(冬の旅行記の続き) ウィーン・フィルとウィーン楽友協会合唱団による、ムジークフェライン150周年記念コンサートはとても感動的、そして大変光栄な体験となりました。ベートーベン像にご挨拶した後、トラムで移動して、ベートーベン記念館のあるパスクァラティハウスに行きました。

 

 

 

 

(写真)パスクァラティハウス。ウィーン大学とリンクを挟んで反対側、立派な像のある広場のすぐ奥にあります。周りにはブルク劇場やショッテン教会もある界隈です。

 

 

 

 

(写真)パスクァラティハウスに掲げられているベートーベンのプレート。下はウィーン名物の名所や歴史的建造物を伝えるサイン。

 

 

 

このパスクァラティハウスは上の写真のプレートの通り、ベートーベンが交響曲第4・5・6・7番、フィデリオ、レオノーレ第3番、ピアノ協奏曲第4番、ヴァイオリン協奏曲などの傑作の数々を作曲した部屋のある家として知られています。ベートーベン時代の家財道具こそありませんが、部屋と建物はそのまま残されているので、とても貴重です。特に印象に残った展示は以下の通りです。

 

 

◯ベートーベンは1804-1808年、そして1810-1814年にパスクァラティハウスに住んだ。パスクァラティの息子ジョンはベートーベンがどこに住んでいても部屋を空けておいた。

◯ペーター・エドラー・フォン・レーバーとヨゼファは1810年にベートーベンが帰ってきた時に部屋を提供した。

⇒まずはパスクラティとその関係者がベートーベンに部屋を提供したことの解説がありました。

 

◯ベートーベンの遺品。小キャビネット、時計、楽譜立て、塩・コショウ入れ、砂糖入れなど。

 

◯フィデリオの手稿のコピー

◯フィデリオの初演(1805年11月20日)のプログラム

◯フィデリオのリブレットの2-3ページのコピー(登場人物など)

◯ピツァロがフロレスタンを殺そうとする時にレオノーレが止めに入る絵

◯フランス軍のウィーン入り(1805年11月13日)、シュテファン寺院のそばをフランス軍が行進する絵

⇒フィデリオが作曲された部屋、ということで、フィデリオに関する展示が多かったです。ベートーベン唯一のオペラ、ということでとても感慨深い。

 

ところで、一番下のフランス軍の展示はなぜあるのでしょう?ウィーン入りの日付を見て何か気付きませんか?あれっ!?フランス軍のウィーン入りの1週間後にフィデリオの初演が!

 

つまりフィデリオの初演は、主だったウィーンの音楽愛好家たちはウィーンを離れていて、聴衆の多くはドイツ語の分らないフランス軍の兵士だった、と言われています。フィデリオは最初から受難のスタートだったんですね。

 

 

◯レオノーレ第3番(1806)のスコアのタイトルページ

 

◯エグモントの初演(1810年6月15日)のプログラム

◯交響曲4番、5番、6番のスコアのコピーなど

⇒さきほどウィーン・フィルによる5番やエグモント序曲を聴いてきたばかりなので、それらの曲の書かれた部屋でスコアやプログラムを観るのは極めて感動的でした!なお、5番の草稿は音楽だけでなく音符も荒れ狂っていました(笑)。

 

◯交響曲第7番のピアノ草稿のコピー

⇒5番に比べると7番の楽譜はまだ分かりやすい(音が取りやすい)ですが、修正部分はやはり何が何だか分かりません(笑)。

 

◯ベートーベンがヨゼフィーネ・ダイムに宛てた手紙(1805年)

⇒「不滅の恋人」の候補の1人、ヨゼフィーネに宛てた手紙です。以前にヨゼフィーネの肖像画を観たことがありますが、とても素敵な女性でした。

 

 

ウィーン・フィルのベートーベンを聴いた後のパスクァラティハウス訪問は、とても感慨深いものとなりました!

 

 

 

さて、そろそろ遅めのランチといたしましょう。すぐ近くにカフェ・ラントマンがあるので寄りました。ここには昨年夏の旅行の時に朝食を食べに来ましたが、今度はランチです。

 

 

 

(写真)カフェ・ラントマン。クリムト、マーラー、フロイトも訪れた1873年創業の由緒あるカフェ。東京の表参道に支店がありますね。

 

(参考)2019.8.16 ウィーン観光その4(ラントマン&フォルクス庭園&美術史美術館&ジントニック)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12535000378.html

 

 

 

 

(写真)コンソメスープ、セモリナ入り。これこれ!レバークネーデルズッペもいいですが、私はこのセモリナ入りが好きなんです。ワインはグリューナーフェルトリナー”Wagramer Selektion”。これが本当に素晴らしいグリューナーフェルトリナー!

 

 

(写真)ウィーナーバックフーン。ワインは同じグリューナーフェルトリナーをお代わり。

 

 

 

カフェ・ラントマンでのランチは、素晴らしいサービスもあり、とても豊かな時間となりました。典型的なウィーンの料理ですが、何度食べても楽しいものです。

 

 

 

(写真)お店を出る頃には、クリスマス・ツリーに灯りがともっていました。

 

 

 

さて、この日も夜に観劇があるので、そろそろ一度ホテルに戻りましょう。この日の演目は、昨年が記念年だった「あの作曲家」の知られざるオペレッタです。先週の大晦日には生誕200周年のフランツ・フォン・スッペ/ファティニッツァを観ましたが、もう一人の方の作曲家です。次の記事で!(続く)