20日(木)と22日(土)に引き続き、ヴァイオリンの女王、アンネ゠ゾフィー・ムターさんのベートーベン生誕250周年記念リサイタルを聴きに行きました。今日はベートーベンのヴァイオリン・ソナタ3曲、特に、「春」と「クロイツェル」が楽しみです!

 

 

サントリーホール スペシャルステージ2020

アンネ゠ゾフィー・ムター

~ベートーベン生誕250周年記念~

「リサイタル」

(サントリーホール)

 

ヴァイオリン:アンネ゠ゾフィー・ムター

ピアノ:ランバート・オルキス

 

ベートーベン/ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調op.23

ベートーベン/ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調op.24「春」

ベートーベン/ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調op.47「クロイツェル」

 

 

(参考)2020.2.20 アンネ゠ゾフィー・ムター/ベートーベン生誕250周年記念コンサート(協奏曲)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12576634444.html

 

(参考)2020.2.22 アンネ゠ゾフィー・ムター/ベートーベン生誕250周年記念リサイタル(室内楽)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12577092761.html

 

 

 

まずはヴァイオリン・ソナタ4番。初めて聴く曲だと思っていましたが、第1楽章の主題には聴き覚えがありました。緊張感のあるヴァイオリンとピアノの掛け合いが見事。第2楽章はムターさんのすすり泣くようなヴァイオリンが素敵、優しい雰囲気の音楽です。第3楽章は再び緊迫した音楽、とても聴き応えのある曲でした。

 

 

続いてスプリング・ソナタ。みなさまご存じ、名曲中の名曲ですね。第1楽章冒頭のムターさんのヴァイオリンは、ごく弱音から始まって抑揚を付け、自由自在な表現。その後は、美音のヴァイオリンが朗々とサントリーホールに響いて、ただ聴き惚れれば良い極上の時間。

 

この曲のヴァイオリンはとにかく美しいですが、実はピアノの方が忙しく活躍します。途中、ピアノが和音を刻んで勢いよく上がっていく場面では、オルキスさんがペダルを踏んで柔らかく弾いていたのが印象的。オルキスさん、リズミカルな場面では頭を振ってノリノリで弾いて、とても雰囲気のあるピアノでした。

 

 

 

(参考)ベートーベン/スプリング・ソナタ第1楽章のピアノの見せ場の和音が上がっていく場面(上の段がヴァイオリン、下2段がピアノの譜面)。フランツ、なぜ楽譜がある!?(笑)

 

 

第2楽章は優しい雰囲気の曲、ハイリゲンシュタットの小川を散歩している気分になります。第3楽章の小粋なスケルツォもいいですね。

 

第4楽章は冒頭のピアノが美しい!変奏曲で主題がどんどん変わっていきますが、その都度、春の温かさや楽しさが増していくような印象を持ちます。ヴァイオリンとピアノの掛け合いがもう素晴らしいのなんの!とても有名な曲ですが、久しぶりに聴いてやはり名曲だな~と思いました。

 

 

 

後半はクロイツェル・ソナタ。こちらも名曲として名高い曲、そしてベートーベンの偉大さを存分に体感できる曲です。久しぶりに実演を聴きましたが、いや~凄い凄い!あまりにも素晴らしい演奏!そして唖然としてしまうくらいに名曲過ぎて、圧倒されました!

 

第1楽章は冒頭からムターさんのヴァイオリンとオルキスさんのピアノが正にがっぷり四つに組んで、非常にドラマティックな音楽!旋律はとてもシンプルなのに、どうしてこんなにも盛り上がるのか?興奮の坩堝でした!

 

 

 

(参考)ベートーベン/クロイツェル・ソナタ第1楽章のヴァイオリンとピアノが火花をちらす、とても印象的な場面。今日のムターさん、ここのピツィカートは対決というよりは寄り添うようなヴァイオリンでした。ベートーベンが至ってシンプルな音で曲想を大いに高めているのがよく分ります。それにしても、フランツ、なぜ楽譜がある!?(その2、笑)

 

 

第2楽章は激しい第1楽章の後に聴いて、ひたすら優しさを感じる音楽です。第3楽章はタランテラのリズムが軽快な音楽。ムターさんの美音のヴァイオリンが魅力的で聴き応え十分でした。こちらも第1楽章との対比が見事ですが、もともと第3楽章があって、短期間で書かれたのが第1楽章とのこと。この偉大な第1楽章が急ぎ書かれたものとは!ベートーベン凄すぎる!

 

 

 

いや~、ムターさんのよく鳴る美音のヴァイオリン、オルキスさんの小粋なピアノで、素晴らしいベートーベンでした!アンコールはベートーベン、ジョン・ウィリアムズ、ブラームスと3曲披露されましたが、こちらもみな見事なもの。

 

 

 

アンネ=ゾフー・ムターさんの今回のベートーベン生誕250周年記念の公演は、結局「協奏曲」「室内楽」「リサイタル」と3日間とも参加して、ベートーベンを存分に楽しむことができました!難しい時期でしたが、よくぞ来日していただきました。素晴らしいベートーベン、本当にありがとうございました!