マチネでリッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルを楽しんだ後、夕方からはフランツ・ウェルザー=メスト/ウィーン楽友協会合唱団/カメラータ・ザルツブルクのコンサートを聴きに行きました。大好きなシューベルト/ミサ曲第6番です!
Salzburger Festspiele
Camerata Salzburg
(Haus für Mozart)
Conductor: Franz Welser-Möst
Soprano: Golda Schultz
Alto: Katharina Magiera
Tenor: Julian Prégardien
Tenor: Maciej Kwaśnikowski
Bass: Tareq Nazmi
Wiener Singverein
Camerata Salzburg
FRANZ SCHUBERT/Mass in E flat major D. 950
みなさまは宗教曲で何が一番お好きでしょうか?バッハ/マタイ受難曲でしょうか?あるいはモーツァルト/レクイエム?きっといろいろな候補があるんだと思います。もしかすると「ブルックナー/交響曲第5番、一択!」というのもありかも?笑
私の場合は、ベートーベン/ミサ曲ハ長調、ブラームス/ドイツ・レクイエム、ロッシーニ/小荘厳ミサ曲、デュルフレ/レクイエム、グノー/レクイエムなども好きですが、一番好きな宗教曲?と問われてすぐに思い浮かぶのが、シューベルト/ミサ曲第6番です。
(参考)シューベルト/ミサ曲第6番変ホ長調。シューベルト最晩年の曲で、シューベルトの「白鳥の歌」とも言われています。私には、さすらい人幻想曲(ピアノ曲)とともに、シューベルトの最高傑作に思えます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ft27FAG66uo (55分)
※LOFTmusicの公式動画より。ミュンスターの教会でのコンサート。若き日のシルヴァン・カンブルランさんの指揮。
私が初めてこの曲を聴いたのは、ウィーンに初めて旅行した際に、ウィーン王宮礼拝堂のミサに参加した時のこと。つまりウィーン少年合唱団の合唱で聴きました。
冒頭の温かいキリエ、堂々たるクム・サンクト・スピリトゥのフーガ。王宮の礼拝堂に響き渡る素晴らしい歌声!ミサにも参加できて、一生忘れられない素晴らしい体験となりました。
(参考)2020.1.5 ハイドン/聖ニコライ・ミサ(ウィーン少年合唱団@ウィーン王宮礼拝堂ミサ)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12581922506.html
※上記は他のミサ曲の時の記事ですが、記事の後半でウィーン王宮礼拝堂ミサや、そこで聴くウィーン少年合唱団の素晴らしさをまとめています。ウィーンに行かれる機会のある方は、お勧めなので、ぜひともミサに参加されてみてください!
(写真)開演前のハウス・フュア・モーツァルト。
さて、コンサートです。冒頭、最初のキリエを導く、カメラータ・ザルツブルクの温かい変ホ長調のオケの音色に早くも涙…。そして続くウィーン楽友協会合唱団によるキリエ。何という美しさ!温かく、そこはかとない充足感を持ったキリエ、という印象を持ちます。
世界一のアマチュア合唱団とも言われるウィーン楽友協会合唱団。今回は大合唱団により歌われましたが、指揮者のフランツ・ウェルザー=メストさんは力で押さずに、繊細で精妙な響きを実現する絶妙な指揮、大いに唸りました。
華々しいグロリア。冒頭から合唱とオケの掛け合い感が素晴らしい!威厳を持って歌われるドミネ・デウス、真摯に歌われるミゼレと、曲想を高める見事な合唱!クム・サンクト・スピリトゥの構築感の全く見事なフーガ、劇的な展開に大いに痺れました!
クレドの途中の歌詞には、マリアさまの名前が出てきます。マリアさまの祝日(オーストリアの8月15日はマリア被昇天祭)に聴けて嬉しい限りですが、その後すぐにポンテオ・ピラトの名前が…。悲劇的な音楽にさらに強調が入って、悲しみの感情を高めます。ラストのアーメンフーガもいいですね。
私、その後のタントゥム・エルゴ(大いなる秘蹟)の穏やかで癒やされる音楽が大好き。長調の流れの中に短調が入ると見せかけて、ハッとする転調を効果的に入れ曲想を高めるシューベルト!天才としか言えません!
(参考)シューベルト/ミサ曲第6番変ホ長調よりタントゥム・エルゴ。上記のカンブルランさん指揮の演奏には加えられていなかったので特記しました。控えめに言って、この世で最も美しい音楽の一つ。ソリストの歌の後の合唱の入り(0:42)が堪らない!ほっこりされたい方はぜひお聴きください!
https://www.youtube.com/watch?v=pybwzSqKHk4 (5分)
※Dennis Tschirner(Vocalist)さんの公式動画より
冒頭からクレシェンドして壮大さを感じるサンクトゥス、しみじみ聴かせるベネディクトゥスも心地良い。アニュス・デイは低音を効かせて再び厳しい曲想となりますが、ラストのドナ・ノービス・パーチェムで安息のもと、静かに終わりました。
マチネのメフィストーフェレの、華々しい突き抜ける音楽による感動のコンサートとは異なりますが、こちらもしみじみ感動的なコンサート!メストさん、ゴルダ・シュルツさん始め独唱のみなさん、合唱のみなさん、オケのみなさん、素晴らしかったです!
ところで、演奏中、私の隣の席の40代くらいの男性(雰囲気からイギリスの方?)が演奏に反応してノリノリで聴いているのが目に入りました、笑。あなたもこの曲大好きなんですね!と嬉しい気持ちに。
過去のコンサートやオペラの記事にあるように、終演後に「大いに楽しまれてましたね!」と一声かけて、ガッチリ握手してコンサートの感激を共有したいところでしたが、コロナのことがあるので、残念ながら我慢我慢…。
(写真)会場の床にあったソーシャル・ディスタンスを促す掲示。今回のザルツブルク音楽祭では、開演前にマスク着用を勧めるアナウンスも毎回流されていました。コンサートを100%楽しめるようになるには、もう少しかかりそうです。
(写真)終演後、この後にオペラを観るので、前日に続きフュルストのケーキで一息と思ったら、ケーキがなくなっていて…泣。仕方なしに替わりにパフェを頼んだら、かなり立派なのが出てきました!笑 お約束のモーツァルト・クーゲル(右奥)ともども、とても美味しかったです。
さて、そのこの後に観るオペラ。これが今回のザルツブルク音楽祭で「いろいろな意味」で一番注目を集めていた公演。これを逃すと一生観れないかも知れない、極めてレアな作品、貴重な機会です。これが衝撃的な公演で、めちゃめちゃ凄いことになりました!次の記事で!(続く)