日付けが変わって、今日12月16日(水)はベートーベンの誕生日です!今年はベートーベン生誕250周年なので、ベートーベンの250歳の誕生日。つまりは特別な特別な特別な一日です!

 

ブログをしていれば、この日にどんな記事をアップするのか?ベートーベンが好きな方だったら考えますよね?私ももちろん考えましたが、ちょうどいいタイミングで素晴らしい企画が敢行されたので、それを大いに楽しんだ感想記事をアップすることにしました。それはこちらのイベント!

 

 

(写真)レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のベートーベン/交響曲全曲のシネコンサート

※手元にチラシが何枚もありますが、綺麗に撮れないので画像をお借りしました。

 

 

レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のベートーベン/交響曲全曲のライブの上映です!東京都写真美術館ホール(恵比寿ガーデンプレイス)で、12月1日(火)~18日(金)にて開催中。(現時点で、あと3日間あります!)

 

演奏は1980年のレコード・アカデミー大賞を受賞した屈指の名演として知られていますが、そのライブ映像を5回シリーズ(1番&3番/2番&5番/4番&6番/7番&8番/9番)で観ることのできる全く素晴らしい企画!(1回1回での視聴ももちろん可能) ベートーベン生誕250周年はもとより、レナード・バーンスタイン没後30周年を記念するスペシャルなイベントです!

 

 

(参考)本イベントの予告編(「予告編を見る」をクリックすると観れます)。ベートーベンの9番→5番→6番→7番→9番と、レニーの感動的な指揮、ウィーン・フィルの素晴らしい演奏をダイジェストで観ることができます。もしレニーの指揮を観たことのない方がいらっしゃったら、1分のコンパクトな動画なので、ぜひご覧になってみてください。そのエネルギッシュな指揮に必ずや圧倒されると思います!

https://eiga.com/movie/94200/ (1分)

※映画.comの公式動画より

 

 

 

私はマーラー/交響曲全集(ほぼウィーン・フィル)の映像とともに、レニーのベートーベン/交響曲全集の映像は若い頃に繰り返し観たので、大いに慣れ親しんでいますが、久しぶりに観て、そのエネルギッシュで感動的な指揮に、圧倒的な感銘を受けました!全9曲の感想をいつもの調子で書くと大変なことになるので(笑)、ごくごく簡単に。

 

 

 

◯交響曲第1番ハ長調

 

昨今の速いテンポが主流の演奏をよく聴いていると、ややゆっくりのテンポの演奏に感じます。しかし、そのゆっくりのテンポで演奏されるウィーン・フィルの芳醇な音色が素晴らしい!

 

レニーの指揮では特に第4楽章が素晴らしいと思いました。冒頭の大きなティンパニの一発からノリノリの音楽。レニーが嬉しそうに踊りながら指揮して、ウィーン・フィルもよく乗った素晴らしいベートーベン!

 

 

 

◯交響曲第2番ニ長調

 

第1楽章の長調の主題をレニーがゆっくり旋律を手で押さえるように進めていたのが印象的。昨今の速いテンポの2番とは一線を画したたっぷりな演奏です。ウィーン・フィルで聴く2番は木管や金管の音色に惹かれて、雰囲気があって本当にいいですね~。

 

 

 

◯交響曲第3番変ホ長調「英雄」

 

英雄もやや遅めのテンポですが、勢いを十分に感じる演奏。第1楽章はレニーの気迫の指揮、畳み掛けるウィーン・フィルの迫力が見事。途中のジャン!×6回の場面はレニーがまるで左ジャブを繰り出すような動作。そのユニークな指揮に驚いた方もいらしたようですが、私はレニーの指揮を見慣れているので、通常モードに思えます(笑)。

 

特に感動して大いに涙したのが第2楽章。荘重な響きの入りから、中間部はレニーの足踏みまで入る指揮とともにウィーン・フィルが燃焼、音楽がどんどん大きくなっていきます。そして慟哭の場面では、苦悩の表情のレニーが唸り声を上げての全身全霊による指揮が圧巻!これに見事に応えるウィーン・フィル!

 

こんなにも人の心を打つ音楽が、果たしてあるんでしょうか?音楽って、芸術って本当に素晴らしい!私には苦悩の表情のレニーがほとんどキリストに見えました。

 

だからこそ、第4楽章がいかに喜びに満ちた音楽なのか!笑顔を湛えたレニーのリズム感に溢れる指揮にノリノリのウィーン・フィル。みなが人間であることの喜びを爆発させる、生命力に溢れた素晴らしい音楽!今度は喜びの涙にくれた第4楽章!

 

 

 

(写真)素晴らしい音楽を楽しんだ後は、ガーデンプレイスのロブションのブティックで一息。パン・オ・ショコラとラムレーズン・ミルクフランス、コーヒー。

 

 

 

◯交響曲第4番変ロ長調

 

神秘的な序奏は、レニーがバルトークのように4度で始まる、と語っていたのを思い出します。長調の主題が始まるとリズミカルでかなり切れの良い演奏。こういう時のレニーの指揮は見ていて本当に楽しい。ファゴットとクラリネット、あるいはファゴット→オーボエ→フルートのリレー、美しいウィーン・フィルの音色に大い魅了されます。

 

美しい第2楽章、ユーモラスな第3楽章を経て、第4楽章もリズミカルで素晴らしい!この曲はよく7番とのカップリングでコンサートにかかりますが、7番との繋がりをよく感じます。最後のファゴットのユーモアも絶妙!一昨年に聴いたヘルベルト・ブロムシュテット/N響の演奏も素晴らしかったですが、さすがはウィーン・フィルのベートーベンです。

 

 

 

◯交響曲第5番ハ短調「運命」

 

運命も冒頭からゆっくり目の演奏。ウィーン・フィルを豊かに鳴らします。美しい第2楽章、ウィーン・フィルの低弦の奥深い音色を楽しめる第3楽章に続いて、第4楽章冒頭は大きな表現で極めて感動的!

 

そして第3楽章の回顧の後に主題が帰ってくる場面は、レニーが腕を高らかに上げて発散させる指揮がさらに感動的!その後に肩だけで指揮して、ウィーン・フィルに任せるのも大好きなシーン。最後もよく追い込んで、ラストの3つの和音は両腕で下に力強く、最後の音の前は「いくぞ!」とばかりに身構えてから締めました!音楽も最高ですが、非常に魅せる指揮!

 

 

 

◯交響曲第6番ヘ長調「田園」

 

第1楽章はレニーのリズミカルな指揮のもと、ウィーン・フィルによるハーモニーを存分に楽しめます。弦楽器も木管も美しく、特に冒頭で立ち上るオーボエの音色にはうっとり!最後に主題が戻ってくる場面では、ウィーン・フィルに任せて上体のリズムだけで指揮するレニーの喜びの表情が本当にいい!

 

第2楽章はまるで時が止まったかのような穏やかな美しい演奏。クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルの来日公演でも感じましたが、この音楽はウィーン近郊のハイリゲンシュタットの風景を感じさせるので、ウィーン・フィルの演奏は極上です。

 

最後の美しいナイチンゲール→ウズラ→カッコウのリレーの前を、レニーは雄大に締めました。まるで夕日が感動的に沈み、鳥たちの声は、楽しかった昼間の散歩の余韻、象徴として出てきたかのよう。久しぶりに聴くといろいろと発見がありますね。

 

レニーのグイグイ引っ張る指揮が頼もしい第3楽章の踊りの音楽の後、第4楽章の嵐の音楽は、ウィーン・フィルの迫力が素晴らしい!メリハリや凄みが抜群で、大いに迫ってきますが、それでも美しさを湛えているのはこのオケならでは。

 

そして私の涙腺ポイントの第5楽章冒頭。感動的な音楽にもう涙涙…。レニーがブルックナーのように雄大と語った第5楽章。喜びに溢れたウィーン・フィルの壮大な演奏に大いに感動しました!

 

 

 

(写真)鑑賞の後のほっこりタイム(その2)。鶏のクリーム煮キッシュと、エピス香る林檎とイチジクのタルト、コーヒー。

 

 

 

◯交響曲第7番イ長調

 

第1楽章は冒頭から充実の響き、2月に聴いたライナー・ホーネックさん指揮の紀尾井ホール室内管弦楽団と同じく、ややゆっくり目のテンポ。この辺りはやはりウィーン・フィルの呼吸なのでしょう。最後の方のニュアンスに溢れたオーボエ!

 

切々と響き渡る感動の第2楽章、まばゆいばかりに光輝く第3楽章に続いて、第4楽章はリズムが爆発する音楽。ラストの盛り上がりと燃焼感は、さすがはレニーの指揮!ウィーン・フィルも圧巻の演奏でした!

 

 

 

◯交響曲第8番ヘ長調

 

第1楽章はウィーン・フィルの芳醇な響きが聴き応え満点で、規模が小さいと捉えられがちな8番にして、大交響曲の風情すら感じます。第2楽章のホルンとクラリネットが雰囲気あり過ぎる!第3楽章のメヌエットはレニーの大げさな指揮がいい感じ。曲想を大いに盛り上げます。

 

第4楽章の第2主題、大好きなチャーミングなテッテーテレテッテーとテテテテを繰り返す場面が何と雰囲気のあることか!ちなみに8月に聴いた広上淳一さんとN響もここはかなり雰囲気のある演奏でした。広上さん、もしやレニー譲り?(笑) 7番→8番と続けて聴きましたが、改めて双子の曲のように感じました。7番はもちろん素晴らしいですが、8番ももっと聴かれてほしい曲。

 

 

 

◯交響曲第9番ニ短調「合唱付き」

 

第1楽章はレニーらしい劇的な音楽、第2楽章もリズミカルに進み聴き応え抜群ですが、このレニーとウィーン・フィルの第九で圧倒的に素晴らしいのは第3楽章と第4楽章です。

 

第3楽章はゆっくりのテンポの中、レニーの万感の想いが込められた、極めて感動的な音楽!レニーは目をつぶって、顔をくしゃくしゃにしながら、没入感の凄い魂の指揮。それに見事に応えるウィーン・フィル!

 

第4楽章は非常に振幅の幅の大きな劇的な演奏!レニーの真骨頂です。特に歌が始まってからがもの凄い!歌詞の意味を噛み締めて、朗らかな笑顔から厳しい表情まで、自分でも歌詞を歌いながら全身全霊で歌手や合唱を指揮するレニーの姿が極めて感動的!

 

クルト・モルさんの歌い出しは全くもって見事。ギネス・ジョーンズさん、ハンナ・シュヴァルツさん、ルネ・コロさんと歌手も万全。ウィーン国立歌劇場合唱も一人一人がほとんど叫んでいるかのように力強く歌って抜群!最後はテンポを極限まで上げて怒涛のラスト!ブラボー!!!

 

 

 

いやはや9曲とも凄かった!!!全9曲を観ての感想は、

 

 

 

ベートーベンがいかに素晴らしい交響曲を作曲したか!!!

 

レニーがそのベートーベンの音楽を大いに感じて、いかに全身全霊で感動的な指揮をしたか!!!

 

そのレニーの熱い指揮のもと、ウィーン・フィルがいかに最高のベートーベンを奏でたか!!!

 

 

 

もう圧倒的に素晴らしかったです!!!私はもともとレニーの大大大ファンなので、この映像は若い頃に何度も観ています。しかし、その慣れ親しんだ既聴感を強く持つ演奏にも関わらず、魂を大きく揺さぶられる感動!圧倒的な感銘を受けました!以下は、本イベントのチラシにあった言葉ですが、全くその通りだと思いました。

 

 

「指揮台から飛び上がるほど情熱的で、エネルギッシュなバーンスタインの指揮に応え、燃えに燃えるウィーン・フィルの名手たちの演奏はまさに圧巻!ベートーベンの交響曲の魅力を余すところなく伝える至福の400分である。」

 

 

今年はベートーベン生誕250周年です。この記事をご覧になられた方で、まだレニーとウィーン・フィルのベートーベンの映像を観たことのない方は、ぜひ一度ご覧になられてみてください。シネコンサートは迫力があって感動的ですが、DVDなどでも楽しめます。季節的には第九がお勧めかも知れません。コロナ禍を乗り越えて、人類の明るい未来が見えてくるような素晴らしい演奏、感動のベートーベン。ぜひご堪能ください!

 

 

 

 

 

(参考)ベートーベン/ピアノ協奏曲第1番第3楽章より。レナード・バーンスタイン(ピアノ&指揮)/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。

https://www.youtube.com/watch?v=mGicqBYpN4Y (3分)

※Leonard Bernsteinの公式動画より

 

と、全力でお勧めしたものの、YouTubeでは第九も含め交響曲は公式動画が見当たらなかったので、代わりにレニーがウィーン・フィルを弾き振りしているベートーベンのピアノ協奏曲の演奏をご紹介します。第3楽章のカデンツァからラストまで。ほとんどモーツァルトが降臨したかのような自由自在のピアノ!

 

そして、弾き振りでこんなにも大きな振りで指揮をするのはレニーならでは。うわ~、ピアノの指が間に合わないよ~!(笑) 目や口で指揮するのも本当に楽しい。この人は一体どれだけ才能があるんでしょう?だから、レニーのファンはやめられないのです!