(この夏の旅行の続き)フォイヤーコーゲル山のハイキングとヨーロッパクロイツを楽しんだ後、午後には前日に続いてバート・イシュルにオペレッタを観に行きました。ベルリン・オペレッタの始まりと言われているパウル・リンケ/フラウ・ルナです!

 

 

Lehár Festival Bad Ischl

Paul Lincke

FRAU LUNA

 

Musikalische Leitung: Christoph Huber

Inszenierung & Choreografie: Ramesh Nair

Bühne: Toto

Kostüme: Sven Bindseil

Lichtdesign: Sabine Wiesenbauer

 

Frau Luna, Herrin des Mondes: Patricia Nessy

Prinz Sternschnuppe: Ramesh Nair

Stella, Lunas Zofe: Anna Overbeck

Fritz Steppke, ein Mechaniker: Kaj-Louis Lucke

Marie Pusebach, genannt Mieze & Mondgroom: Lena Poppe

Theophil, Haushofmeister auf dem Mond: Michael Zabanoff

Frau Pusebach, eine Witwe: Susanna Hirschler

Lämmermeier, Schneider: Nicolas Huart

Pannecke, Steuerbeamter a. D.: Niklas-Sven Kerck

 

Franz Lehár-Orchester

Tanzensemble: James Atkins, Sara Lynn Boyer, Nicolas Lugstein, Johanna Mucha, Astrid Nowak und Angelika Ratej

Chor des Lehár Festival Bad Ischl

 

 

 

(写真)音楽祭の劇場(横の角度から・入口は左側)。花が沢山咲いているクーアパークを通って、この劇場に行くアプローチが大好きなんです。

 

(写真)フラウ・ルナは堅いこと言わず、の楽しいオペレッタ。何と子供向けの公演もあるようです!さすがバート・イシュル!さすがオーストリア!

 

 

 

パウル・リンケ(1866-1946)はドイツのオペレッタの作曲家。このフラウ・ルナを作曲したことにより「ベルリン・オペレッタの父」とも呼ばれています。

 

 

あらすじをごく簡単に。プーゼバッハ夫人の家に住む機械技師のフリッツは、夫人の姪っ子のマリーと恋人どうし。フリッツは自分で気球を造って月に行くことを夢見ていますが、マリーは反対します。

 

フリッツはどうしても月に行く夢を諦められず、仲間たちと気球に乗って月に行き、月の女神ルナたちに歓待されます。さらにはルナから言い寄られるフリッツ。しかし、ルナを愛するシュテルンシュヌッペ王子が地球からマリーを連れてきて、フリッツはマリーとの愛を確認。そして、みんなでベルリンに帰って行く、という内容です。

 

 

ストーリーの妙よりも、場面場面での歌や演出を楽しむオペレッタ、なんだと思います。(なお、タイトルについて、「ルナ夫人」の日本語表記もありますが、ここでは「フラウ・ルナ」としました。)

 

 

 

まず序曲のメドレーに惹かれます。背景にはアレクサンダープラッツやテレビ塔、ブランデンブルク門やベルリン大聖堂など、ベルリンの名所が出てきて楽しい!

 

月には行かないでとフリッツを諭す、マリーのワルツの歌が真摯で優しさに満ちて素晴らしい!また、マリー役のソプラノLena Poppeさんが歌といい、スラッとした清楚な容姿といい、役柄にピッタリで本当に素敵でした。

 

(参考)パウル・リンケ/フラウ・ルナより第1幕のマリーの歌“Schlösser, die im Monde liegen”。私がメロメロになったワルツの歌は1:11~1:51と2:59~3:40です。ワルツへの導入の音楽も素敵。世の中にはまだまだ素晴らしい音楽がありますね!

https://www.youtube.com/watch?v=eJalUrCLCdk (4分)

※ソプラノのSophie-Magdalena Reuterさんの公式動画より

 

 

今回はフラウ・ルナというより、もはや「フラウ・プーセバッハ」というくらいにプーセバッハが肝っ玉母さんの存在感で大活躍!Susanna Hirschlerさんはおそらく演劇かミュージカル系の人気アーティストだと思いますが、2019年のレハール/クロクロでの、大笑いしたお母さん役の大袈裟な演技といい、非常に目立ちます。

 

シュテルンシュヌッペ王子役は音楽祭でおなじみRamesh Nairさんで、今回は出演するだけでなく、何と演出まで担っています。バックダンサーとともに披露するタップダンスが素晴らしい!

 

月の警備隊長テオフィルに捕まったフリッツたち3人がフラウ・ルナに釈放されたところで、このオペレッタで最も有名な歌、ベルリンの市歌でもある「ベルリンの風」が歌われます!めっちゃ楽しい!観客のみなさん、手拍子で大盛り上がり!とても印象的な振り付けだったので、私も覚えてしまいました、笑。

 

(参考)本公演のダイジェスト動画。0:14~0:47が「ベルリンの風」のマーチ風の勢いのある音楽です。(非公式ながら)ベルリンの市歌となった歌、ぜひご覧ください!Das ist die Berliner Luft, Luft, Luft♪、ノリが良くてめっちゃ癖になる歌!

https://www.youtube.com/watch?v=BAkDeinEZ7Q (2分)

※バート・イシュル・レハール音楽祭の公式動画より

 

 

ルナの踊りは王子と息の合ったタップダンスも楽しい!そして、ルナのお付きの方の歌に、後ろ席からハミングが聞こえてきました!そんなにメジャーな歌ではないと思いましたが、さすがオペレッタを愛するオーストリアの方ですね!

 

最後の方でルナがノリノリでフリッツを誘惑する流れには大笑いしました、笑。たじたじになるフリッツが勢いに押されて、いよいよルナを受け入れてしまうのか?というところで、王子にエスコートされてマリーが登場!マリーの第1幕の感動のワルツの歌が歌われて、もう涙涙…。

 

 

そしてフリッツとマリー、ルナと王子が仲良くなってメデタシメデタシ。ということで、フリッツたちが地球に帰ろうとしますが、何と王子の乗り物(本舞台ではユーモアたっぷりで小さな三輪車、笑)が故障して帰れなくなってしまいます!

 

しかし、フリッツの「何とかなるさ!それがベルリンっ子だから!」の掛け声から、楽しく「ベルリンの風」を全員で歌って盛り上がって締め!めっちゃ楽しい舞台でした!

 

 

 

いや~、本当に楽しい舞台!「ベルリンの風」が歌われて、大いに盛り上がりました!ベルリン市歌にもなっているこの歌。よくそう訳されているので「ベルリンの風」としましたが、ドイツ語は“Berliner Luft”で、「ベルリンの空気」と訳されていることもあります。

 

ただ、私はこの歌はベルリンっ子の気風について歌っている歌なので、「ベルリン気質(かたぎ)」や「ベルリンっ子の粋」辺りの方がよりしっくり来るように思います。

 

つまり、前日にヨハン・シュトラウスⅡ世の「ウィーン気質」を観た翌日に、「ベルリン気質」を聴けたという訳なんです!何という粋な音楽祭の演目の選択なんでしょう!バート・イシュル・レハール音楽祭、最高!

 

 

 

 

 

終演後、前日に食べたボルニバーガーがとても美味しかったので、リピートしに行ったら…、何とボルニバーガーのメニューにこんなものがあるのを発見しました!

 

(写真)ボルニバーガー(立ち食いハンバーガーショップ)の小屋の上のメニューの看板の一部。うわぁ~!カリーヴルストがある!(なお、「20」は注文の番号で値段ではありません。)

 

何とメニューにカリーヴルストがあるのを見つけました!私はオペラやコンサートに合わせて食事やお酒を楽しむことが多いですが、これを見つけて注文した時には、「自分って、もしかして天才?(あるいはお馬鹿、笑)」と思いました!なぜなら、カリーヴルストはベルリンを代表するB級グルメ、ソウルフードだからです。

 

(写真)ということでボルニバーガーのカリーヴルストとビール。ベルリンで何度か食べたカリーヴルストとは少し雰囲気が異なりますが(特にソーセージが切られていない)、そんなことはいいんです!めっちゃ美味い!

 

(参考)2018年にベルリンで食べた本場のカリーヴルスト

 

 

ベルリン・オペレッタの始まりと言われているフラウ・ルナを観て、ベルリンの市歌となった「ベルリンの風」を大いに楽しんで、その後にベルリン名物のカリーヴルストを味わう。しかも、午前中に見に行ったヨーロッパクロイツには、ベルリンの壁の石が入っているんです!こんなにもピタッとはまった流れはなかなかありません。めっちゃ楽しい旅!

 

 

 

 

 

(写真)ということで、ベルリンの気分を満喫していたら、バート・イシュルはこの日、お祭りのようで、目抜き通りで民俗衣裳の女性たちが、雰囲気のある木の樽で何かのお酒を振る舞っていました。(写真の許可は取っています。)

 

せっかくなので、私も一杯いただくことに。美しい民俗衣裳の女性にお酒をいただいて、ベルリンから一瞬にしてオーストリアに引き戻されるフランツ!笑

 

(写真)どうやら、地元で造られているシュナップス(アルコール度数40℃くらいのスピリッツ)のようです。美味しい!カリーヴルスト&ビールの後の締めの一杯にはとてもいいですね。

 

お姉さんに「このお酒、いくらですか?」と聞いたら、「特に決まっていません。」とおっしゃっていたので、少し多めに出しておきました。旅のいい記念となる美味しいお酒を本当にありがとう!

 

 

 

(写真)賑わうバート・イシュルのまち。時刻を知らせる角笛の演奏もやっていました。民俗衣裳と角笛がピッタリで、とても雰囲気がありました。(続く)