本当にびっくりしました!もちろん黙食ですが、幕間のお弁当も歌舞伎の醍醐味の一つ。コロナからいよいよ普通の観劇が戻ってきたのか!と感慨深かったです。

 

 

 

 

 

 

 

(追伸)ということで、一年ぶりの歌舞伎を大いに楽しんできましたが、この日の午後には、国立能楽堂に能と狂言を観に行きました。つまりこの日は、和の伝統文化のダブルヘッダーだったんです、笑。

 

演目は狂言「吹取」と能「鵜飼」。狂言は観世音のお告げで五条大橋の上で笛を吹くとお嫁さんがもらえるという、釣女など狂言で時おり見られる嫁取りもの。狂言師のユーモラスな芸にほっこりしました。

 

能は殺生禁断の石和川で鵜飼をした罪で罰せられた老人の霊と、旅僧の弔いにより老人の霊が成仏できたことを伝える閻魔大王のダイナミックな舞が印象的でした。両舞台はろうそくの灯りだけの照明の中で演じられ、いつもの能楽堂の舞台とは異なり、とても幻想的な雰囲気で良かったです。

 

 

8日に文楽を観たので、この2月は文楽→能&狂言→歌舞伎と、和の伝統芸能の舞台を3種類楽しむことができました。加えて、オペラ6本(同じ演目3回とかではなく全て別公演)とバレエ1本も観たので、舞台芸術を計10本と大いに堪能できた月となりました。何となくグランドスラムを達成した気分。

 

 

 

 

 

さらにはコンサート・リサイタルも8つ聴きに行ったので、芸術文化全般を大いに堪能できた月となりました。そのラストは2月26日(日)の鈴木優人/バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会。珠玉のバッハのカンタータ4つのコンサートでした。

 

珍しくヴァイオリンなしのヴィオラ4本による独特な響きが印象的な18番、ダミアン・ギヨンさんが神への感謝を歌うアルトと鈴木雅明さんのオルガンの掛け合いが心に沁みた35番、ハナ・ブラシコヴァさんの足るを知ることを説く透明なソプラノが素晴らしい84番、オーボエとトランペットが活躍する壮大なコラール・カンタータの127番。

 

 

 

この最高に素晴らしかった2月の公演の数々の締めに相応しい、至福の時間のコンサートでした!そして、3月も楽しみなコンサートや舞台が目白押し。大いに楽しもうと思います!