(冬の旅行記の続き) 素晴らしかったウィーン・フィルのプレビューコンサート、楽しかったウィーン市庁舎のクリスマスマーケットの後、ホテルで休憩してから、夜の観劇へと出掛けました。ウィーン・フォルクスオーパーによるオペレッタの公演、カールマン/チャールダーシュの女王です!
VOLKSOPER WIEN
Emmerich Kálmán
Die Csárdásfürstin
Dirigent: Laszlo Gyüker
Regie: Peter Lund
Bühnenbild: Ulrike Reinhard
Videos: Andreas Ivancsics
Kostüme: Daria Kornysheva
Choreographie: Andrea Heil
Choreinstudierung: Holger Kristen
Keopold Maria, Fürst von und zu Lippert^Weylersheim: Wolfgang Gratschmaier
Anhilte, seine Frau: Sigrid Hauser
Edwin Ronald, beider Sohn: Szabolcs Brickner
Anastasia Komtesse Eggenberg: Johanna Arrouas
Eugen Baron Rohnsdorff: Christian Graf
Boni Graf Káncsiánu: Michael Havlicek
Rerenc Ritter Kerekes, genannt Feri Bácsi: Axwl Herrig
Sylva Varescu: Ursula Pfitzner
Sándor von Kiss/Diener/Inspizient: Nicolaus Hagg
Ein Pianist: Bela Fischer
Orchester und Chor der Volkoper Wien
Komparserie der Volkoper Wien
Wiener Staatsballett
Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
(写真)ウィーン・フォルクスオーパー。シュターツオーパー(ウィーン国立歌劇場)よりも多く通っている、大好きな劇場です。座席に座るとあたかもホームに帰って来た感覚。
エメリッヒ・カールマンの代表作、チャールダーシュの女王はこれまで何度か観ていますが、最後に観たのは2014年のシュターツカペレ・ドレスデンのジルヴェスターコンサート。クリスティアン・ティーレマンさんのノリノリの指揮、アンナ・ネトレプコさんのど迫力のシルヴァに圧倒された公演でした。
(参考)2014.12.28 カールマン/チャールダーシュの女王(シュターツカペレ・ドレスデンのジルヴェスターコンサート)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-11977264163.html
ノリのいい歌や音楽に溢れて、屈託なく楽しめる素敵なオペレッタですが、何と言っても珠玉のウィーン・フォルクスオーパーで観れるのが魅力です。
(参考)カールマン/チャールダーシュの女王(ダイジェスト)
https://www.youtube.com/watch?v=iuR90hc9dbA (7分)
※Deutsche Oper am Rheinの公式動画より
第1幕。序曲の前にまず寸劇が。シュタージがオルガンを弾いていますが、第2幕でトゥラッラッラ~と歌う「燕にあやかって」の歌の陽気な旋律を、何と短調で弾くのが受ける!(笑) 許婚のエドウィンとしっくりきていない様子を表わします。シュタージがエドウィンに淡々と「大~~~好き!」と言う字幕が”Soooooooooo much !”となっていて受ける!(笑)
そして高い本棚の壁が割れて舞台がキャバレーに移り、序曲が始まり合唱「人生は一度だけ」が歌われるあざやかな演出!キャバレー・オルフェウスの看板に女性ダンサー3人がぶら下がって、妖しい雰囲気満点の舞台です。
チャールダーシュの女王シルヴァが”Heia, heia”と歌う「ジーベン ビュルゲンの娘」はチャールダーシュの激しいリズムの歌が素晴らしい!私の大好きなシルヴァ、ボニ、フェリ・バチによる「歌の上手な歌姫は」は、フォックストロットのアレンジ効いて楽しい歌!次から次へと楽しい歌が出てきて、本当に素晴らしいオペレッタ。
シルヴァとエドウィンの二重唱「好きになるのはよくあるが」は、ベッドの上での濃厚な絡み付きのたっぷりの歌になりました。そして、感動的な「幸福は遠くまで追ってはダメ」!ドレスデンの時にはアンナ・ネトレプコさんの熱唱に感涙しましたが、オペレッタの舞台の流れの中で観て、こちらも大いなる感動!
「恋なんかもうおさらばさ、金輪際!女なんか相手にするか、目もくれないぞ!」とボニが強がるものの、最後は「だけどこの世に、女がいなけりゃすべては終わり」と降参する(笑)楽しい歌は、女性たちとの軽妙なやりとりがいい感じ。
ユーモアのあるアレンジも入ってフォルクスオーパーの舞台は本当に楽しいです。2014年にベルリンに行った時、ブランデンブルク門の前で手回しオルガンのおじさんが、この歌をオルガンでやっていたのを思い出しました。
フェリ・バチがエドウィンとシルヴァを祝福する歌もいい!そして、合唱が「幸福は遠くまで追ってはダメ」を感動的に歌ってエドウィンとシルヴァを祝福するシーンは泣けますね…。
しかし、エドウィンが(結婚する気はないものの)実はシュタージの婚約者である事実が明らかになり、悲痛なシルヴァの歌が悲しい…。シルヴァはボニとアメリカに興行に行くことを決心します。
最後はフェリ・バチの怒りの歌で終わりました。激しく怒りをぶつける、というよりはシャンパンのグラスをリズミカルに机に叩き付けていて、静かに怒りを表わしていたのがとても印象的。
第2幕。舞台は侯爵の館に。エドウィンとシュタージの二重唱「燕にあやかって」。トゥラッラッラ~の楽しい2重唱。エドウィンの見事なアリアも聴かれました。
ボニとシュタージが出逢うと「ゴーン!」という衝撃の音が鳴り、運命の出逢いを伝えます。エドウィンとシルヴァの再会にもその「ゴーン」が!(笑)
侯爵はボニの伴侶として紹介されたシルヴァにさっそく惹かれます。この時点ではまだ明かされていませんが、侯爵夫人は実は元チャールダーシュの女王。侯爵の好みが一貫している証拠?(笑)
エドウィンとシルヴァの叙情的な旋律が涙を誘う二重唱「おぼえているかい」。短調から切なく盛り上がる素晴らしい歌!そしてボニとシュタージの楽しい恋の歌「それが恋」も雰囲気があってとてもいい感じ。
最後はフェリ・バチが第1幕で結婚を祝福する際に印象的に歌った旋律が、合唱により悲しく歌われて涙…。
第3幕。舞台はウィーンのグランド・ホテルに。有名な「ヨイ・ママン」は、アップライトピアノのいい感じの音色に合わせてフェリ・バチの素晴らしい歌い出し!シルヴァとボニが続いて最高の展開!急激に加速するチャールダーシュの音楽が雰囲気あって本当に素晴らしい!
続いてフェリ・バチと侯爵夫人の再会の場面。何かと堅苦しかった侯爵夫人が昔を思い出して踊るシーンが楽しい!第2幕でボニとシュタージによって歌われず、「あれ~?カットかな~?」と思っていた楽しい二重唱「ハイマシ・ペーターとパウル」が、何とこの第3幕でフェリ・バチと公爵夫人によって歌われました!こういう気の利いたアレンジを入れてくるのは、さすがフォルクルオーパーです!
エドウィンと「チャールダーシュの女王」(シルヴァ)との結婚なんて認めん!と言っていた侯爵が、実はかつてのチャールダーシュの女王こと「赤毛のヒルダ」と結婚してしまっていたことが発覚(笑)。
最後はボニが一肌脱いで、エドウィンが戦争で怪我したという偽の電報を話して、シルヴァの想いを引き出します。無傷のエドウィンが舞台袖から出てきて、シルヴァと熱い抱擁を交わしてハッピーエンド!陽気なオペレッタを屈託なく楽しめた、素晴らしい舞台でした!
侯爵がチャールダーシュの女王と気付かずに結婚していた、あまりにも可笑しい物語がツボにはまったようで、家族連れのお父さんが、「うわっはっはっはっは!Kupfer Hilda !(赤毛のヒルダ!) うわっはっはっはっは!」と泣き笑いしながら帰って行くのを目撃して、こちらまで嬉しくなって、もらい泣きしそうになりました(笑)。
オペレッタはどの作品にも大人のお楽しみのユーモアがあるので、本当に楽しい!それに思いっきりはまっている日本人がここにいますが(笑)。
(写真)終演後はウィーンのバイスルへ。ハンガリーのチャールダーシュが主題のオペレッタ、ということで、フィアカーグラーシュを頼みました。お供は昨年夏にザルツブルクで見つけたビール、バーンスタインを再び!(笑)
(写真)夜のヴォティーフ教会。昼間も壮麗な教会ですが、夜も幻想的で美しい。