いやはや3日(水・祝)のリッカルド・ムーティさんとウィーン・フィルのコンサートはさすが!の一言でしたが、とても良い流れで、日フィルによるウィーンの作曲家のコンサートを聴きに行きました。

 

 

日本フィルハーモニー交響楽団第735回定期演奏会

(サントリーホール)

 

指揮:角田 鋼亮

ヴァイオリン:郷古 廉

ツィター:河野 直人

 

J.シュトラウスⅡ/ワルツ《ウィーンの森の物語》

コルンゴルト/ヴァイオリン協奏曲ニ長調

フランツ・シュミット/交響曲第4番ハ長調

 

 

 

日フィルのコンサートは、アレクサンドル・ラザレフさんのロシアものと、ピエタリ・インキネンさんのシベリウスは必ず聴きに行き、その他は曲目しだいですが、今回のプログラムはウィーンの作曲者で統一されていて、大好きなフランツ・シュミットの交響曲も聴けるという、私にとって、どストライクなコンサートです!

 

 

 

まずはヨハン・シュトラウス2世。ウィーン・フィルのアンコールがヴェルディだったので、ここでヨハン・シュトラウスが聴けるのは、全くの偶然ですが、何だかとってもいい流れです。

 

冒頭からツィターの懐かしい響きに魅了されます。鳥の鳴き声を思わせるフルートが心地よく、ハイリゲンクロイツ修道院やマイヤーリンクに行った時に闊歩した、ウィーンの森を思い出します。

 

ワルツに入ると、3拍目をたっぷりの演奏が雰囲気抜群!角田さん、分かってらっしゃる!笑 この素敵な演奏を聴いて、自然に頭に思い浮かんだのは、先日ウィーン・フィルを聴いた時に飲んだオーストリアのワイン、グリューナーフェルトリナー。

 

この甘く切ないワルツの音楽に、優しい酸味が心地よいグリューナーフェルトリナーが何と合うことか!よく、その土地の料理とお酒は抜群に合うと言いますが、私は音楽にも当てはまるように思います。

 

 

 

続いてコルンゴルト。R.シュトラウスばりの高音の連続に魅せられる第1楽章、ヴァイオリンの長い旋律のソロにヴィブラフォンがいい感じで絡む第2楽章、メルヘンの極地、盛り上がる場面でのホルンや鐘の音が懐かしさ満点の第3楽章。郷古廉さんの素晴らしいヴァイオリンでした!

 

この曲を聴くと、スノードームを連想します。ロマンティックやメルヘンをギュッと凝縮した素敵な曲。アンコールのハイドン/皇帝讃歌は、今日のプログラムを踏まえた素晴らしい選曲!こういう粋な趣向は本当にいいですね。

 

 

 

後半はフランツ・シュミット。フランツ・シュミット(1874-1939)はウィーンの作曲家&チェリストで、交響曲第4番ハ長調は、今年の6月にセバスティアン・ヴァイグレさんと読響の素晴らしい演奏を聴きました。今日はどうでしょうか?

 

 

冒頭の儚さと意思の強さを併せ持ったようなトランペットが素晴らしい!その後のめくるめくロマンティックな音楽にも大いに魅了されます。ここは飛翔しそうで飛翔しない、マーラー7番の第1楽章の閉じたロマンを思わせます。

 

短調に展開して、その後に降臨するチェロのソロ!この週も全力投球で仕事を頑張った身体に、この優しく切ない旋律が何と沁みることか…。旋律の後半には6連符が入りますが、大いに心揺さぶられます。

 

その旋律が木管を始め、様々な楽器にリレーされるのも本当にいいですね。まるで沢山の天使が降臨して慰めてくれているかのよう。感動で背中が何度もゾクゾクしました。シェーンベルク/浄夜の終曲のラストに似た、一歩一歩上がっていく高まりがまたいい!

 

(参考)フランツ・シュミット/交響曲第4番ハ長調。フランツが大いに感動したチェロのソロは14:43から。お疲れの方は19:00くらいまで、ぜひ聴かれてみてください。とても癒やされます。

https://www.youtube.com/watch?v=w_fjFPhrKjw (48分)

※hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphonyの公式動画より。パーヴォ・ヤルヴィさんの指揮。

 

 

ティンパニが入って、短調に転じての運命を感じる音楽。途中にトゥッティで悲劇的な音楽が弾(はじ)けますが、日フィルの演奏がめちゃめちゃ素晴らしい!アレクサンドル・ラザレフさんのもと、毎回最高のショスタコーヴィチを聴かせてくれる日フィルですが、ラザレフ効果を大いに感じました。

 

再び優しい音楽を挟んでフーガのパートとなります。後半にフーガになる曲をしばしば見かけますが、展開や再生を感じさせるフーガって本当に凄い!バッハの音楽が、他の作曲家にも脈々と息づいていることを感じます。

 

また冒頭のロマンティックな音楽が帰ってきました!角田さんの指揮は堂々たるもので、歌うところ、締めるところ、曲を十分に自分のものにしている雰囲気に満ちて素晴らしい!ラストは冒頭のトランペットが同じ旋律を、儚く余韻を残して終わりました。

 

 

 

日フィルのコンサート、めっちゃ素晴らしかったです!日フィルは上記の通り、ここ10年くらいはロシアものとシベリウスを中心に聴いていますが、今日のウィーンものも非常に良かったです。カーチュン・ウォンさんとのマーラーシリーズが進んでいるようですが、聴きに行きたくなりますね。

 

コロナによって大きな打撃を受けたと思いますが…、それにも負けず、高いレベルを維持していて、日フィルのオケのみなさまの努力には本当に頭が下がります。先月のラザレフさんとのR.コルサコフ&ショスタコーヴィチに続き、今回も大いなる感動をありがとうございました!

 

 

 

(追伸)翌6日(土)には、紀尾井ホール室内管弦楽団のコンサートを聴きに行きました。ピョートル・アンデルシェフスキさんのモーツァルトの弾き振り(ピアノ協奏曲12番&24番)が、オケともども絶品過ぎて、こちらも大いなる感動!

 

(写真)そして、秋に紀尾井ホールに聴きに行く時のお楽しみが、ニューオータニの大きなスーパーモンブラン。食べ応え十分の重厚感のある和栗と、中の黒蜜あんこや抹茶クリームとのコンビネーションが最高でした!