ベートーベンの多くの曲を楽しんできたベートーベン生誕250周年。その最後を飾るコンサートを聴きに行きました。バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の第九です!

 

 

ベートーベン生誕250周年記念

バッハ・コレギウム・ジャパン《第九》

(東京オペラシティ コンサートホール)

 

指揮:鈴木 雅明

 

ソプラノ:森 麻季

アルト:林 美智子

テノール:櫻田 亮

バス:加耒 徹

 

オルガン:鈴木 優人

 

バッハ/パッサカリアとフーガ ハ短調BWV582(オルガン独奏)

ベートーベン/交響曲第9番ニ短調《合唱付き》

 

管弦楽と合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン

 

 

 

まずはオルガン独奏によるバッハです。厳粛な主題がパッサカリアで展開され、後半はフーガとなってめくるめく音楽、最後は大いに盛り上がりました!オルガン演奏は先週、BCJの創立30周年記念コンサートを見事に指揮されたばかりの鈴木優人さん。この方の才能は、一体どれだけ凄いんでしょう?

 

 

 

休憩を挟まずに第九が演奏されます。第1楽章。冒頭は様々な音が聴こえてきて、何かがうごめき、これから何かが始まる雰囲気に満ち満ちた素晴らしい導入!鈴木雅明さんは速いテンポで進めますが、いつもながらにメリハリが効いてキレの良いオケ。しかも古楽のひなびた懐かしさを感じさせる音色、大いに魅了されます。途中、短調で深淵を魅せる場面は、オケが次から次へとビシビシ行って、たたみ掛ける感じが素晴らしい!

 

第2楽章。ここもBCJの躍動感に溢れたキレ味の良い演奏に大いに魅了されます。ティンパニの「タンタタン!♪」が、強弱のニュアンスを敢えて付けずに真っ直ぐ叩いて勢いを感じました。途中のほのぼのとした旋律を吹くホルンが何と素晴らしいことか!普段も熱いバッハを聴かせてくれるBCJによる、引き締まった全く見事な第2楽章!

 

第3楽章。ここは冒頭からの優しい雰囲気に満ちた弦楽にもうハラハラと涙…。弦楽に随所で絡む繊細な木管やホルンも本当に素晴らしい。後半に突如高まった後の切ない音楽がどれだけ心に沁みることか…。前半の情景は以前からイメージできていましたが、後半のイメージをよく掴めるようになったのが、今年のベートーベン・イヤーの収穫でした。涙涙の感動的な第3楽章!

 

第4楽章。キビキビした導入から、語るように演奏される、まるで生き物のようなチェロが素晴らしい!バスの加耒徹さんによって始められる歓喜の歌は、朗々とホールに響き渡って全くもって見事!

 

続く合唱は、さすがはソリスト級揃いのBCJの合唱!だって、先日のBCJ創立30周年の記念コンサートでソリストを務められた松井亜希さんや澤江衣里さんがソプラノ群に入っているんですよ?小規模となる32人の合唱の歌が、どれだけ東京オペラシティコンサートホールの広い空間に響き渡ったことか!

 

そして、今日の第九は大好きなソプラノの森麻季さんがソリストです。リサイタルも素晴らしい森麻季さんですが、第九も圧倒的な素晴らしさ!合唱が重なっても美しいクリスタル・ヴォイスが突き抜けて聴こえてきて、それでいて見事に合唱と調和している!黒の衣裳のBCJのみなさまの中で、一人だけ赤の素敵なドレスで、正に「紅一点」。今日も美しかったです。

 

そして、合唱が後半に「星空の上の神」を歌う場面で、BCJならではの古楽の木管がこだまするシーンに大いなる感動!普段、バッハの演奏で神を讃える音楽をよく奏でる木管が、あたかも羊飼いによる素朴な笛のように合唱に加わって、その雰囲気に半端なく感動しました!この辺り、もう涙でぐちゃぐちゃ…。

 

鈴木雅明さんの強弱、緩急自在の熱い指揮のもと、繰り広げられる音楽がどれだけ素晴らしいことか!オケと合唱の融合。一点の曇りもなく、綺麗に聴こえてきて、第九の音楽や精神が存分に伝わってきます。これには大いに感動しました…。そして、涙が果てしなく溢れて、最後はマスクがビショビショに…(笑)。

 

 

 

いや~、圧倒的に素晴らしい第九!ベートーベンの音楽がこれでもかと迫ってくる名演!

 

鈴木雅明さんとBCJ、ソリストのみなさんによる完璧なハーモニー!

 

 

 

BCJの第九、めちゃめちゃ素晴らしかったです!私は第九のライブでは、2013年のクリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルの来日公演が最高の思い出となっていますが、その時とはまた違う、第九の一つの完成形を聴いた気がしました。何度でも言いますね。もう「最高」でした!

 

 

そして、今日はバッハに続けてベートーベンが演奏されました。コンサートのパンフにはベートーベンがバッハを大いに評価していたことが載っていましたが、私は第九の前に敢えてバッハのオルガン曲を置いたのは、バッハのパッサカリアとフーガ → 第九の第3楽章(変奏曲)と第4楽章(フーガ)、という流れ、そして合唱を初めて導入するなど斬新さに焦点が当てられがちな第九が、しっかりと過去に立脚していることを意識させたプログラムと感じ取りましたが、果たしてどうでしょうか?

 

 

 

私が今年コンサートを聴くのは、今日が最後になります。1月1日にウィーンでジャナンドレア・ノセダ/ウィーン交響楽団の強烈な第九を聴いてスタートして、今日12月27日に鈴木雅明/BCJの最高の第九を聴いてフィニッシュ。初日と最終日に素晴らしい第九を聴けた、最高のベートーベン・イヤーとなりました!

 

 

 

(追伸)そして先日、BCJの来期2021-2022シーズン定期演奏会のお知らせが来ました。バッハはもちろんのこと、ベートーベン/オラトリオ《オリーヴ山のキリスト》やモーツァルト/戴冠ミサ曲が並んだ素晴らしいラインナップ!もちろん、光速で定期会員を更新します!また、鈴木雅明さんと鈴木優人さんのツーショットがいい雰囲気なんですよね~。

 

今年はおかげさまで、BCJを7回聴くことができました。その全てが極めて高いクオリティ、ということに驚嘆します!本当にありがとうございました!来年も聴きに行きます!