先週に続き、新日フィルのコンサートを聴きに行きました。何と言っても、6月の東響とのベートーベンが素晴らしかった田部京子さんのピアノが楽しみです!

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団

アフタヌーン・コンサート・シリーズ第32回

(すみだトリフォニーホール)

 

指揮:太田 弦

ピアノ:田部 京子

 

ベートーベン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調

シューベルト/交響曲第8番ハ長調「グレイト」

 

 

 

実はこのコンサートのことは、つい最近まで知りませんでした。私は新日フィルのコンサートは、行きたいものだけマイプランでまとめて取っているので、他の公演のことは覚えていないからです。

 

ところが、6月の田部京子さんの東響とのベートーベン/ピアノ協奏曲第3番があまりにも素晴らしく、今度は1番か2番を聴きたいと思っていたところ、新日フィルの7月11日のコンサート(尾高忠明さんのブラームス1番など)のチケット再割り当ての手紙を改めて見ると、

 

 

7月17日(金)・18日(土)

ピアノ:田部京子

ベートーベン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調

 

 

の情報があるのを見つけました!何と、願望がすぐに叶った!しかも大好きな1番!

 

もともと別の外国のピアニストの方が客演する予定でしたが、コロナで来日できず、そのピンチを田部京子さんが救ってくれた形です。代替どころか、(ここ強調)世界レベルで傑出したベートーベン。幸運なことに再割り当て以外にもチケット販売があったので、光速で入手して臨みました。

 

 

 

前半はその田部京子さんによるベートーベン。第1楽章。小気味よく進み、メリハリ、切れ、強弱と申し分なく、迷いのない素晴らしいピアノ!特にトリルや装飾音が惚れ惚れするほど上手い!

 

そしてカデンツァ!23番、24番、32番を思わせる旋律も出てくる、ピアノ・ソナタを俯瞰するような見事なカデンツァ!追い込みや迫力も満点でゾクゾクしっぱなし。凄いものを聴いている、と自然に涙が溢れた、圧巻のカデンツァでした!

 

第2楽章。しっとり美しいピアノを堪能。単音の場面でニュアンスがよく込められていたり、後半の3拍子を雰囲気のあるリズムにしたり、よく考えられたピアノです。田部京子さんの繊細なピアノは、大好きなクリスチャン・ツィメルマンさんに通じるものを感じました。

 

第3楽章。私はこの楽章は、モーツァルトが弾いているかの如くに遊びまくっている(笑)ルドルフ・ブッフビンダーさんのピアノが大好きです。一方、田部京子さんは楽しくも、真摯で抑制的、いい意味で生真面目な演奏。しかし、実はこれが本当のベートーベンなのでは?という印象を持ちながら聴きました。

 

それでも、主題に戻る場面で絶妙なルバートを付けたり、本当に魅了されるピアノ。太田弦さんはカデンツァの前で多段階に音を大きくして抜群の盛り上げ!最後も賑やかにオケを鳴らして逃げ切りました。素晴らしい1番でした!

 

 

(参考)ベートーベン/ピアノ協奏曲第1番第3楽章。この楽章は大好きな1番の中でも特に好き。何なんでしょう、この音楽の喜びは?気分が晴れない時とかに聴くと、もう心がウキウキになりますよ!まだ聴いたことのない方はぜひ!

https://www.youtube.com/watch?v=i3s64LBwmEs (9分)

※岡安咲耶さんの公式動画より。勢いがあってリズミカルでとてもノリの良い素敵なピアノ!いや~、海外で活躍されている日本人の方って、まだまだいるんですね!

 

 

 

後半はシューベルトの8番。この日の指揮者は、もともと新日フィルの音楽監督の上岡敏之さんでしたが、太田弦さんに代わりました。上岡さんの指揮は思い切った味付けをするタイプで好きなのですが、夏場にこの巨大なグレイト交響曲をタップリ指揮されると辛いような気もするので(笑)、ここは逆に太田弦さんの指揮を聴く良い機会と捉えて臨みました。

 

 

その太田弦さんによるシューベルトですが、速めのテンポで進み、基本オーソドックス。若武者による勢いの良い指揮、というよりは、楽器をバランスよく鳴らしてしっかり進む演奏、という印象でした。太田弦さんはまだ20代後半の期待の新鋭、今後のご活躍を祈っています。それにしても、ベートーベン・イヤーにシューベルトの8番を聴くと、ベートーベンの3番を連想しますね。

 

 

 

太田弦さんと田部京子さんと新日フィルのコンサート、大いに楽しみました!やはり田部京子さんのベートーベンが圧倒的に素晴らしかった!ベートーベン・イヤーに、またもや見事なベートーベンを聴けて、本当に嬉しい!太田弦さんも健闘。若い指揮者を盛り立てる新日フィルもいいですね。

 

 

コロナで海外の指揮者や演奏家が来日できない状況が続いていて、それはそれで残念ですが、その代わりに、日本のアーティストのみなさまが躍動するのを見るのは心強い限り。ディスカバー・ジャパンとして、日本のアーティストのみなさまの素晴らしさを改めて認識する。そんないい機会と、積極的に捉えたいと思います。