ハイドンの中期の交響曲３曲のプログラム、原田幸一郎／静岡交響楽団のコンサートを聴きたくて、静岡に行ってきました。
静岡交響楽団第９７回定期演奏会
～ハイドンシリーズvol.4 byユーフォニア～
（しずぎんホール ユーフォニア）
指揮：原田 幸一郎
ハイドン／交響曲第５５番変ホ長調「学校の先生」
ハイドン／交響曲第４９番ヘ短調「受難」
ハイドン／交響曲第５３番ニ長調「帝国」
あれっ！？フランツさん、また静岡に？
そうなんです。昨年に続いて、静岡にハイドンを聴きに行きました。ハイドンの交響曲は素晴らしい作品ばかりで、有名な後期のロンドン・セット（９３番～１０４番）のみならず、中期の作品も傑作揃い。なのに、（ココ強調！）不思議なことに東京ではなかなか演奏されないので、意欲的に取り上げてくれる静響のコンサートを聴きに行ったしだいです。
（参考）2019.10.11 原田幸一郎／静響のハイドン／マーキュリー＆告別＆マリア・テレジア
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12534770506.html
まずは学校の先生。ハイドンの他の曲と同様に「学校の先生」という副題はハイドンが付けたものではありませんが、どこかしら雰囲気が出ているように思います。
第１楽章は明るく、前向きな音楽ですが、何となく学校の先生らしき生真面目な雰囲気が（笑）。第２楽章は少しユーモア、少し悲しげ、という印象の音楽。しかし変奏曲が進むと、先生の穏やかな語り口に生徒たちはしだいに眠くなり…（笑）。
第３楽章。今度は熱心な踊りの先生でしょうか？中間部のフォアシュピーラーによる熱演の合奏は、子どもたちに「こうやって踊るのよ！」と先生自ら模範を示しているかのよう（笑）。
第４楽章はこれまでの楽章のまとめとして、いろいろな先生が各人、熱弁をふるっているような賑やかな音楽。これ聴くと、個性豊かな先生たちが出てきて可笑しかったフェデリコ・フェリーニの映画「アマルコルド」を思い出しますね。とても楽しい曲・演奏でした。
続いて受難。第１楽章。悲しみに打ちひしがれた第１主題と、悲しみの中での唯一の慰めのような、長調に転じる第２主題が素晴らしい！第２主題の弱音の開始を原田さんが大いに心を込めて指揮していたのが印象的でした。
第２楽章はくさびを打つ厳しい短調と美しくも儚い長調の交錯が感動的！第３楽章始めの短調は優雅ですが、とりつく島のない雰囲気。途中の長調は静響の木管のみなさんが、みんなで揃って揺れての演奏がいい感じ。この第２楽章の「動」と第３楽章の「静」のコントラストは本当に好き。
第４楽章。第１主題は何とカッコイイことか！すぐに長調になってスリリングな展開。静響の演奏は非常に切れて、充実の響きと聴き応え。静岡までハイドンを聴きに来て良かった！心の底からの満足を実感する瞬間！
思うに、この４９番「受難」はハイドンの１０４曲の交響曲の中でも相当な名曲だと思います。４４番「悲しみ」とともに、もっと演奏されてほしいものです。
（参考）ハイドン／交響曲第４９番ヘ短調「受難」より第２楽章（抜粋）
https://www.youtube.com/watch?v=ykvmzejMVKY （３分）
※Total Baroqueの公式動画より、ジョヴァンニ・アントニーニ指揮／イル・ジャルディーノ・アルモニコの素晴らしい演奏！
最後は帝国。第１楽章は立派な序奏が素敵。この辺りが「帝国」の副題の由来でしょうか？第１主題からハイドンの凝った音楽が聴かれます。１曲１曲に工夫を凝らしたハイドンの音楽を実感する瞬間。
第２楽章。リズミカルな主題は魔笛のパパゲーノのアリアに似ていますが、前半に「学校の先生」を聴いた関連で、ふと映画「嘆きの天使」を思い出していました。
マレーネ・ディートリヒ演じる踊り子にはまってしまい、人生を狂わされた厳格な学校の先生が、ラストで故郷の教室に戻り、そこで流れるパパゲーノのアリア。原田さんの余韻たっぷりのラストがシンクロして印象的でした。
これぞメヌエットという、かしこまった第３楽章に続いて、第４楽章は一気呵成に疾走するハイドン！静響の熱演が見事！素晴らしい演奏でした！
いや～！原田幸一郎さんと静響のハイドン、今回もめっちゃ楽しかったです！こんな風にハイドンの珠玉の中期の交響曲を取り上げて見事に演奏してもらえるのは本当に嬉しい。今回も心の底からハイドンを堪能することができました。本当にありがとうございました！
（写真）そして、素晴らしいハイドンの後は、お約束で（笑）静岡の美味しいものを満喫。前回に続き、静岡おでんもたっぷり堪能しましたが、今回は駿河湾の海の幸、金目鯛の煮付けが絶品でした！地酒の萩錦と合わせて最高の一品。
実はフランツ、まだまだ静岡を満喫中（笑）。本日（１１日）は焼津で美味しいお寿司と地酒を堪能しました！台風を物ともせずに大いに楽しんできている静岡旅行の記事は、帰ってしばらくしてからアップします。