(冬の旅行記の続き) 旅行10日目。最高気温4℃、最低気温0℃、雪の予報もありましたが、見事に晴れました。前日の悲劇(笑)も含め、楽しんで来た今回の旅行も、この日いよいよクライマックスを迎えます。

 

この日は日曜日なので、まずウィーン王宮礼拝堂のミサに参加しました。ウィーン少年合唱団による、ハイドンの聖ニコライ・ミサが聴けます。とても楽しみです!

 

 

WIENER HOFMUSIKKAPELL

Joseph Haydn

Missa Sancti Nicolai, G-Dur, Hob. XXII:6

„Nicolaimesse“
 

Dirigent: Erwin Ortner

Wiener Sängerknabe, Sopran

Wiener Sängerknabe, Alt

Roland Winkler, Tenor

Johannes Gisser, Bass

 

Wiener Sängerknaben

Herrenchor der Wiener Staatsoper

Mitglieder der Wiener Philharmoniker

 

Postludium:

Johann Sebastian Bach

In dir ist Freude, BWV615

Elke Eckerstorfer, Orgel

 

 

 

 

(写真)ウィーン王宮礼拝堂には、この立派なスイス門から入ります。

 

 

(写真)今日は当日券の列が少なめです。ズーへカルテ(チケット購入希望)の人もいたので、もしかすると完売なのかも知れません。1月6日の公現祭の前日のミサ、ということもあるのかも知れませんね。

 

 

 

早めに行ったら、ウィーン少年合唱団がオルガンを伴奏に練習していました。一音ずつ下がっていく下降旋律が美しい!最後のコラールの「ドミネ」の「ド」をしっかり強調するようにと、指揮者が足をバンと踏み鳴らして何度も練習していました。決してルーティーンではなく、一回一回のミサに真剣勝負で取り組んでいる様子がよく分かります。

 

合唱の練習が終わった後には、オルガニストが何と!ヴィドール/オルガン交響曲第5番第5楽章トッカータを弾く大サービス!(笑) これ指を細かく動かすので、いい練習になるんでしょうね。教会で聴くと祝祭的な印象がさらに強くなります。

 

 

 

さて、ミサが始まりました。キリエの清々しさ、グロリアでのボーイソプラノのソロの素晴らしさ、サンクトゥスのたおやかさ、ベネディクディスの慈愛、アニュス・デイの悲愴さ、ドナ・ノービス・パーチェの温かさ。ハイドンのミサ曲は久しぶりに聴きましたが、とても心洗われました!

 

ミサの途中に周りの方々と握手をする場面がありますが、今回は周りのヨーロッパの方々5人と握手しました。私はキリスト教徒ではありませんが、こういうのはやはりいいものですね。

 

ミサの最後には、今日は公現祭の前日ということか、きよしこの夜が歌われました!ウィーン少年合唱団による無垢なきよしこの夜!これは感動しますね…。オルガンによる後奏(Postludium)のバッハも余韻が残ってとても良かったです!

 

 

ウィーン王宮礼拝堂ミサは、ウィーン少年合唱団による天使の歌声、ウィーン・フィルのメンバーによる伴奏も味わい深く、今回も鉄板の素晴らしさでした!

 

 

 

さて、私はウィーン少年合唱団の歌うウィーン王宮礼拝堂ミサが大好きで、このブログでも何度か参加した記事をご案内していますが、今回でちょうど10回目の参加となります。10回参加した経験から、このミサの特徴や魅力をまとめたいと思います。これ、もしかすると永久保存版かも?(笑)

 

 

◯まず、この行事は、あくまでもウィーン王宮礼拝堂のミサです。ウィーン少年合唱団のコンサートではありません。

 

◯ただし、ウィーン少年合唱団が、よく響く教会の中で歌うので、歌声はどの席でもよく聴こえます。また、教会の中でミサ曲を歌うので極めて感動的です!

 

◯ウィーン少年合唱団は一番上の階で歌うので、席から直接見えません。ただ、モニターで見ることのできる席もありますし、ミサの終了後には下に降りてきてくれて、よく見える場所で2曲くらい歌ってくれます。

 

◯そもそも、見えるか見えないかは正直どうでもいいこと。というか、見えない方がむしろいいように思います。直接には見えないウィーン少年合唱団の美しい歌声が、教会の上から降り注ぐ。これぞ、まさに「天使の歌声」です!

 

◯伴奏するオケはウィーン・フィルのメンバーです!規模が小さいので、ウィーン・フィルと称してはいませんが、クオリティはさすがの一言。ミサ曲はモーツァルトにハイドン、ベートーベン、シューベルトと、ウィーン・フィルのみなさんが得意とする作曲家です。小編成なので、より楽器そのものの音が聴けて、ウィーン・フィルとはまた別の味わいがあります。

 

◯ミサなので、曲目は有名曲のオムニバスとかではなく、ミサ曲をまるまる一曲聴けます。コンサートで聴く機会のない、珍しいミサ曲を聴くことができます。私もハイドンやモーツァルト、シューベルトの珍しいミサ曲を、ここで聴くことができました。

 

◯ミサ曲の曲と曲の間、例えば、グロリアとクレドの間、ベネディクティスとアニュス・デイの間などには、お説教が入ったり、みんなで歌ったりします。なので、ミサ曲をミサの流れの中で、つまり本来の形で楽しむことができます。コンサートでミサ曲を一気に聴くこともありますが、ミサでミサ曲を聴く流れに慣れてしまうと、何となく味気なさを感じてしまうくらいに雰囲気があります。

 

◯宗教行事なので、神父さまからお話があったり、ランタンをカランカランと鳴らして煙を出したり、信徒にパンを与えたり、周りの方々と握手をしたり、寄附をしたり、途中の一つ一つのミサの行事を楽しむことができ、同時に厳かな気持ちになります。寄附は小銭(2ユーロなど)で十分なので、ちゃんとするようにしましょう。日本人として恥ずかしくないように。

 

◯神父さまのお話はドイツ語ですが、その後に英語とイタリア語でもお話があるので、内容を理解することができます。キリスト教や聖書にまつわる話が基本ですが、EUのことなど時事ネタが入ることもあり、とても興味深いです。

 

◯ミサが終わった後のオルガンによる後奏(Postludium)がまた素晴らしい!1時間半前後のミサが終わって、晴れやかな気持ちとなる瞬間を、オルガンがどれだけ盛り上げてくれることか!教会で聴くオルガンが格別であることは言うまでもありません。思わずキリスト教徒になりたくなる、そのくらいに晴れ晴れしく素晴らしい瞬間です。

 

 

以上です。ウィーン少年合唱団が好きな方に限らず、音楽が好きな方、教会や宗教が好きな方、異文化の体験や交流が好きな方、ウィーンに行く機会があったら、ぜひウィーン王立礼拝堂ミサに参加されてみてください。心が清らかに、晴れやかになる素晴らしい時間です。そして、その後は、きっと素敵な日曜日を過ごすことができるでしょう。