昨年は鈴木雅明さん&鈴木優人さん、そしてバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が大活躍した年でしたが、今年も楽しみな公演が沢山あります。その第一弾、メンデルスゾーンの大曲、エリアスのコンサートを聴きに行きました!

 

 

バッハ・コレギウム・ジャパン

メンデルスゾーン《エリアス》

(東京オペラシティコンサートホール)

 

指揮:鈴木 雅明

 

ソプラノ:中江 早希

アルト:清水 華澄

テノール:西村 悟

バス:加耒 徹(エリアス)

 

メンデルスゾーン/オラトリオ《エリアス》

 

合唱&管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

 

 

(写真)本公演のチラシ。ご覧の通り、ソリストはもともと外国の歌手のみなさまでした。コロナによる入国制限措置により、エリアス役の加耒徹さん始め、全員日本人の歌手となりましたが、始めから日本人の歌手のみなさまで全く遜色ないクオリティの高さ!

 

 

 

エリアスはメンデルスゾーンが晩年に作曲した最後の大作です。物語は紀元前9世紀中頃、アハブ王統治下のイスラエル。イスラエルの神ヤハウェをないがしろにして、隣国フェニキアの王女イゼベルの崇拝する異教神バアルに進んで仕えたアハブ王、そしてイゼベルに対して、ヤハウェこそ唯一の神と説いた預言者エリアスの、信仰を巡る対決と受難の物語です。

 

 

 

今回は聴き終わっての感想から入りますが、

 

 

もう圧倒されました!!!凄い、凄すぎる!!!

こんな素晴らしいコンサートに立ち会えて感無量!!!

 

 

いや~、めちゃめちゃ感動しました!何が凄くて感動的かと言えば、まずはメンデルスゾーンの音楽!私、BCJの公演は基本、予習なしで聴きに行っていて(それでも毎回毎回感動できるので)、今回も音楽は敢えて入れずに聴きに行きましたが、メンデルスゾーンの音楽が何と素晴らしいことか!

 

雰囲気としては、シューベルトの名曲、ミサ曲第6番変ホ長調と、2018年にジョナサン・ノット/東響で聴いたエルガー/ゲロンティアスの夢、の間くらいの音楽という印象ですが、とにかく全編ロマンティック!メンデルスゾーンの合唱曲の素晴らしさを存分に体感しました。

 

(参考)2018.7.14 ジョナサン・ノット/東響/東響コーラスのエルガー/ゲロンティアスの夢

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12390830495.html

 

 

 

そして最初から最後まで出ずっぱりでエリアスの役を見事に歌ったバスの加耒徹さんが素晴らしい!加耒徹さんは昨年末のBCJの第九でも、歓喜の歌の堂々たる歌い出しに惚れ惚れしましたが、今日も宗教や信仰に殉ずるエリアスを威厳を持って、そして温かみのある声で歌って抜群でした!

 

この加耒徹さん、上記の通り、何と代役なんですよね~。代役でこのクオリティとは、到底信じられません。終演後のカーテンコールで、ソリストの残り3人が舞台脇でわざと立ち止まって、それを知らずに舞台中央に進んだ加耒徹さんのことを主役として讃えていたシーンには大いに感動しました!こういうのは本当にいい!その3人、中江早希さん、清水華澄さん、西村悟さんも見事な歌でした。

 

 

 

そしてこれはいつもながらの平常運転ですが(笑)、鈴木雅明さんとBCJが本当に素晴らしい!鈴木雅明さんは教会で熱弁をふるう司祭のように、大きな身振り手振りの指揮でオケや合唱をどんどん盛り上げ、オケは古楽器の音色を存分に楽しませてくれて(特にエリアスの誓いのシーンのオーボエが最高!)、合唱はクリアでピタピタッと決まる完璧な歌唱。今日も大いに堪能しました!

 

第2部の天使の3重唱では、私の好きなソプラノの澤江衣里さんが合唱から出てきて歌っていましたが、美しくチャーミングな歌声にまたも魅了されました。その後の4重唱のシーンでは、BCJのエースとも言えるソプラノの松井亜希さんも合唱から登場して素晴らしい歌。普段ソリストも務められる卓越した歌手たちが合唱として歌っているのが、BCJの圧倒的な強みなんです。

 

 

 

物語の場面では、第1部最後の、神が見えるかどうかについてのエリアスと少年(ソプラノ)との対話から、ラストの神を讃える合唱は、鈴木優人さんの弾くオルガンもたっぷり入って、その盛り上がりと高揚感が素晴らしい!そして、第2部後半の「ホレブ山での神との対面」の場面、静かなさざ波から神が現れ、ミサ曲のサンクトゥスの歌詞が歌われ、エリアスの誓いの歌が歌われる、その流れが極めて感動的、最高でした!

 

 

 

終演後は観客も大いに盛り上がっていました!チケットは見事にソールドアウトでしたが、コロナを意識した方々もいてか、8割くらいの入りだったでしょうか?それでも、大勢の観客がスタンディング・オベーションで讃えていた光景は、真に感動的でした!

 

コロナで厳しい状況が続いていますが、信念に基づき信仰を貫き通したエリアスの物語には、人の心に宿る不屈の魂を大いに感じます。人類は必ずやコロナを乗り越えることができるしょう。

 

とにかく、繰り返しですが、この最高のコンサートに立ち会うことができ感無量でした!

 

 

 

(写真)ライプツィヒのメンデルスゾーンハウス。エリアスの初演は1846年にバーミンガムで行われ、翌1847年10月にはドイツ語による初演がハンブルクで行われましたが、その日、メンデルスゾーンはライプツィヒで脳卒中の発作で倒れてしまったそうです。メンデルスゾーンは病床でエリアスの初版総譜を受け取り、翌11月にお亡くなりになられました。