ウィーン・リング・アンサンブルのジルヴェスターコンサートの後、すぐにウィーンからバーデンに移動しました。2019年が生誕200周年となる、フランツ・フォン・スッペのオペレッタ、ファティニッツァを観るためです!

 

 

BÜHNE BADEN

Franz von Suppé

Fatinitza

 

Musikalische Leitung: Franz Josef Breznik

Inszenierung und Choreographie: Leonard C. Prinsloo

Ausstattung: Monika Biegler

 

Izzet Pascha, Gouverneur der türkischen Festung Iskatscha: Sébastien Soulès

General Timofey Kantschukoff, russischer General: Reinhard Alessandri

Fürstin Lydia Uschakoff, dessen Nichte: Regina Riel

Julian von Golz, Berichterstatter einer großen deutschen Zeitschrift: Thomas Zisterer

Wladimir Samoiloff, Leutnant eines tscherkessischen Reiterregiments: Bea Robein

Hassan Bey / Mustafa / Massaldschi / ein Pope / Wuika / Ben Jemin: Robert R. Herzl

Steipann Sidorowitsch Bieloscurim / Surema, Tochter von Fürst Jussuf: Robert Kolar

Fürst Jussuf / Osipp Wasielowitsch / Safonoff, Leutnant: Beppo Binder (Änderungen vorbehalten)

 

 

 

(写真)バーデン市立劇場。夏にSommerarenaで2回オペレッタを観ましたが(カール・ツェラー/小鳥売り&レハール/ジプシーの恋)、市立劇場で観るのは久しぶりです。

 

 

(写真)スッペ/ファティニッツァのプログラム。綺麗な女性と思いきや、こちらは男性の女装です(笑)。男性が女装して、将軍を虜にしてしまう楽しい物語です。

 

 

 

2019年の最後となる夜の公演。実は当初の予定では、ウィーン国立歌劇場でJ.シュトラウスⅡ/こうもりを観ようと思っていました。大晦日のシュターツオーパーのこうもりは、言うまでもなく特別な公演。非常に惹かれました。

 

しかし、バーデン市立劇場の公演スケジュールがオープンになったら、何と生誕200周年のスッペのオペレッタをやってくれるではありませんか!しかもファティニッツァ!スッペのオペレッタは過去にボッカチオを2回観たことはありますが、ファティニッツァは初めてです。

 

 

これは観に行くしかないでしょう!(フランツ決めのセリフ!笑)

 

 

ということで、ウィーン・リング・アンサンブルのジルヴェスターコンサートが終わったら、ささっとカールスプラッツからウィーン中央駅に移動、列車でバーデンへ向かいました。

 

(なお、バーデンに向かう路線は、昨年夏の旅行でめっちゃ受けた、お母さんがお子さんにオー・ウムラウトの発音の違いを教えていた、メードリンク駅とマイドリンク駅を通ります。私、ここ通る度に、この楽しい出来事を思い出すでしょう。)

 

 

バーデンの駅にはスムーズに移動でき、歩いてバーデン市立劇場を目指します。駅から1kmくらいありますが、問題なく歩いて移動できる距離。時間も十分あります。ところが、この日は気温が0℃近くと低いこともさることながら、バーデンは風がめっちゃ強く、途中で体が冷え切ってしまい…、

 

「うわっ!めっちゃ寒い!これはやばい!」

 

「このままだと風邪を引きそう…」

 

ここで風邪を引く訳にはまいりません。明日1月1日はウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを聴く、今回の旅のハイライトとも言える日です。万全の体調で臨みたいところ。駅に戻ってタクシーで劇場を目指そうか?とも思い始めたその時!

 

 

 

(写真)バーデンのクリスマスマーケット!(奥の建物が市庁舎)

 

 

バーデンのクリスマスマーケットにばったり出くわしました!何と言う幸運!すかさずこういう寒い状況の中で、最も体の温まる方法を選択。それは…、

 

 

 

(写真)バーデンのクリスマスマーケットのグリューワイン!(笑)

 

 

フランツの馬鹿の一つ覚え、グリューワインです!しかし、これがめっちゃ温まる…。もしかして、人類が考案した最も偉大な飲み物なのでは?と、ありがたみを大いに実感しました。また出店のおじさんが、ユーモラスにスーツにネクタイでサービスしていたのがいい感じ。

 

「グリューワインで体がホカホカになって助かりました!本当にありがとうございます!A Happy New Year from JAPAN!」と伝えたら、おじさん満面の笑みで、「それは良かった!また来てね~」と。ええ、また来ますとも!

 

 

 

 

 

(写真)クリスマスマーケットや市庁舎のあるハウプト広場の夜景はとても綺麗。有名なペスト塔もライトアップされていて、プレゼピオまでありました。

 

 

 

 

(写真)子供が遊ぶための羊の乗り物や、ハート型の薪置きも。バーデンは本当にロマンティックなまちです。ベートーベンが愛したまちとしても有名ですね。

 

 

 

ということでグリューワインを入れて、ピンチを脱して体が温まったのは良かったのですが、厳しい寒さからほっこりして、さらに劇場の中も温かかったので、いつもより、やや集中力が落ちたかも?(笑) まあ、オペレッタなので、楽しめれば良しとしましょう!以下、感想です。

 

(なお、劇場の入口でラッキー・フォーチュンを配っていて、いいアイテムをいただきました。とても気の利いた素敵なサービス。)

 

 

 

第1幕。ロシア軍のイプサラ野営陣地。序曲の軽快さが素敵!ウィーン・フィルのプレビューコンサートの軽騎兵序曲もそうですが、オーストリアのオケは、スッペの音楽を何と活き活きと演奏することか!

 

トルコ軍のイプサラ要塞を攻めきれず、ウォッカも切れて元気をなくしたロシア軍の兵隊たちに、待望のウォッカが届いて喜ぶ歌がいい!ロシア軍の副官ウラディーミルのアリアにはワルツが入りますが、ワルツってどうしてこんなに魅了されるものなのか?

 

ロシア軍のカンチャコフ将軍が登場。ムチをバンバン打って厳格な性格を表します。ドイツの戦争ジャーナリストのジュリアンに対して、「フェイク・ニュース!」と一刀両断(笑)。夏のザルツブルク音楽祭でのヴェルディ/シモン・ボッカネグラの演出といい、トランプ大統領ネタが流行っていますね(笑)。

 

その強面の将軍が、ウラディーミルの女装したファティニッツァにはメロメロなのが受ける!(笑) ウラディーミルの恋人リディアの登場の歌も聴かせました。しかし、トルコ軍が急襲し、捉えられてしまうファティニッツァ(ウラディーミル)とリディア。

 

 

第2幕。トルコ軍のイゼ・パシャのハーレム。ハーレムの倦怠感溢れる音楽がいい感じ。イゼ・パシャのお付きのムスタファは調子のいい役柄でファルセットが見事。イゼ・パシャには4人の奥さんがいますが、4人の名前を覚えるのがやっと、という演技が付いていました。まったく!(笑)

 

イゼ・パシャの全く重みのない軽やかな歌も楽しいです。ファティニッツァが本当の姿(ウラディーミル)を明かして、恋人のリディアと抱き合う流れの歌はドラマティックでいいですね。ここで休憩が入りました。

 

 

休憩後もムスタファが絶好調。ハーレムのみなさんが出てきてコミカルなやりとり。みんなで影絵を観るシーンは舞台奥のスクリーンで展開され、ムスタファのナレーションが尽きました。

 

影絵を観ている間に、いつの間にかカンチャコフ将軍を始めロシア軍の兵隊が取り囲み、イゼ・パシャたちは捕らえられてしまいます。将軍は愛しのファティニッツァを探しますが、アラブのマスクを付けて隠れるファティニッツァ。

 

 

第3幕。舞台はソフィアにあるリディアの家に移ります。リディアの歌は影絵の続きのようなモノクロの印象的な舞台で。お手伝いさんたちのコスチュームが、一昨日に観たハルカの衣裳に似ていてドキリとしました。

 

カンチャコフ将軍がファティニッツァを連呼する歌が楽しい!ファティニッツァとリディアとジュリアンが軽快な歌を楽しそうに歌うのもいいですね。スッペのオペレッタではワルツも出てきますが、こういう行進曲風の曲が多いのも魅力です。

 

最後は将軍がファティニッツァが実はウラディーミルだったことを理解し、自分も愛したのだから、とリディアとウラディーミルの結婚を了解してハッピーエンド。そして、将軍は第2幕の交渉の場に出てきたスキンヘッドの花嫁と一緒に!(笑) まるでヴェルディ/ファルスタッフのカイウス先生とバルドルフォのよう!(笑)

 

 

 

ジルヴェスターの公演ということで、最後は舞台に出演した全員にシャンパンが振る舞われて、舞台の上から新年の挨拶の看板が出てきて、とても賑やかに盛り上がって終わりました!オペレッタを沢山観ることのできた思い出深い2019年。最後も楽しい公演でした!

 

 

 

(写真)駅への帰り道に、道路の上で見かけた素敵な飾り。もう間もなく2020年です。

 

 

 

(写真)そしてウィーンのホテルに帰ったら、フランツの年末年始の海外旅行でのお約束、年越しそば。日本人ですからね。

 

なお、今回も、どん兵衛先生がスーツケースのパッキングの際になかなか入り切らずに苦労したのは言うまでもありませんが(笑)、今回はさらに、コンビニにどん兵衛先生が3種類もあって、果たしてどれを買ったらいいのか?今回の旅の準備で最も悩んだ瞬間でした(爆)。